昨年5月から開始された神戸阪急のリモデル事業が遂に完了を迎えました。80億円を投じ、フロアの9割を改装する一大リニューアルで、前身のそごう神戸店が西武百貨店とミレニアムグループ傘下の百貨店となった際に行われた2002年のリニューアル以来、20年ぶりの全面改装となりました。
「神戸阪急ではない、神戸の阪急になるのだ」をキャッチコピーに、都市型百貨店としての返り咲きを図りつつ、独自性のある地域密着型のライフスタイルを発信するという二つのテーマを追求したリニューアルとなりました。
誘致したテナントにも独自性が強く意識されており、最後の改装フロアとなった8階には、関東で話題の老舗書店「有隣堂」がオープン。書籍だけでなく、雑貨や文具の充実が図られています。
各フロアのエスカレーター周りは「パティオステージ」として、各種イベントが開催されるスペースが確保されており、全体的にゆとりのあるフロア構成になっています。
いずれのフロアからも感じられるのはその華やかさ。ターミナル百貨店として、ハレ型の品揃えを意識し、その内装も満足度を高める高級感とワクワク感を高めた設計、意匠に仕上げられています。
また2階以上のフロアは木目を基調とした床を採用。ナチュラルで若々しい雰囲気の内装は「今風」の百貨店や商業施設を演出しており、傘下の阪神百貨店等とも類似しています。
本館各フロアの専門店や自主編集売場には細かくテーマを定めており、それに沿った業種や品目を集積させ、様々なライフスタイルの発信拠点としての役割を担う機能を持たせています。
非常に拘りの感じられる力の入れようです。阪急梅田本店とも異なり、且つライバルの大丸神戸店との差別化を図る神戸スタイルの確立を目指したと言えます。これに共感するファンを周辺地域だけでなく、広域圏からも増やす事ができれば、今回のリニューアルは大成功を収められるでしょう。
フロアの随所の柱や壁には廃材を活用した装飾が施されています。
本館と新館の渡り廊下には同じく廃材を活用したベンチが設置されました。
これらの廃材は愛知県の造船所のドッグで使われていたスギの足場板です。ヴィンテージ感を感じられる内装に仕立てられたサスティナブルな取り組みです。
本館よりも先にフロアの改装が完了していた新館についても、フラワーロードに面する西側1階のリニューアルが進みました。
31アイスクリームの出店していた区画には、インターナショナルブティックスの一部に組み込まれて、新たな路面店がオープン。
高級ダウンのモンクレールが出店しました。神戸阪急店も独特のファサードと大型ディスプレイを組み合わせ、前衛的なデザインが特徴的です。
新館のエレベーターホール内にもエントランスが設けられています。
新館の路面店には更にロエべが開業する予定です。新館のインターナショナルブティックスには5店の路面店が並びます。
エイチ・ツー・オー・リテイリングがそごう神戸店を取得したのが、2017年。6年掛けてようやく真の阪急化がひとまず完了した事になります。しかしもう5億円程投じて、外装についてももう少しそごう時代の面影を消して欲しかったですね。新館との兼ね合いもあったのかもしれません。建て替えの目処は今回の改装投資を改修した後の2040年とも言われています。
早期の建て替えには売上の回復が不可欠です。改装効果で今年度は440億円への上昇を見込みますが、更に来年以降には600億円への道のりを目指して欲しい次第です。
神戸阪急の全館リモデル事業が遂に完了 「神戸の阪急」が大丸神戸店との全面競争へ
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ご指摘にもあるように、一般の人から見るとやっぱりそごうにしか見えないのが残念ですね。店舗も大丸と旧居留地の店舗と被るし将来的な利用法が定まるまで取敢えず回していこうと言う感じ。もし、土地建物とも阪急の所有であったらこんな中途半端なことはしなかったでしょうね。多分…。
トイレが古いままなのが気になりますが、あそこまでリニューアルしなかったのは恐らく、将来の建て替えを見据えているからなのかなと個人的には思います。
いくつかまだ改装中のお店はあるものの、ついに念願のリニューアルオープンが完了しましたね。
大丸神戸店(もしくはその周辺店舗)に入っているブランドで、神戸阪急にも出店しているブランドがいくつもあるので、神戸のライバル同士の競争が激しくなりそうですね。
大丸神戸店の方は(インショップもありますが)路面店が周辺に広がりますが、一方の神戸阪急はインショップメインで梅田本店のような雰囲気があり、違いを出してきてますね。
みなさんからの評判はあまりよろしく無いガルバリウム鋼板張り(?)の外装も自分にとっては 「三宮といえば」で1番に思い浮かべる景色です。そごうではなくなっちゃいましたが賑わっていてほしいな…
関係ないですが全面戦争と書かれないところに しん@こべるんさんの人となりを感じます。