ウォーターフロント

「神戸港将来構想(案)」に関する市民意見提出手続(パブリック・コメント手続)の実施

kobeportfuture05.jpg

神戸市が先日、神戸港開港150周年を祝う場にて、同港の将来構想を発表しました。すでに新聞報道等でご存知の方も多いと思いますが、この構想について市民から広く意見を募るパブリックコメントの実施が開始されています。

http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2017/05/20170522173101.html
「神戸港将来構想(案)」に関する市民意見提出手続(パブリック・コメント手続)の実施について

受付期限は6月21日(水)までです。私も意見を投稿しようと思いますが、まずは構想のイメージ図から読み取れる事を述べたいと思います。

kobeportfuture01.jpg

まずは新港突堤西地区の将来構想イメージです。つい先日もこのエリアの再開発事業者の公募が開始される件について記事を書きましたが、商業、文化、住宅機能を併せ持つ複合施設となる再開発ビルが条件となっています。その要件を基に描かれたイメージかと思われますが、気がついた点は以下です。

①再開発ビルの高層棟の高さが約100m。
②住機能を配した高層棟にバルコニーが無い。
③第二突堤が撤去されている。
④新港地区の中央、東部の構想が皆無。

①はまたもや悪法の景観条例による高さ規制によってポートアイランドのしおさい公園から見た場合に、山の稜線を遮らないようウォーターフロント地区では最高高さが約100m未満に抑えられています。これを機会に是非とも条例を廃止して欲しいです。皆様もパブコメに参加されるようであれば、是非とも高さ規制の撤廃を記載して頂ければと思います。

②はイメージ図を描いた作者が市の消防条例を知らなかったのか、住機能を備える要件を知らされていなかったのか。

③については突堤撤去の上、マリーナの整備も1つの選択肢としては「有り」かなと思います。ただコンセプトとして謳われているラグジュアリーな空間という表現が寧ろチープな気もします。アーバンリゾートという表現の方が受け入れられやすいのではないでしょうか。

④が1番の懸念です。2年間を掛けて構想案の立案をしたのにも関わらず、なぜ西部のみなのでしょうか。グランドデザインがある訳ですから、そこからの具体化が今回期待されていた事なのではないでしょうか。

他に新港突堤の沖合で光のショーが行われる事を構想案として挙げています。当ブログでも事ある毎に、神戸港での噴水ショーの取り入れには言及してきました。やるなら世界的な観光名所として紹介される位のインパクトのあるショーにして欲しいと思います。

kobeportfuture02.jpg

次に中突堤のイメージ図です。こちらは懸案である中突堤中央ビルの再開発が構想の中軸となる模様です。同ビルの建て替えと今や名ばかりターミナルである「かもめりあ」の改修・有効活用を図り、一体的なエリアマネージメントの再編が必要とされます。中突堤中央ビルの建て替えでは、現在もKiss-FMの本社スタジオになっていますが、例えばサンテレビやNHK神戸、FM801のサテライトスタジオも誘致して、スタジオパーク的なメディアビルとして整備する他、上層階にロケーションを活かしたオフィス機能を持たせたり、低層階は飲食店や雑貨店が中心となるモール化等が考えられます。かもめりあはほとんど意味を成していない後背地にあるタクシープールも合わせて再開発。新たなアーバンリゾートホテルを建設しても良いかもしれません。

kobeportfuture03.jpg

ポートターミナルは改修工事を終えたばかりですが、クルーズ船を受け入れる主要ターミナルですので、建て替えは妥当でしょう。しかし中突堤への寄港も今以上に頻繁になるような使い分けが必要ですね。

kobeportfuture04.jpg

新たなコンテナターミナルの人工島造成は恐らく最も厳しい意見に晒されるのではないかと思います。神戸港復権という点では目玉となるプロジェクトかと思いますが、これは市単独ではなく、中枢港対象の国家プロジェクトとして動かすべきかと思います。勿論、神戸港の復権は重要なのですが、個人的にはこの予算があるなら、都心やウォーターフロントの再開発、再整備にもっと割り振って思い切った投資が出来るのではと思ってしまいます。

何にせよ今後30年を見越した構想という事ですが、コンテナターミナル島はまだしも、挙げられているウォーターフロントの開発は全て10年以内の完成が妥当です。三宮もこの10年で姿を変えて行くはずですので、同時進行で進められなければなりません。これらに30年を掛ける時間的余裕は神戸にはありません。



関連記事
ライトアップタワーズ

京橋線ライトアップ照明設備工事が完了 新港町エリアのゲートウェイが美しい光に彩られる

2021年11月22日
こべるん ~変化していく神戸~
神戸ポートミュージアム等の主要集客施設が開業し、一躍、ウォーターフロントの賑わいゾーンへと変貌した新港町エリアへのメインアクセス路で …

POSTED COMMENT

  1. kenkenbooboo より:

    もちろんわたしも意見出しますが、先にコメントしたように新港突堤地区はレトロ倉庫群を一掃して、海沿いに市内レトロ建築移築でレトロタウンとして欲しいです。もちろんリユースしてマリン系のショップとかバー、レストランとか入ればいいですね。背景としての税関側には高層リゾートホテルを一つ二つ誘致できないかなー。新しいランドマークタワーを4突に持ってきてもいいと思います。
    小野浜地区は中之島の仲卸市場と東部市場を集約して、築地市場のようにするのはどうですかね。両市場とも死んでいるので観光用に再整備できないかなー。跡地はマンション用地でいいんじゃないでしょうか。
    あと摩耶ふ頭の北岸旧倉庫群も気になりますが、ここは知る人ぞ知る「007は二度死ぬ」のロケ地でS.コネリーが悪党一味と格闘した倉庫がまだ残っているのです。個人的にはこっちの倉庫群の方が思い入れがあります。(笑)

  2. ハコモノ行政 より:

    ・アジアからの観光客を当て込んでいるにも関わらず、「日本らしさ」が皆無
    ・かなり早い段階で、湾岸線につっかえる大型客船が出てきそう
    ・ポートアイランド・空港の速達性担保は?
    ・ポートアイランドは(ほぼ)陸続きにして、もっと低くて幅広の橋梁で繋ぐべきでは?
    ・アジアLCCの需要は劇的に増えるのでは?
    ・30年後なら、ハーバーウェイ・浜手バイパス・3号神戸線の一体的整理を考えるべき
     予定地は暫定利用での活用に限るとか・・・(コスト的に地下は無駄でしょう)
    ・ポートアイランド側に1㎞オーバーのホテル群を建てるとかは?条例には引っかからないですよね?
     まあ高さを競ってるようではアジア各国の相手にされないとは思いますが・・・

  3. いまちゃん より:

    やはり景観条例は都市開発の上で邪魔にしかなってませんね。この時代に都市開発に参入するデベロッパーが地方自治体というのも残念ですが、衰退している神戸経済と神戸市を立て直すには再開発にかかっています。是非、神戸の良さを生かして神戸市にしかできない都市開発を進めてほしいものです。

  4. 匿名 より:

     神戸港の西域を物流機能から転用する方向はよいと思うのですが、「豊かな生活環境の創出」、居住機能の導入と言いながら光のショーを行うとしたり、将来像が中途半端で何をしたいのか不明確の感を否めません。それが「ラグジュアリーな場」という用途を示さない抽象的な見出しに表れているように思います。私は、転用の方向は、「観光施設化」であると考えます。神戸港西域は観光ゾーンに転用することを明確に打ち出すべきだと思います。大阪や京都と差別化するのは、海を中心とした都市景観であると考えます。テーマは「海の見える***(ホテル、遊園地、コンサートホール・・・)」です。神戸港の西部のエリアを全体として「ポート・パーク」として観光施設であることを明確に打ち出してはどうかと考えます。(ディズニーリゾートにおけるディズニーシーのようなポジションです。)
     具体的には、まず、ポートアイランドの北西部を物流機能から解放すべきです。神戸市はポートアイランドのしおさい公園を景観の基準点としながら、その近辺を物流機能として使用し続けるのは支離滅裂です。ポートアイランドの北西部は、六甲山、神戸港、市街地という神戸ならではの景観を同時に見渡せる貴重な場所なので観光施設化(遊園地、リゾートホテルなど)すべきです。それは同時に市街地側から南側の景観をより華やいだものにする効果があります。
    市街地側(新港地区、みなとの森公園)は、陸海空の交通の要衝であり近畿圏だけでなく西日本全域から人が集まりやすいという利点を生かして、海に隣接した大型のコンサート会場、野外音楽堂(全国的、世界的なアーティストのコンサート会場に選ばれるような個性的もの)、コンベンション会場を立地させ、その周囲にリゾートホテルを集中立地させ、さらに観光客向けのショッピングセンターも配置します。
     市街地側とポートアイランド北西部の間の海域で水上ショーを行い、その周辺を観光船はもとより、ヨットやクルーザーを周遊させ、海洋系のレジャーを集積させます。ヨット・カッター・カヌー・帆船、船員体験等の体験型観光施設やカワサキワールド等の企業博物館等も集中立地させます。将来的には、ポートアイランドの東北部はテーマパーク等に転用できれば良いと思います。
     神戸は「おしゃれ」で「ハイカラ」だからPRさえすれば人が集まるはずと考えるのは、根拠がありません。神戸市の観光施策は、こうした独善性を感じます。神戸は、地域の個性を打ち出すのではなく、だれもをそのまま受け入れる寛容性・包容性のあるコスモポリタンな都市であるべきなのではないかと思います。「個性」へのこだわりが神戸市を袋小路に追い込むことになります。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です