今年も森ビルのシンクタンクである森記念財団都市戦略研究所が日本の都市力評価を実施し、ランキング形式での調査報告書となる「日本の都市特性評価 2020」を発刊しました。
http://mori-m-foundation.or.jp/wordpress/ius
森記念財団都市戦略研究所
東京特別区を除く全国109主要都市(昨年は72都市)を「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」という6分野にて分析・スコアを算出し、各分野においてランキングを作成。最終的に総合スコアによってそれぞれの都市力を評価したランキングとなっています。
過去2年の神戸市のランクは全国6位をキープしてきましたが、今年のランキングも同位の6位という結果で落ち着きました。
総合スコアランキング トップ10
()は昨年の順位(同位は無記載)
1位 | 1,211.7 | 京都市 |
---|---|---|
2位 | 1,188.4 | 大阪市(3位) |
3位 | 1,161.5 | 福岡市(2位) |
4位 | 1,095.2 | 横浜市 |
5位 | 1,082.6 | 名古屋市 |
6位 | 1,067.0 | 神戸市 |
7位 | 1,030.9 | 仙台市 |
8位 | 966.8 | 金沢市(9位) |
9位 | 961.0 | 札幌市(8位) |
10位 | 959.4 | 松本市 |
神戸市総合評価
神戸市は、文化・交流において強みを有しており、特に「交流実績」の国際会議・展示会開催件数は対象109 都市の中で最も評価が高い。また、「発信実績」の魅力度・認知度・観光意欲度でも高い評価を得た。経済・ビジネスにおける「ビジネス
環境」や、交通・アクセスにおける「都市外アクセス」などの評価も高い。経済規模の大きい都市では低評価になりがちな生活・居住においても比較的高い評価を得ている。環境では自然環境の満足度や都市地域緑地率、水辺の充実度といった「自然環境」の評価が良いことから、大都市でありながら、自然の豊かさと住みやすさを兼ね備えていることがわかる。
これまで同様に昨年も最高位の4位となった国際会議開催数によって文化交流や発信が最も高評価されているようです。また交通アクセスが昨年の11位から8位にジャンプアップしています。恐らく神戸空港の発着枠の規制緩和によってスカイマークやFDAによる新規就航都市が増えた事に起因しているものと思われます。環境面は大きく順位を下げましたが、これはランキング都市が増えてより多くの地方の中都市(人口17万人以上)が加わったからでしょう。生活・居住も大きくランクを上げました。ただ経済・ビジネスや研究・開発は1位ですが、ランクを下げた事はマイナスです。
5位の名古屋市とは今回も15ポイント差でした。やはりトップ5へのランクアップには壁があります。神戸空港の国際化、三宮再整備による都心の活力アップで交通アクセスと経済の指標を更に磨くと共にまだ弱い研究集積や研究開発成果を高める必要があります。来年のランキングでは国際会議件数の減少から文化・交流における順位を下げてしまう恐れもあります(他都市も同様ではありますが)。先日、明らかになった国際金融都市構想やグローバルスタートアップ拠点としての確立等、企業集積と都心開発の両輪を組み合わせて経済活性化を図っていきたいところです。
神戸市の評価、思いの外高いですね。大都市でありながら豊かな自然環境に恵まれ住みやすい街という点では、京都・大阪・神戸の各市内での在住経験から神戸が一番住みやすいと思います。
もう一つの、「交流実績」…国際会議・展示会開催件数が最も評価が高いというのも意外な感じがしますが、これは、過去の神戸ダイナミズムの遺産のお陰であると思います。
神戸コンベンションコンプレックス…あまり聞きませんが、これは神戸の先達がポートアイランド開島時に建設した、国際会議場・国際展示場・ワールド記念ホール・ポートピアホール・ポートピアホテル・国際交流会館・神戸商工会議所会館等の施設を国内で初めて一体整備した国内最大のコンベンションゾーンの事です。そして今では、空港に最も近い施設となっています。
40年前にこれらの整備を成し遂げた先達の先見性には感服するしかありません。
ただこれらの施設は同じように年を経て老朽化し劣化していきますし、他都市にも新しい機能を備えた施設群が建設されています。
神戸市は、将来の人口減社会に囚われすぎず、神戸の次の50年をしっかりと支えるようなインフラの再整備を早急に行うべきだと思います。
大阪湾岸線延伸はその大きな契機となり空港の利便性を高め神戸市の都市力を高めます。そしてその効果を最大限に引き出す為には大量輸送手段等…交通インフラ再整備が不可欠なことは誰の目にも明らかです。
グローバル拠点としての都市機能が充実し利便性が増せば流入人口は増えていきます。今、神戸市には、大きな未来絵図を描ける人が必要ですね。