旧居留地・江戸町は江戸町筋x仲町通に面した角地にあって三共生興スカイビルは2019年に大阪の不動産会社である都市環境開発社に売却され、20年10月に閉館、21年より解体が開始されて12月頃に完了。その後は都市環境開発が運営するコインパーキングとして暫定利用されてきました。
以前より跡地にはオフィスビルが計画されているという噂が出ていましたが、この噂は真でした。
この敷地面積1,843平方メートルの土地に新築オフィスビルを建設するのは姫路市に本社を置くWDBホールディングスです。
同社は東証プライム市場の上場企業で、直近の売上高は468億円。従業員数1,000名以上の優良企業で、インターネットサービスを主とする「プラットフォーム事業」、理学系研究職派遣を中心に、登録型派遣と正社員型派遣、人材紹介を行う「人材サービス事業」、医薬品・医薬部外品等の基礎研究における実験業務と臨床研究以降の開発業務を代行・支援している「CRO(受託臨床試験機関)事業」を主事業としています。
全国諸都市に支店網を展開し、中核企業のWDB株式会社の神戸支店は神戸国際会館向かいの井門神戸ビルにあります。
同ホールディングスはこの土地に地上9階 地下1階 延床面積11,039平方メートルのオフィスビルの建設を計画しています。規模としては、新港町のジーライオンアワーズビルに匹敵します。
プロジェクト名は「(仮称)WDB三宮ビル新築工事」。この新築オフィスビルをWDBホールディングスはどう活用するのでしょうか。
一つの目的としては、近隣に散らばるグループ企業の支店・拠点をこの建物に集約する事が考えられます。
しかし全ての床を使い切るのは恐らく難しいので、残りは賃貸オフィスとしてテナントを募る事になるかと思います。また1階は旧居留地内に課される条例に基づいて、以前の建物同様に店舗区画が設けられるでしょう。
同じ江戸町筋の北側では、神戸銀行協会の近代建築「神戸銀行協会ビル」を地上11階建てのオフィスビルに建て替える「(仮称)神戸旧居留地91番地プロジェクト」が計画されており、来夏の着工予定です。
三宮町1丁目では、大和証券神戸ビルの建設が進んでいる他、同じく三宮町1では今年2月に関電不動産神戸三宮ビルが完成したばかり。昨年は神戸三宮阪急ビルや新港町にジーライオンアワーズビルが供給されました。俄にオフィスビルの建設ラッシュの様相を呈してきました。
WDB三宮ビルの設計を担当するのはWDBホールディングスと同じ姫路市に本社を置く小野設計。同設計事務所はどうホールディングスの本社屋の設計を手掛けている他、神戸では播州信用金庫工場本部ビルの設計も行いました。WDB三宮ビルも重厚な外観になるのでしょうか。
大和証券神戸ビルは神戸市のオフィスビル建設促進制度の認定第1号でしたが、着手時期が早ければ、神戸旧居留地91番地プロジェクトに先駆けて、このビルが第2号認定の可能性が高いかもしれません。
今年になって明らかになった三宮駅周辺の大規模再開発プロジェクトもそれらの機能の中核にオフィスを配する計画にしており、今後7年に渡ってオフィスの新規供給が継続する事になります。更に新たなプロジェクトの浮上にも期待が持てる展開になってきました。
(仮称) WDB三宮ビル新築工事
所在地 神戸市中央区江戸町101番地、102番地の1、102番地の2事業者 WDBホールディングス
敷地面積 1,843平方メートル
建築面積 1,549平方メートル
延床面積 11,039 平方メートル
高さ 40.8 メートル
構造 鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)
規模 地上9階 地下1階
建物用途 オフィス
設計 株式会社小野設計