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新港第3・第4突堤間を埋め立て 護岸築造工事落札者決定 クルーズ客船受け入れ体制強化開始



神戸市は新港第3・第4突堤の間の根元部分である約1.6万平方メートルを埋め立てポートターミナルに停泊するクルーズ船の乗降客を運ぶバスや三宮フェリーターミナルを発着するジャンボフェリー・宮崎カーフェリー等の貨物車の待機場として整備する予定です。

5月に広告した一般競争入札に「新港突堤間護岸築造他工事」がありましたが、これが今回の埋め立て工事に該当するものと思われます。また7月上旬に既に入札と改札が実施済です。


結果として五洋・兵庫奥栄特定建設工事共同企業体が20.7億円で落札。入札条件として、工事の完成期限は2021年9月末と定められていました。

神戸港の昨年のクルーズ船寄港数は全国6位の135回で過去最多となりました。しかし1位の博多(279回)、2位の那覇(243回)、3位の長崎(220回)と比べると倍程の差があります。九州・沖縄勢がダントツで、本州の港のトップは168回の横浜で4位。

しかし3位の長崎では地元経済界からクルーズ船の経済効果を全く得られていないという不満の声が少なくないようです。到着した数千とも言われる乗船客は寄港した桟橋からCIQを経て徒歩で市街地散策に出掛けられるケースは稀で、大概は乗り付ける観光バスに乗せられて指定の大型免税店や一部の観光エリアに直行するのが殆どのようです。

神戸の場合もクルーズ船寄寄港数が増えても乗船客の大半は観光バスで大阪や京都に流れる事が指摘されています。


今回の突堤間の埋め立てによって観光バスの待機場が増設されても地元経済への波及効果については懐疑的です。徒歩でウォーターフロントや都心部へもアクセスが可能な中突堤の方がより乗船客の街への誘導はハードルが低いでしょう。新港町エリアの再開発が進むとポートターミナルのある第4突堤の足元から観光スポットが広がるようになるので、これでよりは乗船客の足が神戸にも向かう可能性もあります。現状においては、市もターミナルと三宮を結ぶシャトルバスを15分に1本のペースで運行しています。しかし寄港クルーズ船はツアーが事前に組み込まれているケースが殆どのようで、これらは前述のバスで大阪、京都というパターンに繋がってしまうので、神戸を拠点として発着するクルーズ船の誘致が必要です。発着型であれば、乗船前後に神戸での宿泊や飲食、買物等が期待されます。


本州で1位の横浜港は大桟橋に横浜港大さん橋国際客船ターミナルという都心近接型の旅客船ターミナルがあります。本州トップとは言え、寄港数は本州2位の神戸と然程の差はありません。


しかし横浜は更に新しい旅客船ターミナルを建設し、寄港数の増加を促進させる予定です。先日も、これまで反対の意向を示していたIR施設の誘致に対して、一転して誘致に名乗りを上げた横浜市。誘致に成功すればクルーズ船の寄港数も飛躍的に伸びる可能性があります。

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神戸港将来構想(案)の中でポートターミナルの将来のイメージ済図が描かれていましたが、突堤の両岸に船が着岸できるように拡大されたターミナルビルが構想としてはあるようです。大阪・夢洲にIR施設が開業すれば、ポートターミナルへの寄港数へも寄与するのは間違いありません。今回の埋め立てもこの対応を事前に行うという意図もありそうです。

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POSTED COMMENT

  1. ハコモノ行政 より:

    大阪港は僅か45回で、大阪湾として180回です。目的地は明らかに大阪・京都ですから、大阪港が増強しない理由を考えるべきかと。

    クルーズ客船の港湾利用料は幾らくらいなんでしょう?投資に見合う売上増は見込めるのでしょうか。…客待ちの観光バスが周りに迷惑を掛けないように駐車場を、ということなら、あまり筋の良くない投資ですね。

  2. 摂津国人 より:

    残念ながら、私はクルーズ船の呼び込みには賛成できません。

    まず、クルーズ船と観光収入についての以下の記事をご覧ください。

    豪華客船にお金持ちは乗って来なかった~クルーズ船寄港地の憂鬱
    https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20190712-00133858/

    クルーズ船を規制しても観光収入は下がらない
    http://ryukyuconsulting.com/2019/05/16/okinawa_tourism_11/

    クルーズ船で入国する外国人旅行者は買い物は自国資本の提携店で、一番お金の落ちる夕食や宿泊はクルーズ船内で済ませるので、停泊港の都市には観光収入のメリットがありません。
    記事内でしん@こべるんさんも言及なさってですが、神戸にクルーズ船が停泊しても大阪・京都にバスで行ってしまうようにツアー内に組み込まれています。
    クルーズ船で訪れる外国人観光客にとって神戸はただの通過点です。

    明言しておきたいのですが、そもそも神戸はインバウンド向けの都市ではありません。
    確かに神戸にはチャイナタウンの南京町や旧居留地の欧州建築などが残っていますが、外国人からすると中華街を求めるのであれば中国に旅行するでしょうし、欧州の建築物を求めるのであれば欧州に旅行するでしょう。
    神戸の異国情緒は日本人にとって魅力的な異国情緒なので、神戸はインバウンドよりも国内の観光客をターゲットとすることをお勧めします。
    現在、京都は大挙して押し寄せる外国人観光客のオーバーツーリズムによって住民が日常的にバスに乗れない観光公害とともに、国内の観光客が混雑した京都を嫌って京都を避けるようになってきています。
    その一方で、神戸は150万人都市としてのインフラを保持していながらオーバーツーリズムにさらされていないので、国内の観光客を呼び込むチャンスにあります。
    そのチャンスを生かすことなく、観光収入につながらないクルーズ船誘致に市民の税金を使ってしまうのは本当に残念です。

    神戸空港の国際化の記事内でも触れましたが、神戸空港の国際化は京阪神大都市圏の財界からの需要によるアウトバウンドであるからこそ私は賛成していますが、もしもインバウンドを狙った国際化であったならば反対していたでしょう。

  3. ヒーコ より:

    摂津国人さん、おっしゃる通りだと思います。
    資金を投入するなら目新しい観光資源でしょう!
    未来型遊園地やポートタワー以上に存在感のあるタワーもアリだと思います。
    まだ神戸に意欲や創造力が残っていることを祈ります!

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