福岡市はJR博多駅前広場に面して立つ西日本シティ銀行本店は、建築家・磯崎新氏が設計を手掛けた赤茶色の外壁が特徴で、重厚な建物が立ち並ぶ博多駅前においても、目を引く存在です。
しかし築年数は、旧福岡相互銀行の本店として竣工してから既に50年を経過。老朽化が進んでいました。同ビルを保有する西日本シティ銀行と福岡地所の2社は、福岡市が進めている博多駅周辺のビル建て替え推進施策「博多コネクティッド」を活用し、ビルの再開発を行います。
計画されている建物は、地上14階 地下4階 延床面積75,678平方メートルの複合ビルで、低層部に店舗、中高層部を西日本シティ銀行の本店機能及びテナントオフィスフロアとした構成にする他、多目的ホールも整備する予定です。
デザイン設計は、デンマークを拠点とする国際建築デザイン事務所の「3XN Architects」が、日本で初めて担当するプロジェクトとなり、博多駅前の新しいランドマーク誕生を目指します。
低層部のコーナーには大規模立体広場「コネクティッドコア」を整備し、地上と地下の歩行者ネットワーク形成を向上します。
福岡市は「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」の再開発を進めるのと合わせて「都心の森1万本プロジェクト」を推進しており、各再開発プロジェクトにおいて、植樹を促進して緑化空間を増やす事による景観向上を目指しています。この西日本シティ銀行本店建て替え計画もこれに倣い、緑化空間を形成します。
建物地下には、地域に開かれた400人規模のホールを入れ、音楽鑑賞や法人利用等を見込んでいます。
西日本シティ銀行は、本プロジェクトを博多コネクティッドにおける第一弾と位置付けており、同行が保有する物件を連鎖的に建て替えていく方針です。今後のプロジェクトも福岡地所との共同開発を予定しているのでしょうか。
福岡地所とは、つくづく地域に根差した非常に実効力と資金力のあるデベロッパーです。福岡都心の再開発プロジェクトの大半に関与しており、同社なくしては天神ビッグバンも博多コネクティッドも成り立たないのではないかと思います。神戸にも福岡地所レベルの盟主誕生を期待したいですね。
西日本シティ銀行本店本館建替えプロジェクト
所在地 福岡市博多区博多駅前3丁目1番1号敷地面積 約5,230㎡(約1,582坪)
建築面積 約5,083㎡(約1,538坪)
延床面積 約75,678㎡(約22,893坪)
階数 地上14階、地下4階
用途 銀行、事務所、店舗、駐車場等
構造 鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造
耐震性能 免震構造(地下3階柱頭免震)
着工 2023年11月頃(予定)
竣工 2026年1月頃(予定)
事業主 特定目的会社 Walk
設計 株式会社日建設計(基本設計)・大成建設株式会社一級建築士事務所
施工 大成建設株式会社