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地域探訪: 大阪メトロが夢洲に50階以上の超高層ビル構想を計画 主要ターミナル駅も大規模改修へ


民営化されたばかりの旧大阪市営地下鉄・現大阪メトロが民営化を象徴するかのような初の大規模不動産投資を行う事を発表しました。万博開催会場として決定している夢洲の会場駅に直結した地上55階 高さ275mの超高層ビルを建設する構想です。この建物は商業施設、ホテル、オフィスから成る複合ビルとします。公開されたイメージは円筒形のガラスのタワーから水が流れ出るようなガラスの大屋根が取り付けられるという斬新な構造です。


ビルと直結する夢洲駅はこの流れ出た水のような曲線を描く大屋根の下に配置され、日本離れした未来的で開放的な空間となります。総工費は1000億円を見込む大型投資です。

この他、大阪メトロは地下鉄中央線を夢洲へ延伸する計画ですが、同線には新型車両を投入し、この新駅に乗り入れるに相応しい列車が発着する事になります。また中央線沿線の15駅や新大阪、梅田、心斎橋等の主要駅の大規模改修も実施する予定です。

まさに民営化のメリットを活かしながら、大阪が掴んだ千載一遇の好機を掴もうとする大規模投資に挑む格好です。

今回の件からも大阪の必死さが感じられます。ミナミを中心に海外からの観光客による活況が取り沙汰されている一方で、東京への企業本社流出には歯止めが掛からず、オフィス需要が逼迫しても新規供給はあまり増えていません。一方、東京では毎年何十万平方メートルのオフィス床が供給され、経済都市としての東京との差は開くばかりです。

そんな中での万博開催とIR誘致は状況の打開に何としても実現しなければならない最後の砦でした。今後はこれらの成功に邁進する事が大阪の成長の原動力になります。

なりふり構わず力づくでも獲得しなければならない岐路というのは都市にとっても人生にとっても同じなのかもしれません。大阪にとってはまさに今がその局面でしょう。

負の遺産だった夢洲や南港等のベイエリアの開発が今後、本格化すると、関西で随一のウォーターフロントという神戸の十八番も危うくなりかねません。

しかしこの一連の大阪復活の流れも結局、元を返せば橋本知事・市長に端を発します。民間出身でしがらみの無い一政治家が起こしたムーブメントの影響がいかに大きかったかを実感します。自治体も企業もリーダー次第で大きく変わります。

翻って神戸を考えると、あまりにも小さくまとめようとし過ぎています。歩道橋のコンペに一喜一憂している場合ではありません。歩道の拡幅に3年以上掛けてる場合でもありません。神戸にとっても今は千載一遇のチャンスなのです。

リーダーには色々なタイプがありますが、この好機をモノに出来ないのであれば、タイプはどうあれ、その資質が無いと判断されるでしょう。もはや行政の発想のみでは到底叶いません。今こそ民間出身の副市長やブレインを積極的に登用すべきです。

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POSTED COMMENT

  1. 神戸太郎 より:

    この前市長選あったばかりじゃありませんでしたっけ?
    現市長が神戸活性化のために人材登用で冒険するタイプにはみえませんし、なかなか先行きは暗いですね

  2. kkbb より:

    昨今の大阪の動きは80年代ごろの神戸を彷彿とさせる印象を受けますね。
    当時の神戸はポートピア81やユニバーシアードの成功に裏付けされる日の出の勢いがありました。
    当時の大阪はと言うと大事業はほぼ神戸のモノマネであり、その代わり神戸の2、3倍の規模でやってしまう金に物を言わせた開発事業のやり方でした。
    そして大型事業には必ずリベラル左派系大阪市民が反発を表明して混とんとした大阪市政でした。
    当時の大阪は、やりたいことをやる神戸を羨望の眼差しで見ていたのです。
    震災後の神戸はまるでこのころの大阪です。たぶんこの大阪のリベラル左派市民が老後に神戸に移住したのか?
    あれほど神戸市民が胸を張っていた都市開発事業が行政悪にされ、まるで戦時の軍国主義と同様に扱われる現状です。
    京都、大阪にない海山を背景としたリゾート観光都市の可能性を秘めているのに、せっかくの人工島は殺伐としたダウンタウンの風情に変わり、六甲山は全国比例のないリゾートなのに、アクセス改善もしない。せめてロープウエイの延長も含め、摩耶ケーブル、六甲ケーブルまで鉄道ひくくらいできないのだろうか?
    大阪ならポーアイアクセスに私鉄民活導入ぐらい市議会で検討されるだろう。
    とうのお公家市長は何かに興味を示すもすぐに非常に難しい、巨大な予算がかかるとか弱音ばかりを吐く。
    阪急との相直の話はどうなったのか?
    あれだけ前向きだと言っておきながら、たぶんいざ企業と席に着くと話のイニシアチブが取れず諦めてしまうのだろう。
    JR西日本とは推して知るべしだ。
    さらにこのリベラル左派神戸を後押しするのが神戸新聞だ。
    紙面ではあらゆる手を使ってデベロッパーの批判をする。
    昨年のクリスマスツリーの批判顛末を助長したのが神戸新聞で、たかが一イベント事業を震災にからめ徹底的に糾弾する地元マスコミに怒りさえ今も覚える。
    企業が神戸に投資を控えるのは昨年のこのクリスマスツリーイベントの影響が少なからずあります。
    神戸市民は派手な都市開発を嫌っている。
    市外の企業や国民にこの間違った認識さえも植え付けてしまった。
    長々と思いのたけを書いてしまいましたが、最大の戦犯は神戸市長と地元マスゴミ新聞でしょう。

  3. 神戸に住みたい より:

    大阪の都市開発の規模とスピードはワクワクさせるものがありますね。
    神戸は神戸空港国際化の可能性、湾岸西伸部と好材料はあるが、今の行政がそれを活かせるか心配です。
    こべるんさんの仰る通り、歩道橋に3年とは亀のようなスピードです。
    JR三宮駅の発表もまだですし、とにかく決定までが遅すぎます。神戸市長はじめ神戸の行政は、危機感と神戸発展の思いはあるのか、全く疑問です。まるで衰退させてるようです。
    2030年頃の大阪は梅田北ヤードや万博後(IR)の再開発も完了し、リニア延伸を迎える準備も万全でしょう。

    神戸はそごう(阪急)、センター街、高架下、元町駅前〜県庁などまだまだ問題は山積みです。
    どうも最近の発言を聞いていると、井戸知事の方が危機感を持っているように感じられます。500万人の兵庫県の県庁所在地がこれでは心配なのでしょうね。

    神戸らしさと先端技術が融合された150万都市の発展を願うばかりです。

  4. 某京都府民 より:

    私はどちらかと言えば「国家」、もっとハッキリ言えば「富国強兵」を強く意識している人間です。しかし、世の中にはグローバリストや自由主義者、リベラリストなど様々な思想の人間がいることも知っています。

    たとえば、鉄道の駅にホームドアが設置されたり、バリアフリー工事がされたり、オストメイト対応トイレが増えたりするのは何故か?これらは、少なくとも直接的に金銭的利益につながるわけではありません。結論を言うと、これらはリベラリズムの思想に影響されていることは間違いないでしょう。

    一方で、自由主義者はほとんど全ての規制を撤廃することを訴えるかもしれませんし、グローバリストは全てを国際基準・英語圏基準にすべきだと主張するかもしれません。一方、寺院などの宗教関係の影響力が強ければ、もっと規制を強化してほしいという主張があるかもしれません。

    このように考えると、たくさんの人が住む都市であれば、様々な思想や立場の人がいるのは当たり前のことだと分かります。とりわけ100万人以上の人が住んでいるような大都市であれば、奇妙な考え方をもつ人も中にはいるでしょう。でも、その事実を受け入れることが大前提です。そして、健全なバランス感覚をもった人がリーダーシップを発揮して、なるべく多くの人が納得できるような街づくりをする。これこそが都市計画の難しさであり、かつ面白さなのではないでしょうか。

    多様な人の存在を忘れ、物事の一面しか見ない都市計画は、全て傾聴に値するものではありません。それは、山奥にある数十人の村社会でのみ通用する話です。神戸市長は、村社会的な発想に完全に拘泥しているように見えます。私はあえて田舎を否定するわけではありませんが、少なくとも神戸は日本を代表する大都市なのですから、大都市は大都市らしい振る舞いをしてほしいと切望するわけです。

  5. 大阪市民 より:

    大阪が長年ベイエリア開発に苦しんできたのは、ベイエリア=神戸というイメージがあったからだと思います。だからビルを建ててもほとんど観光客は来ないし、テナントが埋まらないから人も増えない。

    今回の夢洲開発はそんな大阪が掴んだ千載一遇のチャンスです。

    • しん@こべるん より:

      最後の一言は全くもって不要なので削除しました。煽りが目的なのであれば、今後のコメントは承認しませんのでご理解下さい。

  6. hk より:

    大阪に万博、IR、海遊館移転、USJ第2パークなどがベイエリアに近い将来誕生し鉄道が引かれ
    海を気軽に身近に感じる事が出来るようなオシャレスポットになるのは凄く嬉しいですし大阪の発展は関西の発展に繋がるので応援していますが、
    そうなった時にハーバーランドの立ち位置が心配ですね
    そして神戸に余裕があれば何も思いませんが今の神戸市は都市開発においては衰退しかしていないので生き残りをかけてもっと危機感を持って大胆に柔軟に色んな事に前向きになって都市開発をしないと本当に取り返しの付かない状態に陥りそうでそれだけが心配です。

  7. windforest より:

     久元市長は就任以来いくつもの事案について、「検討する」と表明してきた。阪急・市営地下鉄の相互乗り入れ、ポートライナーの新神戸延伸、8両化、臨海地区への輸送力増強、コンベンションセンターの更新、加納町交差点の改良 等々、すぐに思いつくだけでもいくつも上げられる。しかし、検討結果が一向に明らかにならない。検討するのにそんなに時間がかかるものなのだろうか。細々とした実施計画を立てるのなら時間もかかるだろうが、基本的な議論は1年もあれば十分だろう。問題は検討の段階にあるのではなく、意思決定の遅さが原因なのではないのか。市長は検討結果を明らかにすべきだ。事業資金の問題など直ちに実現が不可能なものもあるだろう。そうした問題点も含めて、どういう案が一番望ましいのか、どうあるべきなのか、市長がどうしたいと考えているのか、検討結果を公表すべきだ。公表して、こうしたいという意思を表明すれば、それに応じて解決策も現れるものだ。神戸のような大都市であれば、世界中から解決策が集まるかもしれない。いつまでも内に問題を抱えて、いたずらに時間を浪費すべきではない。神戸市の現在の状況を見ると、町おこし、事務改善レベルの政策しか打ち出せていない。都市にダイナミズムをもたらす、都市構造に及ぶような計画こそ、市長が心血をそそぐべきことだ。三宮再開発、神戸空港の規制緩和、湾岸線延伸は全国的な規定路線で、市長の功績とよべるようなものではないだろう。

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