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兵庫県立 兵庫津ミュージアム ひょうごはじまり館が開館 初代県庁館と共にグランドオープン ミュージアムカフェも開業



兵庫区・地下鉄海岸線中央卸市場駅近くに兵庫県立兵庫津ミュージアムひょうごはじまり館が11月24日(木)に開館しました。隣接する初代県庁館と二期に渡っての開館となり、兵庫津ミュージアムが遂にグランドオープンを果たしました。



ミュージアム前の案内板には開館のお知らせとオープニング企画の特別展の告知が行われていました。



初代県庁館と異なり、モダンなデザインとしたひょうごはじまり館。南面ファサードにはカーテンウォールを多用し、エントランスは切り立ったように斜めの形状になっています。



ミュージアムの一部をセットバックして博物館前には公開空地を設けて、開放感を生み出しています。



この広場には国旗、県旗、博物館旗を掲揚するポールを設置。



鉄筋コンクリートで覆われた外壁をカーテンウォールで上から更に覆うという造りです。ガラスの上にはコンセプトの文字やデザイン画を



植栽内に設けられたひょうごはじまり館と初代県庁館の位置を示すサインです。



さあいよいよ館内に足を踏み入れます!エントランスから中に入ると、2層吹き抜けの開放感あるアトリウムロビーに迎え入れられます。



エントランスホール内の天井からは江戸時代に兵庫の港でも大活躍した北前船の複数の模型が空中に吊り下げられています。



南面と東面のカーテンウォールから差し込む自然光によって明るいアトリウムは気持ちが良いです。



実はこれらの北前船型は行灯であり、アトリウムのデザイン照明として機能しており、なかなか粋な演出です。



ホールの床には1868年の兵庫津を描いた鳥瞰図が広がっています。



1階のフロアマップです。エントランスホールを中心として、奥に常設展示場、ひょうご発見広場、マップギャラリー、そしてひょうごダイナミックシアターで構成されています。



それではまず常設展示場から見ていきましょう。足を踏み入れるとまず神戸や港が地形的にどのように出来ていったのかを模型と映像で解説する「自然と人が育てた港」に迎え入れられます。天井から模型の上に投影したプロジェクションマッピングで模型が立体感+躍動感を持ち、興味深く港の成り立ちを学ぶ事が出来ます。



神戸港を育てた平清盛、足利義満、伊藤博文がプロローグとして紹介されます。



まずは古代の神戸港である兵庫津からスタート。平清盛が兵庫津で描いた夢を映像で語ります。



どうやって人工島や防波堤を築いたのかを模型で解説。岩を木造船に積み、そのまま海底に沈め、これを繰り返しました。



宋との交易で栄えた港の北部に築かれたのが幻の都・福原京。一時ではありますが、兵庫に遷都が行われた貴重な時代でした。



展示は時代を追っていく形で進みます。各時代を間仕切る真っ赤なデザインゲートがなかなか格好良いです。



続いて中世に移っていきます。港が港町へと発展していく様子を展示しています。



壁一面に描かれている中世の兵庫津の発展の歴史。



この時代に兵庫津の発展を支えたのは足利義満。日明貿易を進めた義満の功績をグラフィックウォールで解説しています。



壁の手形マークに触れると、グラフィックが点灯し、プロジェクションと音響効果が開始され、日明貿易の流れが分かる仕組みになっています。子供も大喜びです。



そして時代は近世に移ります。江戸時代の兵庫津には当時としては珍しい兵庫生簀(ひょうごいけす)があり、今の水族館のような役割を果たしていたようです。



これを模したデジタル体験コンテンツ「いけすdeタッチ」。生簀内で泳ぎ回る瀬戸内海の魚貝類を学びながらタッチして捕まえるプレイゾーンです。



最新デジタルコンテンツがあると思えば、更兵庫津名所めぐりの巨大すごろくという非常にアナログなアトラクションも。



そして1/10スケールの北前船の模型も展示されています。この江戸時代に兵庫津を拡大させた兵庫人の立役者が2人。まずは高田屋嘉兵衛。兵庫津を拠点に北前船を使い、兵庫津で酒、塩、木綿等を仕入れて酒田に運び、酒田で米を購入して箱館に運んで売り、箱館では魚、昆布、魚肥を仕入れて上方で売るという商売で巨万の富を築きました。



もう1人は工楽松右衛門。廻船業を営む実業家ながら発明家でもあり、「松右衛門帆」と呼ばれる帆船を発明し、日本の海運業に大きな貢献を果たしました。



そしていよいよ最終ゲートを潜って近代に突入します。



初代兵庫県知事となった伊藤博文や神戸事件について、明治維新後にイギリス公使館の通訳、駐日公使、駐清公使を務めたアーネスト・サトウが解説します。



近代ゾーンは幕末の兵庫津・兵庫県の誕生と発展についての展示となり、一挙に写真が増えてきます。



2本の柱に囲まれた空間は、中央に立つと備え付けのビデオカメラによって明治以降の神戸の写真の中に自分自身が入り込んだような形で映像に合成され、モニターに写し出されます。



初代兵庫県庁舎の模型です。



常設展示エリアを出ると、ひょうご発見広場が広がります。



ひょうご五国各地の魅力を見て・触れて・学べるショーケースや鮮やかな解説ボードが見どころという触れ込みになっています。



その奥にあるのがマップギャラリー。兵庫津・兵庫県各地の古地図をを見ることができ、江戸時代から現在までの兵庫津地図の変遷を辿れるタッチパネルも設置しています。



ひょうごダイナミックシアターは湾曲した横幅13メートルのスクリーンで兵庫県設立時の様子をミュージカル調に紹介するショートムービーが上映されています。人物が等身大に映される為、まるで演劇を見ているような錯覚を起こさせ、なかなか趣向を凝らした演出でした。



それではホール中央の階段を使って2階に上がってみましょう。



2階のフロアマップです。メインとなるのは二つの企画展示室。



階段を上がると、広いホールが広がっており、奥に一番大きな第1企画展示室があります。



オープニングの企画展示は「ドキュメント1868-ひょうごはじまりの時-」。兵庫県発足当時の古文書や写真、出土品、使用されていたライフル等を展示しています。伊藤博文直筆の手紙等、貴重な展示も見る事ができます。企画展示室は写真撮影禁止でした。



2階にはライブラリーも備わります。



兵庫県にまつわる書籍等が書架に収まりますが、これからより具体的な活用が進むものと思います。県内の学生が校外学習の場に活用したり、ワークショップ等も行われるのではないかと思われます。



ライブラリーからはテラスに出る事が可能です。



かなり大きな観覧テラスとなっています。イベント等での活用も考えられます。



テラスから見渡す初代兵庫県庁館です。

建物3階は一般公開されていませんが、200名を収容する研修室となっています。



ひょうごはじまり館がオープンし、初代県庁館とフルセットでの訪問が可能になりました。



ひょうごはじまり館のオープンに伴って、取次役所を模した休憩処・カフェスペースに「兵庫津ミュージアムカフェ」が開業しました。



これまでも期間限定カフェがオープンしていましたが、今後は常設店となります。



名物となる珈琲もしくは紅茶は抹茶用の湯呑み茶碗に泡立てられたミルクと一緒に提供されます。



ミルクに珈琲を入れると、カプチーノの出来上がり!



兵庫津ミュージアムカフェは10:00〜16:00の営業時間で月曜日は定休日となります。畳の小上がりもある寛ぎと癒しの空間が生まれました。



ひょうごはじまり館の常設展示ですが、素直に予想していた内容より面白かったです。初代県庁館と併せて、初めて訪れる人にはなかなか良いアトラクションになるのではないかと思います。ただ施設名を含めて、訪れようという気にさせる魅力が乏しく不足している気がします。今後の発信力が試されるのではないかと思います。またライブラリーや研修室等の施設を持て余さないように兵庫県がしっかりと管理と活用を促進しなければなりません。

https://hyogo-no-tsu.jp/
兵庫県立兵庫津ミュージアム公式サイト

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