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国土交通省は三宮中央通りを大阪・御堂筋、姫路・大手前通りと共に全国初の「ほこみち」に指定したと発表しました。ほこみちは歩行者利便増進道路の通称で、道路を賑わい空間に変える事で街を活性化する新制度です。
これまで日本の道路には厳しい規制が敷かれており、道路の占用には許可が必要とされ、あくまでも一時的な措置として認められるものでした。三宮中央通りも春や秋の一定期間のみカフェストリートと呼ばれるイベントを開催して、オープンカフェの設置を行ってきましたが、今回の指定によって最長20年の道路占用が可能となります。
但し、占用の条件として、公募によって選定された民間事業者である必要があります。現在、三宮中央通りはコロナ禍における特例占用措置が導入されていますが、これが移行によって継続・拡大運用される事になります。
三宮中央通りが選定された一つの理由としては、前述のカフェストリートの他、「パークレット」と呼ばれる歩道及び車道の荷捌き場を使って、ウッドデッキとベンチ、植栽を合わせた小さな憩い空間設置の取り組みを行ってきた事も大きいのではないかと思います。
正直、こうした小さな取り組みでは街の賑わいを生み出すのは難しいと考えていましたが、国の方針に合致した事で規制緩和の適用を受けられる事に繋がりました。国土交通大臣が神戸選出の赤羽氏である事も寄与しているかもしれません。
三宮中央通りでも常設のテラス席を設けているレストランやカフェはまだそんなに多くはありません。しかし今回の特例措置を受けて、テラス席の増設が考えられます。またキッチンカーの設置やイベント広場化も進む事でしょう。
通りに賑わいが生まれて通行量が増えれば、通り沿いの店舗への出店需要が高まり、テナント誘致も活発化するでしょう。不動産価値も高まり、沿道の再開発も促進します。最近、三宮中央通りの開発は活発になっており、新築ビルの建設が相次いでいますが、今後の沿道のビル建て替えや土地集約の可能性も高まります。
未だ本格的な運用が実現できていない三宮プラッツの活用も今回の特例によって活発化するかもしれません。
国交省と神戸市のコラボは三宮再整備の中において複数個所で進行しています。雲井通5-6丁目の再開発事業と国道2号線のリニューアルでも両者が深く関与しており、来月に完成する神戸三宮阪急ビル前のサンキタ通りも歩行者専用道路化にも国交省が何等かの関わりを持っているようです。
神戸市も規制緩和が街の活性化の原動力である事を今回の特例措置で実感し、おかしな景観規制によって自分で自分の首を絞めている事に早く気づいて欲しいと思います。
姫路・大手前通りも駅周辺の再開発と共に歩行者空間を最重要視したリニューアルを図った事が評価されての今回の選定に繋がったと言えます。
御堂筋も側道の廃止計画があり、将来的には完全な歩行者空間化も構想されています。
神戸の都心では今、道路の歩行者空間への転換を目的とした改良工事があちらこちらで実施されています。大規模再開発は他都市に後れをとっていますが、道路空間の再整備によって沿道に賑わいが生まれ、不動産価値が高まる事で、開発へと繋がるという新しい流れを創り出せるのかどうか。今回の特例が追い風となって街が変わるのかを注視していきたいと思います。
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