市庁舎建て替え計画

神戸市役所本庁舎2号館再整備事業のスペシャル動画が公開される プレリリースで未公開だった新パースも複数登場



先月末に選定事業者と提案内容が発表された神戸市役所本庁舎2号館の再整備プロジェクト。決定した企業グループはオリックス不動産、阪急阪神不動産、関電不動産、大和ハウス工業、芙蓉総合リース、竹中工務店、安田不動産という錚々たる顔ぶれでした。同コンソーシアムは提案内容のプレゼンの為、スペシャル動画を制作し、この内容が神戸市の公式サイトに公開されました。



この動画にはプレスリリースの提案内容の詳細に触れている他、リリースには掲載されていなかった複数のイメージパースが含まれています。



夜景版しかなかった地上100m程の高さで北側から眺めた同プロジェクトの昼景。神戸国際開館のオフィスフロアから眺めるとほぼ同じアングルかと思います。

神戸で高層階にホテルを設ける建物が受ける制約に、就寝を伴う居室からの二方向避難経路の確保が存在し、これに準じるにはビル外壁にバルコニーのような通路を設ける事がほぼ必須になってしまいます。

神戸阪急三宮ビルや神戸旧居留地25番館等のホテル宿泊階を高層部に有する建物は垂直方向にマリオンを設置して、外観がマンションのようにならないよう工夫をしていますが、このマリオンは部屋からの眺望を遮るという問題も抱えます。

雲井通5丁目のバスターミナルI期ビルや今回の市役所2号館跡地の複合ビルはマリオンの設置という選択肢を取らず、通路の手摺部分にはカーテンウォールを取り付けて外観の統一感を図るデザインとなっています。



北側の地上から見た複合ビルのエントランスピロティの様子です。2層吹き抜けのボイド空間は神戸国際会館や今後、建設が進むJR新駅ビルと同様に地下〜地上2階を垂直方向に移動する動線と1〜2階の賑わい空間における水平動線を繋ぐ構造です。



これまでは花時計(現在は仮設クーリングタワー)だったので、駅前から続くフラワーロードの賑わいもこの場所で途切れてしまっていましたが、このビルの完成後には南方向や西方向に人の流れが生まれます。



国際開館周辺の賑わいがこのポイントまで南下すると、東遊園地方面へもスムーズに流れるようになるでしょう。



デザインコードの採用で、駅前から東遊園地に至るまでのフラワーロードのデザインを統一感のある設計に作り替えていく構想が進めらていますが、国際開館前交差点以南は2号館再整備とセットで進められていくものと思われます。



やはり歩道整備も沿道の再開発とセットで行われなければ最大の効果を発揮する事は出来ません。



神戸三宮阪急ビルの再開発もサンキタ通りやサンキタ広場の再整備と合わせて実施された事で、ウォーカブルシティの中における複合機能を有する駅ビルとして、重要な役割を果たしています。



2号館跡地のこの再開発ビルも、昼夜を問わず建物内外に賑わいをもたらし、駅方面から人を吸収して、更に南や西に吐き出す事で街の回遊性を高めるポンプ機能を発揮して欲しいと思います。



この開発については、南北方向に広がる敷地の為、六甲の山々を隠さないので東西方向の幅規制を受ける事がなく、南北方向に床を確保できる建物です。オフィスフロアも基準階面積は神戸最大級になる可能性が高いでしょう。存在感の非常に大きなランドマークになります。一点気掛かりなのは、この複合ビルが完成した後の市役所1号館24階の展望ロビーの今後です。北側は視界が遮られますが、存続されるでしょうか。
関連記事
市庁舎建て替え計画

神戸市役所本庁舎2号館の地上躯体解体工事 既存建物の地上部分がほぼ消滅 年明けよりいよいよ再開発始動

2021年11月2日
こべるん ~変化していく神戸~
明和工務店が施工している神戸市役所本庁舎2号館の解体撤去工事。昨年12月から準備に着手し、10ヵ月を掛けて既存建物の地上部分の解体が …
市庁舎建て替え計画

市庁舎建て替え計画 (仮称)新中央区総合庁舎他建設工事 低層部の一部がお披露目 重厚感溢れる新庁舎に期待高まる

2022年2月1日
こべるん ~変化していく神戸~
竣工まで残るところ約5ヶ月に迫った神戸市役所本庁舎3号館跡に建設中の新中央区総合庁舎。11月末には鉄骨工事が完了していました。現在は …
市庁舎建て替え計画

市庁舎建て替え計画 (仮称)連絡ロビー・エネルギー施設他建設工事 切梁構築完了・杭頭処理が進行中

2022年9月27日
こべるん ~変化していく神戸~
  神戸市役所本庁舎2号館跡地の南側で、建設予定の新庁舎とオフィス、ホテルの複合開発に先駆けて、各庁舎の中央に位置する連絡ロビーとエネルギ …

POSTED COMMENT

  1. maru-chan より:

    おはようございます。いつも、楽しく見させて頂いてます。
    高架耐震化と併せてリニューアルされている元町高架下ですが、阪神花隈駅の辺りの三区となっているところで、新規区画のうち2店舗がオープンしている様です。
    せっかくのリニューアルなのに、全然PRされておらず、寂しいかぎりです…
    全区画が新意匠になるには、10年ぐらい掛りそうですね。

  2. いかなごん より:

    29年までの三宮再整備に加え、さっそく市長は神戸空港の新ターミナル建設の考えを明らかにしたそうですね。巨額の費用がかかるので、うるさい声が出てくるかもしれませんが、無視&無視で、破竹の勢いで進んでいってほしいと思います。

  3. kkbb より:

    28年から30年にかけてこの市庁舎2号館やJR ビル、阪神高速湾岸線西延伸など、神戸は起死回生の再開発が集中します。
    これに真打と思える神戸空港の国際化などのプロジェクトがあります。
    この未来目標が出来たことで、わたしは再開インバウンドに関して神戸は今後どう対応していけばいいのか考えています。
    こべるんさんはどうお考えか一度記事にまとめていただけませんか?

  4. カン より:

    期待のかかる2号館再整備ですが、如何せんスポンサーである市役所に配慮して、ポンプ部分となる2-3階の大部分の面積を市役所が占有してしまいます。
    せっかくの千載一遇のチャンスですが、やはり神戸市は無駄にしてしまったようです。こういったアクセスに難のある施設は、誘客が命です。いままで、必要に応じて市役所に何回行ったことがあるか?それが答えだと思います。
    イメージパースやイラストでは補いきれない再開発の本質です。いかに資本主義を行政主導の再開発に取り入れられるか。これが全てといっても過言ではありません。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です