提言

神戸市バスの経営赤字と大幅減便策について考える Part2 公共交通の在り方と抜本的な解決策


神戸市バスの大幅減便に伴うダイヤ改正や路線の再編が行われ、市内各地で生活利便性を損なう事態が発生しています。減便は乗車人員が不足する赤字路線のみならず、ドル箱の黒字路線にまで及び、市民の生活や事業者の業務にも支障をきたしています。

黒字路線や利用者の多い路線の減便見直しを図るべきと提唱した前回の記事には皆さんから多くのご意見やコメントを頂きました。



特に強く同意したい意見として、公共交通の在り方に関するものでした。

市バスに限らず公共交通の殆どは利用者から料金を徴収しています。そして運行はその料金を原資として行われています。また路線の維持に対して採算のバランスを取る事が難しい場合には税金を投入してこれを補填しています。



ここで比較したいのが、公共交通機関と公共施設です。赤字か黒字かという採算性が問題になるのは、公共交通が徴収料金を元に運行されている為であり、図書館や体育館等の公共施設の多くは無料もしくは微々たる料金を徴収して運営されているので、採算性を問われる事がありません。双方にコストが発生している筈ですが、一方は利用料で賄い、もう一方は完全に税金で賄われています。公共性や市民サービスとしての重要性はどちらも変わりはありません。採算制度を採用している公共事業と、そうでない公共事業の違いは何でしょうか。



各区に新築の図書館を次々と建設し、これらに膨大な税金が投入されていますが、利用者数や図書貸出数等のKPIを設定し、市民サービスの満足度がどれだけ上がっているのかを指数化していなければ、これらの公共事業の効果を見極める事はできません。一方で利用者の多いバス路線の減便に伴う利便性の損失によって不便を強いられる市民が数多くいる現状を、見過ごして良い訳ではありません。

極論として、自治体運営の公共交通は、黒字である必要はありません。交通機関に留まりませんが、公共サービスを維持する為に我々は税金を納めているのです。殆ど利用者が無い山間を走る路線の減便は大いに結構。しかし減便によって、停留所に人が溢れ、ようやく来たバスに乗れない路線や定時運行を妨げられている路線を生じさせる事は大いに問題です。



減便が単なる採算性によるものだけではなく、運転手の絶対的不足を要因としている点も考慮する必要はあるかと思われます。この点については、既に回答は存在しています。自動運転に代わる恒久的な解決策は恐らく無いでしょう。



自動運転技術はもはや実用化に全く問題のないレベルにまで発達しています。サンフランシスコやロサンゼルス等の米国西海岸の諸都市では、既に自動運転タクシーが公道で実用化され、市民の足として日常的に活用されています。非常に安全で快適な乗り物として認知されているのです。自動運転サービスの先駆者であるWAYMOは、来年、いよいよ東京でも自動運転タクシーの展開開始を発表したばかりです。

ランダムに走るタクシーと比べて、決まったルートを走る市バスは、より自動運転化に適しています。様々な事業について先進生を追い求めてきた神戸市。既にポートライナーや六甲ライナー等、80年代から既に公共交通の完全自動運転技術の積極導入を図ってきた実績があるにも関わらず、何故、市バスの自動運転化についてもっと速度を上げて取り組みを進めないのでしょうか。これまでの試みは北区や須磨海岸での社会実験等、小規模に留まっています。法整備のハードルはあるものの、既に茨城県境町では、全国の自治体に先駆けて、定常的な自動運転バスの運行を公道で実現し、住民の足として定着しています。



予測不能な事態で起こりうる事故は、自動運転でなくとも日々起きていますし、不幸にも神戸市バスも事故を起こしている事実は変わりがありません。技術的には既に機械が人を上回っており、全方位を常時確認している機械の方が人の運転よりも安全です。早かれ遅かれ、公共交通の自動化はもはや時間の問題です。運転士不足はこれに拍車を掛け、量産化によって自動運転車両の低価格化が急ピッチで進むでしょう。運転士の雇用問題は発生しますが、そもそも高齢化・不足しているので、徐々に運行管理側への配置転換を進め、ソフトランディングによる解決を図る事になるのではないかと思われます。



人口減少を食い止め、郊外の衰退を防ぐには、郊外拠点駅前の再整備のみでは大きな効果をもたらしません。駅周辺で進められる住宅開発用地は限られており、高層化も抑制されるようであれば尚更です。まずは採算性の低い路線に自動運転バスを導入し、空いた運転士を充てる事で、駅から離れた住宅街と駅を結ぶ主要な都市部路線の便数を回復させ、限られた貴重なリソースを効率良く活用し、段階的に自動化への道筋を描いていくという先見の目を持つ必要があります。

関連記事
JR三ノ宮新駅ビル

JR西日本は新三ノ宮駅ビルを単独開発する必要はない 共同開発や定借権での他社開発も視野に入れるべき

2021年7月21日
こべるん ~変化していく神戸~
  地上部の解体が中途半端な形で終わり、コンクリートの簡易広場になってしまっているJR三ノ宮駅の三宮ターミナルビル跡地。昨年度に都市計画決 …

POSTED COMMENT

  1. zim より:

    バスの自動化しないのは、大型車両を自動化できるメーカーがないからじゃないですか?
    普通の乗用車と放ったく違うのに技術があるから何とかできるは、
    戦前の精神論と変わらない気がします

  2. mica より:

    自動運転車両に乗った事のない方の意見ですね。大型であろうと技術的な点に大差はありません。既に自動運転バスは存在します。日本の道路事情に合わせる細かな配慮は必要でしょうが、どちらかと言えばコストの問題でしょう。

  3. J.O より:

    道幅の広い幹線道路しか走らないなら、自動運転もひとつの選択肢と言えるでしょう。ただ、路線バスの運転をしていた者の意見として、狭隘路での離合に自動運転はきちんと対処できるのだろうか?強めのブレーキで事故を回避する必要が生じたときに、立ち席の乗客を将棋倒しにしたり吹っ飛ばしたりするようなブレーキのかけ方をしないかどうか?こうした点については技術的にまだまだ発展途上だと思います。

    公営交通の場合、特定の議員と支持者や支持団体のしがらみのせいで無駄なルートを組まされている事例もあると聞きます。そんな「私物化」されているところはとっとと切ればいい。だけど代替手段がなくて困っているならなんとかしないといけない。

    私としては、幹線はバスで・支線は乗合タクシーでカバーする方法をもっと議論する必要があると考えます。

  4. こべっこ より:

    地下鉄海岸線も日中は毎時4本に今年から減便されてませんでしたっけ?それでも数値上は神戸市内で朝の通勤ラッシュ時最も混雑率の高い路線は地下鉄海岸線だったかと思います。朝昼晩であまりにも落差が激しく人員削減もこれ以上難しく、車両を今後減らすということも出来ないジレンマに陥ってる印象です。
    バスもそうですが公共交通の難しいところですね。バスも黒字路線でも減便や廃止が相次ぐのは車両手配の関係など車庫の位置関係や乗務員の勤務時間制約によるものが大きい側面もあるかと思います。茨城県では2箇所バスの自動化進んでますが、例に挙げられてるところは今現在メンテナンスで運用休止となってます。普通自動車でもまだ日本ではレベル4を認可してませんし、バスとなると立ち客も想定しなければならずまたEVでなければ相性が悪いのでハードルはかなり高いのでしょうね。

  5. kkbb より:

    あまり公共バスのこと分からないんですが、神戸はご存知のように坂の街です。
    それもほとんど区で山側はかなりの急坂です。京都や大阪にはここまで急坂を走る路線バスはないでしょう。一部の市営バスはさらに狭歪な路線を凄い運転テクニックで走ります、
    神戸の公共バスはその点で他都市よりより負担が多いと思います。
    だから運転手不足の今、減便や廃路は仕方ないでしょう。
    ただ、この現状でも空港路線や人工島など主要な交通インフラを、バス路線に頼ろうとする神戸市行政にも問題ありと思います。

  6. 山田 より:

    どうせ採算を取れないならいっそのことただにして第一種免許で走らせればいいんですよ。そしたら運転手不足になんかならんでしょ。マイクロバスでいいでしょ。とにかくこれ以上市に余計なことをやらせない事が大切。新神戸駅周辺の再開発とかポートライナーの延伸とかやめさせないと。なまじ2兆円もあるから余計なことやる。値上げして減便とかこんなところろに住みたいひといないでしょ。

  7. 昔な神戸市交通局はさほど苦しそうではなかったんですが より:

    神戸からほど近い大都市の公営バスで運行路線企画や運行頻度計画、ダイヤを引いていたものです。
    序盤は興味深く拝読しておりましたが、途中からいきなり自動運転礼賛となり驚きました。筆者は平成12年ごろに吹き荒れた規制緩和に伴うバス運転手に対する労働条件の改悪化と社会的ステータスの剥奪、それに伴いバス運転手とは、なりたくない職業の一つとされた歴史を紐解くことをお勧めします。
    筆者のいう問題に「バス運転手がいないこと」を挙げられていますが、労働条件を平成ごろまで戻せば、簡単に人手は確保できます。もちろん、皆様は公務員叩きを再び始めるでしょうが‥それはつまるところ、そうしないと人が確保できない過酷な仕事だということです。
    語り出すと止まらないので一点だけ、自動運転については技術的に、未だ決まった「GPSによるレール」の上でしか走れないレベルですので、実際の一般道路での実装化は15年は欲しいところです。

  8. mica より:

    “「GPSによるレール」の上でしか走れないレベル”
    それは日本の話ですな。既に何百台もの完全自動運転タクシーが公道で実用化されているアメリカや中国の技術は遥かに進んでますよ。百聞は一見にしかず。実際に実用化された車両に乗ってみる事をお勧めしますわ。来年から東京でも米国のウェイモがサービス開始するので。そもそも市バスは決まったコースのみしか走らない事をお忘れなく。

  9. tarumi-jin より:

    通勤と業務で1日5回程度市バスに乗りますが、自動化は現状では困難と感じます。
    ・バス停付近に違法駐停車が多く、運転手さんは「多少離れても停車」「クラクションなどを鳴らしてバス停が空くのを待つ」などの判断をしています。他の系統や他社とバス停を共用している場合も同様の判断が必要です。
    ・駆け込み乗車や運行中の立ち歩き、カードタッチの失敗(高齢者はかなりの頻度)、カードへの現金チャージ依頼etc、多様な対応が必要です。車イス乗車も毎日みかけます。無人化は無理でしょう。茨城県境町も当初は2人、その後は1人の担当者を乗車させているようです。大型2種免許は不要だとしても人手が必要なことは変わりません。
    ・別の方も指摘されていましたが、坂道が多く、バス同士が離合できないほど狭隘な道路を曲芸的に運行している路線もある神戸のバスの自動化は全国に先駆けてどころか、全国平均より遅くなると思います。

  10. tarumi-jin より:

    もう1つの論点、市バス事業へのさらなる税金投入の是非ですが、神戸市議会の議事録を検索すると共産党だけが主張しており、当局側は否定的です。
    私は自分が市バスの恩恵を受けているので、市税投入は歓迎したくなりますが、市バスが通っていない地域の市民や、市バスに全く乗車する機会のない市民の感情を考えれば、市税投入は抑制的にならざるを得ないかと思います。

  11. ハコモノ行政 より:

    「抜本的な解決策」がテーマなら、自動運転の実現をベースに考えるしかないでしょう。
    しかしそれは立法権・許認可権を持つ国レベルが考えて実行することです。
    多分10年以上先になるでしょうし、今、一地方自治体が出来ることはありません。
    (法整備に協力する、飴を貰って試行に協力するくらいが関の山)
    神戸市バスの個別事情は知りませんが、路線バス運行経費の人件費率は7割弱程度です。
    個別の問題点については、
    ・運ちゃんの扱い:自分の給料を賄えるだけの需要がある「場所・時間帯」に集中させるべき
    ・車両の送り込み・回送:自動運転ならドライバー不要
    ・対人事故率:人間運転より下げる必要は無いと思うが、時速30km/hに制限するとか?
    ・乗客の事故率(急停車):人間運転より下げたいのなら、着席必須仕様にするとか?
    ・違法停車・違法駐車対応:まず違法行為を是正するのが先ですね、
     ナンバー取り上げ・反則金・免許取り上げなど、出来ることは山ほどあります
     違法駐車があれば運行停止にして、住民側から圧力を掛けさせるのもいいかな
    ・一種普通免許すら必要のない介助業務を、大型二種プロドライバーに行わせることの是非
     自動運転なら完全に分離可能。被介助者が予告してくれるようなら、スキマバイトでもいい
     他の乗客を数分雇用するとかでもいいかも

    一方、直近で(その気があれば)出来そうなことは、
    ・全車両・全便・全バス停の乗降状況の開示
     100%正確でなくても構わない

  12. 区民g より:

    まぁいずれ自動運転が来るとしてもその前にやるべきことがあります。それは現路線バスにプリクラッシュブレーキを標準装備することです。とにかく事故を減らすならこれしかないわけです、それでも事故を減らすには不十分だとは思います、だけどやらないよりやってほしいわけです。いつになったら路線バスに係る頭の固い連中はプリクラッシュブレーキの重要性に気づくのでしょうか。
    安全装備が標準になるまでに何回事故や悲劇が起きれば気づくのでしょうか。遅すぎますよ、流石に。
    メーカーも全国の市バスや路線バスを運営する事業者には安全意識が無さすぎです。流石にダメでしょう。
    赤字、黒字といった会計の前に、まず人命を優先してほしいと思います。自動運転、大いにありなわけです。それでもメーカーや路線バス事業者は自分たちの運転が安全であると過剰認識していると疑われることが怖いのか?ということも問うべきです。
    安全を確保するにはどうすればいいか?人間が考えなくなることが一番怖いわけですが、安全への1次2次予防を安全装備を踏まえた上で重層化冗長化していくことになんの躊躇いがあるのか謎でしょうがありません。バス事業に係る人間はこれについて明確に回答すべきなのです。
    一方でバス事業についての会計について赤黒唱えるのはナンセンスだと思います。何故ならバスはガソリン税(特定財源ではなくなりましたが)を用いた道路整備予算が会計上に入っていないからです。無料の道路を使ったバス事業、レール代等インフラが会計に入る鉄道を較べることなんて意味ないわけですよね。そういう意味で日本のインフラ赤黒論は総じて時代遅れのナンセンスです。バランスシートで議論をしないと意味がありません。
    人手不足を解消するには結局、人への投資=給与増を目指すことが第一義でしょう。しかし、乗用車の自動運転が先にくればバス需要が大幅に減ることは考えられます。
    その意味で未来の交通インフラに係る雇用も変化を起こすでしょう。
    その変化に日本も適応すべきだと考えます。
    何故ならそうしないと、日本車が海外で売れなくなるからです。
    日本車のガラパゴス化は避けなければ経常収支黒字は達成できません。かつてのガラケーの二の舞になっては絶対にいけません。
    神戸経済に相当なダメージがかかります。
    自動車部品メーカーや中古車輸出ビジネスにも影響するでしょう。
    そういう観点をもって政策担当者は事にあたってほしいと考えます。
    海外は変化に向かっており、日本人一人一人がこのダイナミックな変化と付き合う必要性があります。

  13. 区民g より:

    上への続きです。
    つまり自動運転が来た場合、EVと合わせガソリン税という税源はなくなります。そうしたらどう道路を維持するのでしょうか?今まで無料の道路を使ってきたバス事業の継続すら無理になるでしょう。
    変化がやってきているのです。
    インフレでなければ税収が増えず、道路整備財源も生まれないわけです。今後はEVも増えていくと思います。テスラが先に自動運転を日本で達成するでしょう。充電スポットはまだまだ足りていません。
    ですが消費者は自動化を見越しおり、テスラの売り上げは伸びると思います。実際にアメリカに行くとテスラは滅茶苦茶走っており、ガソリンのメッカであるテキサスでもテスラはどこにでもいる現状です。
    バス事業はどのみち再編しなければならず、
    まだまだこれからということだと思います。
    先に言った通りで恐縮ですが、まず路線バスにはカメラ等の安全装備をを標準でつけてメーカーが事業者に売ってくださいということです。反自動運転は辞めて頂きたいと思います。
    バスオタクもアップグレードする時代です、
    いつまでもいつまでも既存概念に執着しないでもらいたいです。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。