鹿児島

地域探訪: 鹿児島・天文館アーケード入口に開業した大型複合再開発ビル「CenTerrace TENMONKAN センテラス天文館」Part1 建物外観編



鹿児島市の中心商業エリアを司る繁華街・天文館。その中でもアーケード通りには物販、飲食、サービス等、様々な店舗が並び、人通りも多く賑わっています。

そのエントランスに位置し、高見馬場通りに面した商業施設「タカプラ(高島屋プラザ)」の閉店に伴い、その跡地と一帯を集約した再開発プロジェクトが始動しました。


4年前の鹿児島訪問時は、まだタカプラ及び再開発街区内既存建物の解体が開始されたばかりの状況でした。


しかしながら目貫通りと中心アーケードに面したL字型の敷地約6,000平方メートルに及ぶ再開発用地内には28棟の建物があり、多くの地権者がいた筈で、合意形成を図るのは並大抵ではなかったと思います。2012年に地権者がまちづくり研究会を発足、翌年には「千日町1・4番街区再開発協議会」が設立され、18年には着工に至るというスピード感のある再開発推進となったのです。



再開発計画は当初、地上24階 高さ110mの規模を検討しましたが、事業費圧縮の為、計画案を見直し、地上15階 高さ60mに規模を縮小。そして2022年4月に誕生したのが、複合商業・公共施設「CenTerrace TENMONKAN センテラス天文館」です。

CenTerrace TENMONKAN センテラス天文館とは?


地上15階 高さ63.16m 延べ面積36,645平方メートルの建物で、1~4階に商業施設や観光案内所、4~5階に天文館図書館、5~6階にオフィス、6階にホールや屋上庭園、7~14階にホテル、15階に展望スペースやレストランを配置した構成を有する複合ビルです。

低層部の商業施設は東京建物グループのプライムプレイスが運営にあたっており、九州や鹿児島初、そして全国初進出のテナント等を多く集めました。中層階は鹿児島市が取得して図書館を開設。高層階には建物を施工した大和ハウス工業のグループ会社であるダイワロイヤルのダイワロイネットホテルが鹿児島県内に初オープンしました。



また総事業費は186億円となりました。センテラスの名称は公募によって決定。千日町の「千」と、様々なヒト・モノ・コトが行き交う鹿児島の憩いの場所(テラス)として、人、街、未来を照らし、千年先も輝き続ける場所となる事を目指したネーミングです。

高見馬場通りに面したセンテラス西ANNEX



それではまず高見馬場通りに面したセンテラス西ANNEXから建物の周りを見て行きます。



西ANNEXの最も西側1階にダイワロイネットホテル鹿児島 天文館のエントランスが設けられています。客室数は217室。最近、ダイワロイネットホテルズは、4月からホテルブランドを再構築し、この鹿児島天文館や神戸三宮中央通りを「PREMIER」として、最上位ブランドに位置付けています。



高見馬場通りに面して、歩道全域をカバーする大きなアーケード(庇)を整備。建物前の歩行中は雨や陽射しを避ける事ができます。



高見馬場通りに面したセンテラス天文館のエントランス。商業ゾーンへと直結しています。



歩道も舗装を再整備。施設前には鹿児島市電の電停・天文館通前駅がある他、市営バスの停留所も複数あり、交通拠点にもなっています。



西ANNEXの東端部です。南ANNEXとの結節ポイントとなります。アーケードの天井面は薩摩切子をイメージした三角の幾何学模様をデザインしたスリットが入っています。夜間には環境照明が点灯して薩摩切子のデザインが強調されます。



結節ポイントのコーナー部は建物のメインエントランス及び2層吹き抜けの広場「センテラススクエア」となっています。



センテラススクエアを覆う大屋根にも薩摩切子をイメージした天井パネルが環境照明によって浮かび上がる姿が印象的です。広場では様々な集客イベントが催されるようです。



センテラススクエアのコーナー部には大型LEDデジタルサイネージ「サンテラスビジョン」が設置されており、イベントと連動して活用されています。

天文館G3アーケードに面したセンテラス南ANNEX



センテラススクエアはアーケードに面していますが、その先にはアーケードに沿ってセンテラス南ANNEXが続いています。



西ANNEXと南ANNEXの間には千日通りへと通り抜けができる貫通通路が設けられており、回遊性を向上しています。



G3アーケードに面したコーナーには鹿児島市の観光案内所が入居。殆どの都市は玄関口となるターミナル駅コンコース内に観光案内所を設けていますが、鹿児島市は殆どの観光客は天文館を訪れる事を視野に入れ、ここを案内所設置の場所に選びました。



G3アーケードに面した南ANNEXの南端部です。



南ANNEXは5階建てとなっており、ホールや図書館等の公共施設、ホテル、オフィスのある西ANNEXと異なり、その主用途は商業ゾーンです。

センテラスの商業ゾーンは、店舗面積12,200平方メートルで、71店舗のテナントが集結しています。施設運営を受託しているプライムプレイスは、九州エリアのみならず、全国で商業施設を手掛けており、エキソアレ西神中央も同社の受託物件です。



建物裏の千日通りに面してオープンテラスのある飲食店も設けられています。



西ANNEXと南ANNEXの間の通路を西側から眺めた様子です。



通路の内部です。建物の天井には共通して薩摩切子をイメージしたデザインが採用されています。



鹿児島一の繁華街・天文館に誕生した新ランドマークであるセンテラス天文館。この再開発が急ピッチで進んだ背景には、鹿児島中央駅前との競争激化があります。九州新幹線の開通と共にJR九州が駅周辺の開発を加速。駅ビル「アミュプラザ鹿児島」等の開業によって人の流れが大きく変わり、天文館でも三越やタカプラ等の既存商業施設が淘汰に向かいました。



JR駅ビル vs 既存繁華街の構図は鹿児島でも繰り広げられた事になりますが、これに対峙する商店街がいち早く再開発を決断し、研究会発足から10年で大型複合ビルを完成させて対抗に至った事例は、三宮センター街の再開発においても参考になるのではないでしょうか。Part2では館内施設の内容をレポートします。
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