広島

地域探訪: 広島・ヒルトン広島が今秋開業 瀬戸内ブランドコーポレーションが誘致 来年のサミットでVIPを迎えるか



平和大通りから徒歩圏内にある中区富士見町の「広島東警察署」他跡地に今秋開業予定のヒルトン広島。中四国エリアでは初のヒルトン進出となります。20年2月に着工し、約2年の工期を経て建物は既に竣工しています。



瀬戸内エリアの観光産業活性化に取り組む官民が連携した組織「せとうちDMO」を構成する瀬戸内ブランドコーポレーションが設立した特別目的会社「富士見町開発合同会社」は、ホテル開発を目的とし、名門ヒルトンの誘致に成功しました。

広島市内の外資系高級ホテルブランドの進出は2012年のシェラトン以来、10年ぶり・2例目となります。



6,403平方メートルの敷地に地上22階、延床面積4万8,050平方メートルの建物を建築。客室数は420室で、1,300平方メートルの会議室も備えるMICE機能を有したシティホテルです。



開業は今秋を予定しています。奇しくも来年2023年はG需要国首脳会議が日本で開催される事になっており、広島県・市、地元経済界は広島でのサミット開催誘致を政府に働き掛け、5月に広島開催が正式に決定しました。



開催時には間違いなく、ヒルトン広島も世界のVIPを迎え入れる主要施設になるでしょう。このホテル開発はこのサミット開催を念頭に進められてきたのかと推察します。



ホテル内には客室、会議室の他、レストランやラウンジ、バー、屋内プール、エグゼクティブラウンジ、フィットネス、スパ、チャペルが備わる総合ホテルです。



従って低層部が非常に大きな建物となっており、この内部に様々な施設を内包しています。



通りに面した車寄せやエントランスも非常に盛大で、ヒルトンらしい造りです。再開発で超高層複合ビルの高層階に外資系ホテルが進出する例は多くありますが、1棟丸ごとホテル施設というケースは全国の諸都市でも限られています。



広々とした車寄せ・エントランス空間です。VIPを迎え入れるのに相応しい造りです。間違いなく市内最上級ホテルになる事でしょう。



沿道には植栽を設けており、歩道も舗装が刷新されました。官民協力の元、外資系ホテルの誘致に乗り出す例は全国の諸都市でも多く見受けられます。神戸でも市庁舎2号館跡や県庁に外資系ホテルの誘致を構想しており、今後の展開が注視されています。



しかしヒルトンの立地としてこの場所が相応しいのかどうかには進出発表時から、いささか疑問に思っていました。実際に現地を訪れてみて、公共交通機関でのアクセスは良いとは言えません。平和大通りからは徒歩数分ですが、繁華街からも距離があります。宿泊者は車・タクシー利用者が多いかもしれません。



ラウンジ等のある低層部西側周りの様子です。



このホテルが平和大通り沿いにあれば、景観的にも映えたのではないかと思います。



周囲に高い建物が無い為、新しいランドマークとして、高層ホテルは目立つ存在です。これまで広島市内にはリーガロイヤルやプリンスホテル等、国内ブランドの高級ホテルがメインで、残るはビジネスホテルがメインでした。今後、更に基町エリアの再開発ビルにもハイグレードホテルの進出が構想されており、シェラトン、ヒルトンに次ぐ外資系ホテルの進出が期待されています。

施設名称 ヒルトン広島
所在地 広島県広島市中区富士見町11-4他
規模 地上22階、塔屋2階
高さ 94.1m(最高102.80m)
敷地面積 6,402.95㎡
建築面積 5,281.63㎡
延床面積 48,027.70㎡
用途 ホテル(420室)
構造 鉄骨造
設計 浅井謙建築研究所株式会社
施工 五洋建設・増岡組特定共同企業体
開業時期 2022年秋頃


おまけとなりますが、ヒルトン広島の向かいに異様な光景が広がっています。地上19-20階建ての建物5棟が隙間なくひしめき合っています。



1棟を除き全て賃貸マンションです。特に真ん中の3棟は色違いの同じデザインです。1階にコンビニ等のテナントが営業しており、普通の賃貸マンションなのですが、その高さとスパンの大きさが異様です。3棟にせず、1棟にまとめられなかったのでしょうか。



左端の建物は外観は他棟と似ていますが、「ホテルウィング」として、9月の開業を予定しています。



これらの4棟は広島市に本社を置くスペース・ウィング社が事業主です。大昔に同社の運営するホテルPaoに泊まった事があります。



右端の賃貸マンションのみは「ORIENT BLD No.123」で、事業主は福岡市のオリエントキャピタル。高さ60mの壁が立ち聳えています。香港ではこの180m版を見る事が出来ます。



今回は足を伸ばす余裕がありませんでしたので、遠望のみですが、広島大学キャンパス本部跡に三菱地所レジデンスや三井不動産レジデンシャル他が分譲した地上53階・高さ178mのタワーマンション「hitoto 広島 The Tower」。広島市内では2番目の高さを誇る超高層建築です。広島都心の高層化は着々と進められています。
関連記事
広島

地域探訪: 広島・「大同生命広島ビル」新築工事着工 相生通に新たな新築オフィス 紙屋町界隈はオフィスビルの建て替えラッシュ

2023年3月20日
こべるん ~変化していく神戸~
広島市の目抜き通りの一本である相生通り沿いで新たなオフィスビル計画が始動します。鯉城通りと交わる紙屋町交差点近くで解体が進められてい …

POSTED COMMENT

  1. デベロッパー より:

    G7の主要会場はグランドプリンスホテル広島になると思われます。場所は中心部より離れますが、元宇品という所にありまして、警備がしやすい場所なんです。そのためにホテルは色々と改装する予定だそうです。ヒルトンの方が圧倒的に良いんですが、警備的に色々と問題ありそうです。こべるんさんが言われる通り、場所がイマイチでして…。平和大通りにあればより引き立ちますしね。まとまった土地がないというのもありました。

  2. @ より:

    ヒルトンの場所問題は広島でも話題になっていましたが、ヒルトンクラスのホテルに泊まる人が路面電車やバスでアクセスする人がどれくらいいるのだろうとも思ってしまいます。
    会議場として使う人なら比較的庶民の人もいるのでしょうが、ホテルに宿泊する人はほぼ間違いなく所得が高い人になると思うので、広島駅からタクシーでアクセスすると考えるのが自然な気がします。

  3. にしのみやん より:

    ハイエンドホテルは重厚ですね。
    場所は、まぁタクシー利用でしょうね。

    しかし、5棟のビルの壁の方が衝撃でした、、

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です