大阪

地域探訪: 大阪・うめきた2期の施設群も鉄骨建方が進行中 巨大ビル群と緑豊かな都市公園「うめきた公園」が関西一の都心ターミナルに誕生



関西最後で最大の一等地となるうめきた2期地区の大規模再開発がダイナミックに進行しています。JR西日本がエントランス部として進めている大阪駅西高架下開発や梅田3丁目計画の巨大ビルと呼応するように、うめきた二期のビル群も鉄骨建方が同時に進行し、まさに大阪万博を象徴するかの光景が広がっています。

プロジェクト概要

うめきた2期開発事業





「みどり」と「イノベーション」の融合拠点というまちづくり方針の理念を踏まえ、「New Normal/Next Normal」、「Society5.0」、「SDG’s」に配慮した新しい都市モデルの実現を目指した都市として、約9.1ヘクタールの南北に長い広大な敷地の中央に4.5ヘクタールの都市公園を整備し、公園の南北に業務、商業、宿泊、MICE機能、共同住宅から構成される超高層複合ビルを複数建設し、それらの合計床面積は55万平方メートルを超えます。



南街区には地上39階 地下3階の西棟は1~2階と28~38階にスーパーラグジュアリーホテル(約250室)として、ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア」が進出予定。4階と6~27階にはオフィス機能を盛り込む複合ビルに、地上28階 地下3階の東棟についても1~2階と5~27階はアップスケールホテル(480室)、5~17階がオフィスの複合ビルとなります。



南街区の複合ビルの地下1階~地上3階は店舗面積約12,500平方メートルの商業空間として整備されます。東棟、西棟の基壇部を吹き抜け空間としたキャニオン型の商業施設になり、また西棟4階にはMICE施設も整備される予定で、国内で多くのMICE施設を手掛けるコングレが運営を担います。



施設の3~4階の2フロア(約6,000平方メートル)には神戸のウォーターフロントでスモールラグジュアリーホテルや温浴施設を運営するラスイートの進出が決定。「蓮」をうめきた2期に開業するという意気込みで都市型スパ施設を開業します。蓮同様に温泉利用型健康増進施設の認定を得る予定。



この新スパ施設内には海外でも人気のインフィニティプールが整備される予定。



北街区の地上26階 地下3階の複合ビルは地上1階と10~26階にライフスタイルホテル、1~9階にコワーキングオフィスや交流スペース等、イノベーション創出機能を配置。また1~2階に商業ゾーンも設けます。

各街区の両端部には51階、47階のタワーマンション(合計約1,200戸)も建設される予定です。



中央部の都市公園は南側をリフレクション広場と称し、芝生広場や水景を中心とした空間として整備されます。北側はうめきたの森として緑豊かなゾーンとなります。



リフレクション広場は既存のうめきた広場や今後整備されるJR大阪駅西口広場と合わせて複合ビル群の真ん中に広大な緑地が広がり、これまでの日本の大都市の都心部の再開発とは一線を画す都市景観を擁する事になります。



また都市公園内にはS字を描くように歩行者デッキが整備されます。このデッキは既存のグランフロント大阪や新梅田シティ、大阪駅とも新設されるデッキで接続し、駅北側の主要施設がデッキによる動線が確保され、一帯の回遊性が高められます。地下にはJRの新駅が建設中であり、この新駅開業によって関空と梅田が直通で繋がる事になります。

建設状況の様子



南街区の複合ビル群は、ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」が高層階に進出予定の地上39階 地下3階の西棟と、同じく高層階に阪急阪神ホテルズが運営するアップスケールホテルを有する地上28階 地下3階の東棟から構成されています。



鉄骨建方が進む西棟。竹中工務店のシルバーマストのタワークレーン大林組のオレンジマストのタワークレーンが入り乱れて壮観な眺めです。



東棟はまだ基礎工事の仕上げを行っています。こちらの鉄骨建方も開始されると、更に壮大な現場に発展する事でしょう。



南街区から見ると、かなりの彼方に位置する北街区。開発面積の大きさを物語っています。



北街区には地上26階 地下3階の複合ビルにもヒルトンが進出し、ライフスタイルホテルの「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」が開業予定です。

これら複合施設内に新規開業予定の3ホテルの客室数は合計で1,000室を超えます。



ここまで開発規模の大きなプロジェクトは正直、取材し慣れていないので、何をお伝えすれば良いのか戸惑います。

 

「(仮称)うめきた公園」着工!



三菱地所株式会社を代表企業とするうめきた2期開発事業者 JV9 社が、このうめきた2期開発地区の中央部に位置する都市公園「(仮称)うめきた公園」の工事本格着手を発表しました。9.1ヘクタールの大阪都心最後の一等地の内、4.5ヘクタールを公園に費やすという大胆な開発方針は、うめきたを単なる巨大ターミナル開発にしないという意気込みが感じられます。うめきた公園は道路を隔てて、南北に分離され、S字を描く「ひらめきの道」と呼ばれる歩行者デッキで結ぶという構成です。



南公園のリフレクション広場には巨大な屋根が建設され、イベントスペースとして活用されます。1万人規模のイベント開催も可能にする広場となります。



北公園には緑と水の空間が整備されます。滝も整備される「うめきたの森」です。都心の一等地とは思えない豊かな憩いの場が出現します。



水景では子供達が自由に遊ぶ姿がイメージされています。豊かな緑とその背後には超高層ビル群。大都会と自然を同時に作り出すという壮大なスケールとコンセプトには脱帽です。森ビルが超高層化で空いた土地に自然を作るという都市開発の理想像を掲げてきましたが、なかなか東京都心では市場原理が動いて、なかなかそこまで大胆に新たに自然を作り出すのは許されないようですが、大阪ではこれを実践する事になります。



北公園内には安藤忠雄氏が設計監修する「ネクストイノベーションミュージアム」を配置。園内には他にも「キューブ」と呼ばれる低層建物を複数棟、建設し、それぞれに用途を与えます。パーティレストランやビューレストラン、カフェレストラン等も整備され、集いとにぎわいが常に感じられる前代未聞の都市公園となる事でしょう。



公園の北側にはJR西日本がうめきた新駅をJR大阪駅の一部として開業し、地上3階建ての新駅ビル「JR WEST LABO」も開発します。様々な実証実験の場としても活用される全く新しいコンセプトの複合商業施設として位置づけられており、ポストコロナにおける最先端都市「うめきた2期」の玄関口としての役割を果たします。



うめきた2期の開発では行政の大阪市はあくまでも黒子に徹し、民間事業者がその威信をかけて、斬新なコンセプトとアイディアを詰め込み、そのスケールの大きさを存分に活かした巨大実験都市として、これまでにない都市像を描こうとしています。神戸でもこれまで以上に民間からのアイディアと資金を活用し、何でも小奇麗に小さく纏めようとせず、もっと大胆で自由な発想で物事を進めるべきです。それにはおかしな規制を緩和し、民間事業者の意欲を高めさせなければなりません。人をワクワクさせる街には勢いと大胆さが必要なのです。
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  1. kkbb より:

    昨年から久元市長が市内を視察して、リノベーション神戸を唱えて市内主要鉄道駅前整備を次々発表しましたが、案の定、4/7の神戸市景観計画では三宮やウオーターフロントなどに景観規制もどきの計画方針の発表がされています。https://www.city.kobe.lg.jp/documents/49353/keikankeikaku_kaiseigo.pdf

    神戸新聞で、神戸市主導で三宮再整備により都心ビル150棟が建替えの記事が出ました。しかし雑居ビルをそのままの規模で建替えても何の意味もありません。肝心なのはいかにして集約して余裕ある都心空間を形成出来るかです。10階建てのビルをそのままで建替えてビルは刷新されてもゆとりある空間は生まれないからです。またオフィスにしても神戸製鋼本社ビルのように50×50平方mぐらいの規模がなければ企業本社として使いづらいです。建替えビルの集約、巨大化が望まれます。
    神戸市街地は南北に3キロしかなく東西に帯状に20キロの狭小地です。ここに人口の大半が住み生活して商売してるんです。本来、市街地を広げるために六甲山を削ってポーアイや六アイを埋め立てしたのに、有効利用されず広大な空地ばかりかゴーストタウン化させた罪は大きです。
    ビジネス感覚に疎い久元市長はポーアイには緑が足りないとか緑化構想までしています。この人、なぜ横浜のみなと未来のような先進的なビジネス街にする発想が浮かんでこないんですかね?あまりにも地元商工会、商店組合に寄り添った互助会的保護主義が強すぎ、神戸をさらに保守的な街へと導いてしまっています。
    現在、京都では財政危機の状況に地元京都市民の間にもJR京都駅周辺なら再開発を希望して超高層ビルを容認する意見も多数出てきています。
    市長は法学部出身なのでどうしても条例や法案など得意分野で神戸市優位の再興をしたいようですが、もう地元企業擁護ではどうしようもないんだから余計な事はやめるべきです。

    • しん@こべるん より:

      いつの間に景観規制を施行していたんですか!?しかも我々があれだけ反対したビーナステラスからの高さ規制も結局、強引に入れ込んだのですね。呆れて物も言えません。神戸の再開発が遅れた事を震災後の財政悪化を理由にしていますが、そもそも再開発は行政が推し進める事ではなく、土地を所有する民間がする事です。行政はそれを後押しする為の規制緩和や制度の整備を主とするべきで、その努力を怠っていただけかと思います。今は自らが先頭に立っていますが、そもそも行政がやるべき事ではありません。それなのにこうした規制は率先して掛ける。ポテンシャルを活かせないこの街の根本的原因を自ら作り出していることを何故理解しないのでしょうか。

  2. sirokuma より:

    おっしゃる通りだと思います。

    ご存知かもしれませんが、このうめきたの都市公園は、平成24年当時の橋下市長と松井市長が、大阪の将来について、都市魅力戦略会議の提言、「圧倒的なみどり」で都市を覆い、都市の風格を高める戦略を強いリーダーシップと実行力で公費を果敢に投入し具現化したものです。今は頓珍漢なコメントが増えた橋下さんも失点続きの威信を率いる松井さんもいい仕事しましたね。これはこの都心部に圧倒的な緑の空間を作る事で周辺エリアの価値を向上させる作戦でしたが大成功を収めそうです。これもベースには都市再生緊急整備がありそれを最大限に活用しているのです。大きな緩和・優遇があるから余剰を将来の投資に回せるのです。幾重にも規制をかけて投資を促しても誰も相手にしません。

    うめきたのMICEを運営するコングレはG7伊勢志摩サミットをはじめ多くの国際会議を手掛けているコンベンションのトップランナーです。うめきたにはウォルフォードアストリア、キャノピーヒルトン、インターコンチネンタルなど超一流ホテルができ巨大なオフィスには産官学も入居しています。敷地内には来春仮称:JR北梅田駅が開通し新大阪⇔関空間の所要時間が約20分短縮されます。この開発は万博までに多くの施設が開業し2028年頃には計画されている大規模施設群は完成する予定です。周辺ではJRや郵貯の大規模ビルなど高規格のオフィスの提供が続きます。
    これだけを見ても、この街と周辺エリアが将来的に非常に上質で日本を代表する街として成長していくことが容易に想像できます。

    真偽は発売まで不明ですが、巷の噂では分譲マンションの売価は100㎡クラスなら2.5億~じゃないかと…市場動向はわかりませんが、周辺中古マンションは既に値上がりしているようですし、これだけの都市開発ですからあり得るかもしれないですね。

    • しん@こべるん より:

      そうですね。当時の維新の橋本・松井コンビはキレキレでした。今、再開発が著しい御堂筋の規制緩和も当時に英断だったかと思います。うめきた2期に加えて、阪急も梅田開発に乗り出すそうです。もう梅田は国内では東京都心の街と十分に渡り合える規模と質を備える唯一の場所になりそうです。

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