広島

地域探訪: 広島・JR広島新駅ビル建設工事 「時代を越え、次代へ繋ぐ」南口駅前の大改造が進行中



大阪西、三ノ宮と並びJR西日本の中期経営計画で三大プロジェクトに位置付けられているJR広島駅ビルの建替計画。旧駅ビルASSEの解体撤去が完了し、2021年6月より新駅ビルの本体建設工事に着手しました。



新駅ビルの規模は、地上20階 地下1階 延床面積111,000平方メートルの規模となり、一日の乗降客数数が14万人を越える中四国地方最大ターミナル駅及び100万都市・広島の玄関口にに相応しい巨大駅ビルに生まれ変わります。低層部はシネマコンプレックスも入る店舗面積25,000平方メートルの商業施設、高層部にはJR西日本の経営するホテルヴィスキオが開業を予定しています。

ekie23.jpg

橋上駅舎を拡大させて、エキナカ商業施設「ekie(エキエ)」を開業した広島駅に直結していた旧駅ビル内のコンコースと大階段はあくまでも新駅ビルの建設が開始されるまでの暫定施設でした。



駅ビルの解体開始に伴って、大階段は閉鎖されており、三宮同様に暫定的な迂回路が開設されています。



このコンコースの更に先に新駅ビルや「広電」こと広島電鉄の駅を含む乗り換えコンコース空間が整備される事になります。



こちらが迂回路です。以前の大階段と比べるとこじんまりとしていますが、暫定施設とは言え、しっかりとエスカレーターも設置されています。



駅ビルの建設現場の中央を突っ切る形で通路が設けられており、駅前広場内にある現在の広電・広島駅に連絡しています。



暫定通路の左右に広がる新駅ビルの建設現場です。鉄板の仮囲いもありますが、一部は簡易的なフェンスの部分も多くあり、現状はまだかなりオープンな状態です。



仮囲いにはかなり控えめに新駅ビルの開発概要が掲示されています。三宮再整備では、仮囲いがメッセージだらけなので、かなりアッサリとした印象を受けます。



「時代を越え、次代へ繋ぐ」。広島市が進める広島駅南口駅前広場再整備と、JR西日本、広島電鉄が進める駅ビル建て替え・駅舎改造は、2025年春の完成予定です。



新駅ビルの建設工事は敷地東側が先行しており、既に基礎工事から鉄骨建方に移行しています。着工から1年での鉄骨建方はかなり早いのではないかと思います。



駅ビルの南北幅は想像以上に大きく、既に迫力があります。



タワークレーンが東側に1機、西側に1機の2機体制で工事が進められていますが、これから更に増えるのではないかと思われます。



上空から眺めると、新駅ビルの敷地の大きさとダイナミックさがより際立ちます。全国の大都市には巨大駅ビルが建ち尽くした感がありますので、現在、JR西日本が進めている三大プロジェクトは、最後の駅ビル計画の一部と言えます。



広島駅は橋上駅舎のリニューアルによって全く見違える程のコンコースやエキナカ施設の充実したターミナル駅へと生まれ変わりましたが、駅ビル建て替えと共に進められている広電のルート再編と駅設備の移設は更にシンボリックな表玄関の風格を備えさせる事になります。



敷地西側は広電が駅ビル2階へ乗り入れる高架軌道を支える柱の構築が進められています。



駅ビルの建設中はまだ既存の広電広島駅が稼働を継続し、市民や観光・ビジネス客の足を支えています。



広島は都心部に路面電車を抱える唯一の大都市です。全国の大都市が地下鉄へシフトすると共に路面電車を廃止していきましたが、広島は路面電車に固執し続けてきた結果、LRTが再び脚光を浴びている今、これを活かした街づくりはアドバンテージを抱えています。



その路面電車のターミナル駅をJR駅ビル内に組み込み、利便性とシンボル性を高めた文字通りの玄関口に相応しい空間が誕生する計画です。



路面電車を駅ビル中央部に乗り入れさせる為、駅前広場に対して垂交する大通りに新たに電車の高架軌道を構築する工事も既に着工しています。



エールエールA館とビッグフロント広島の間の道路の中央部に基礎を構築しています。



駅前大橋ルートの完成は2027年3月。駅ビルの完成時期よりも2年遅れる事になるのでしょうか。



駅前広場の地下でも関連工事が進められており、駅前の大改造はまだ数年に渡って継続します。



広島駅前はこの数年で劇的な変化を遂げています。再開発が相次ぎ、駅前広場に面した全てのブロックに新たなビルが建設済みもしくは建設中です。



異なる鉄道機関の駅舎を駅ビル内に整備する例は数多くありますが、大概は平行させるか、地下で直交する事が殆どです。ビルの2階にアトリウムを設けてターミナル化したのは、広島以外には北九州市の小倉駅のみでしょう。



駅ビルの床面積は11万平方メートルと、市内の複合商業施設としても最大級の規模を誇る建物になります。



駅ビルの頂部には大階段を設けた屋上庭園が整備されます。展望と賑わいを組み合わせた空間が誕生する予定です。屋上広場は水平に広がるビル基壇部全体に設けられる為、その面積は広大になる可能性が高く、北口のJR西広島支社跡地の暫定開発で生まれる広場は、この屋上広場の実験施設的な役割を担う予定です。



駅ビル建て替えと合わせて更なる進化を遂げる広場駅。訪日客が再び増加すると、玄関口としての重要性は更に高まる事になるでしょう。サミット開催による知名度向上も追い風になります。



広島ステーションシティの誕生に向けて大改造は着実に進行しています。次に広島を訪れるのは恐らくこの新駅ビルの完成のタイミングかと思います。三ノ宮よりも4年も早い駅ビル完成となりますが、広島はこの新駅ビルの開業によって新しいステージを迎え、二つの都心軸の両立を目指す事になるのです。

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POSTED COMMENT

  1. さんたん より:

    広島は路面電車に固執したというより、昭和の一時期に「路面電車のある都市は三流、地下鉄を持つ都市が一流」みたいな風潮があり、それに乗っかろうとして広島市も地下鉄を整備しようとしたものの、オイルショックやバブル崩壊で頓挫し、時代が変わって路面電車が再び脚光を浴びるようになった、というのが正しいように思います。

    • @ より:

      もっといえば広島市の場合は地下鉄推進派の市長が急死してしまったことも地下鉄建設計画頓挫の理由だと思います。
      後任の市長は河川敷に木を植えた以外たいした功績もない市長でしたから、地下鉄を建設できなかったことは仕方ないことです。
      秋葉市政の緊縮財政下のおり、公共交通機関のひとつとして再び路面電車を活用する方針に転換したことで今建設中の駅前大橋線などの各種事業を行う下地を整えることができました。
      今年の3月には広電が保有する編成の半分以上で全扉乗降車ができるようになり、ますます海外のLRTと遜色ない状況になりつつあるので、このまま日本の路面電車業界をリードする企業であってほしいです。

  2. かく より:

    「他人の芝生」じゃないですが、広島が羨ましい。既に更地になって2年となる三宮が未着工で駅ビル完成が29年「予定」。JR西日本の予算上の優先順位があることはわかるが、あまりにも三宮は遅すぎる。広島は工事の姿が目に見え、ドンドン再開発が行われていることを実感できる。三宮はいつ着工?来年という報道もあったが、神戸のことだから信用できない。早期着工、そして完成に神戸市当局はもう少しリーダーシップを発揮していただきたい。このブログからも早期着工の気運を盛り上げることができればと念願する。

    さらに書くと、神戸市役所2号館の概要が発表されるはずが、未だに報道無し。神戸アリーナも24年度完成なんて夢物語。更地のまま放置され、着工の兆候は見えない。雲井通りのバスターミナルも、サンパルの解体が始まると言いながら2ヶ月すぎている。

    この5年民間による大規模開発は「神戸阪急ビル」ぐらい。
    「タワマン規制」をはじめとしてさまざまな規制のある神戸では、民間の投資計画や意欲が全くといって良いほどない。小手先の対策で神戸市の「人口減少」を食い止めようとしても無理。大幅な規制緩和こそ、民間の投資を誘導し、都市を活性化する。

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