ポートアイランドII期

基礎工事の進む「アイパーク神戸」が変える神戸医療産業都市の未来――三菱商事の不動産×創薬戦略と民間参入の新フェーズ


今回は、三菱商事都市開発やアイパークインスティチュートらが手掛けるマルチテナント型ライフサイエンス研究開発施設「アイパーク神戸」の最新の建設状況レポートです。設計・施工は日鉄エンジニアリングによって進められている鉄骨造・地上8階建・延床約12,000㎡というスケールの建物です。



杭工事から1階床の構築に移行しており、美しい平滑なコンクリート面が出現しています。



1年後となる2027年秋の開業を目指しており、テナントを募っています。開業したばかりの隣接する大和ハウス工業の「DP-Lab Kobe」は神戸医療産業都市で初の民間事業者による賃貸ウェットラボ施設ですが、既に床の7割が埋まり、需要の高さが伺えます。「アイパーク神戸」も高い稼働率でのオープンを迎える事になりそうです。



白いコンクリート面の角部や外縁部にアンカーボルトとベースフレームが設置されており、鉄骨建方への移行も遠くはない事を物語っています。



まだ一部の床では配筋や型枠設置が行われており、その後にコンクリートが打たれて残り床が完成します。ポートアイランドは海上の埋め立て地であるが故、地盤は軟弱です。またライフサイエンスラボでは、高倍率の顕微鏡や精密質量分析器、バイオ・AIロボティクス設備などが導入されますので、建物の沈下や近接するポートライナーの高架、周辺道路交通に起因する「環境微振動」が課題になります。



従って、その足元には埋立地の難条件を克服した高度な地盤・構造エンジニアリングが埋まっているのです。

今回のプロジェクトで特筆すべき事は、同じく三菱商事・三菱商事都市開発・アイパークインスティチュートが手掛けている日本初の製薬企業発サイエンスパークである「湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)」の運営ノウハウを地方都市へ横展開する初の外部展開拠点である点です。



神戸ポートアイランドには、理化学研究所(スーパーコンピュータ「富岳」など)、先端医療センター、大学、高度専門病院群、330社以上の医療関連企業が集積していますが、ここにアイパーク神戸が誕生する事により、220社・約3,500人の研究者や関連事業者が集まる湘南アイパークと連携し、首都圏(湘南)と関西(神戸)を結ぶ強力な研究ネットワーク・コミュニティが構築されます。



このコミュニティの形成から研究者や企業の交流・共同研究・オープンイノベーションが加速し、日本のバイオ・ヘルスケア産業の国際競争力向上につながることが期待されています。国際化された神戸空港から約6分という非常に高い交通アクセスを誇る為、国内外の研究者・投資家・事業会社が容易に往来できる「アジアのライフサイエンスハブ」としての機能も付与されるでしょう。



これまで、神戸医療産業都市は企業集積の高まりは進んできたものの、進出企業や団体の交流や連携によって生まれる具体的な成果が顕著に現れているとは言えません。アイパーク神戸の完成は、単なる「最新の貸し研究室ビル」にとどまらず、培われたノウハウを活用し、エリア全体に重層的な連携・相乗効果をもたらす事が最も期待される点です。



湘南アイパークでは、入居企業・スタートアップの急増や大型ウェットラボ(実験設備を備えた研究室)の需要拡大に対応するため、大規模な新棟(第6棟)の増築計画が進められています。この新棟は、延床面積約38,000㎡・専有面積 約25,000㎡であり、既にアイパーク神戸の3倍の規模です。従って、神戸の施設も軌道に乗った場合、周辺の土地で再び神戸市が事業者への売却公募を行った場合には、増設も検討される可能性があります。今後のウェットラボは民設民営に完全移行していくでしょう。

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