雲井通5・6丁目再開発

アシックスが2028年にグローバル本社をポーアイから雲井通5丁目バスターミナルI期ビルへ移転



現在、ポートアイランド・港島中町に本社を置くアシックスが、27年に完成予定の雲井通5丁目・バスターミナルI期ビルのオフィスフロアに移転する事が判明しました。

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現在の本社屋は1985年に竣工した築31年の3棟の建物と2009年に竣工の東館の合計4棟から成り立っています。また傘下のアシックスジャパンの本社は、2014年に江東区に建設したばかりの新本社屋から東京駅前のJPタワーに移転を決定。グループのグローバル本社についても利便性の高い三宮の最新鋭ビルへと移転し、創業75周年および合併50周年事業と位置付けられたプロジェクトとなります。

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アシックス本社を巡っては、2014年に本社に隣接する閉鎖されていた建物を取得して、新館を2016年に完成させる予定でしたが、その後の業績悪化によってこの計画は白紙撤回され、着工には至りませんでした。

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直近のアシックスの業績は2021年からV字回復を見せ、2022年からは毎年、過去最高の売上高更新を記録。前期は約5,700億円に達し、2024年の売上予測は更に15.7%上乗せの6,600億円に上るとしており、この数字は新館建設を計画した2014年と比較すると、ほぼ倍増します。7月の日経株高状況の折には、同社株も続伸して、一時は時価総額が2兆円を突破。国内売上は全体の2割に留まり、世界で稼ぐ文字通りのグローバル企業です。

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そんな絶好調のアシックスがグローバル本社を雲井通5丁目の再開発ビルへ移転させる事になると、気になるのが現本社屋がどうなるのかという点です。現本社には、アシックス本体の他、グループ傘下企業やアシックススポーツミュージアム等も入っています。



バスターミナルI期ビルのオフィスフロアは、地上32階の中の中層階11-22階の12フロアを占めています。基準階面積が分かりませんが、建物が40mx40mと仮定し、執務空間が1,300平方メートルだとすると、合計約16,000平方メートルのオフィス床となります。アシックスの現本社の床面積ですが、新しい東館は4,300平方メートル。しかし1-2階の博物館に1,600平方メートル充てがわれているので、事務所面積は2,700平方メートル。流石に他館の情報はありません。



アシックスが入るのは、オフィス階の11-14階の4フロア。4,000平方メートル強でしょうか。来年1月より三宮の各所に仮移転を開始。新ビルへの移転を予定する28年1月までの3年間は650人が仮オフィスで業務を継続。この仮移転の目的は定かではありません。現本社に何らかの改修を加えるのでしょうか。加えて尼崎にある関西支社を建設中の神戸居留地91番館に移転し、神戸へのグループ集積を進めます。



ただ懸念するのは、このビルのオフィスフロアを活用するテナントは市外から誘致する事が公募プロポーザルの条件たった記憶があります。オフィス床を保有するのは三菱地所なので、最終的には同社の裁量に委ねられているという事でしょうか。私は他フロアに神姫バスが本社をこのビルに姫路から移転させると予想しています。

しかしながら売上高6,000億円企業のグローバル拠点が三宮に構えられる事は、エリアにとっては活気を帯びる大きな要素となります。人工島から都心部に本社機能を移す企業は、P&G、サンテレビに次いで3社目です。



ファッションタウンと呼ばれるポーアイI期のビジネス街はエリアに拠点を構える企業の勢いの衰えによって地盤沈下が否めません。アシックスの都心回帰は、今後、更に他企業の移転に拍車を掛ける可能性があります。三宮ではこれからJR駅ビル、市役所2号館、バスターミナルII期ビルの建設が進み、新規オフィス床がまとまって供給されます。人材獲得を目的としてワールドやシスメックス等が利便性やステータス性の高い三宮に本社を移しても全く不思議ではありません。神戸は新都心を拡散させ過ぎました。三宮・元町に有力企業を集積させ、空いた人工島の土地を新たな用途に転換する方策を検討すべき転換点なのでしょう。

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POSTED COMMENT

  1. kingi より:

    アシックスが神戸本社を強化するというのは喜ばしいですが
    ポーアイが寂しくなるという痛し痒しですね
    現本社の有効利用が出来れば良いのですが

  2. ジュリアン より:

    ポートアイランドの空きスペースには,ピューロランドを誘致できれば面白いと思います。神戸空港が国際化するのを機に,サンリオのコンテンツを訪日外国人へのアピールに使えます。

  3. sirokuma より:

    神戸市はポートアイランドの利用用途の制限を撤廃すべきだと思います。現在、和田興産がマンション建設予定の場所も学校とか医療系以外、建設不可だったと思いますが方針が転換されたのでしょうか?
    なんとも不明瞭ですね。事業を認めるのであれば広く一般に告知して自由な競争を産出すべきだと思います。
    同じく、ファッションタウンも利用用途の制約が多くの企業の投資を妨げてきました。
    昔、ポーアイに初めて来たときには、その洗練されて輝くような街に驚かされました。アイランドカフェはオシャレで流行の最先端がココにあるように思ったくらい華やいでいました。
    当時とは時代背景も何もかも変わりましたが、ポーアイへの島内外の需要は今も確実にありますし、空港の国際化も見据え都市計画を変更し、ファッションタウンを例えばホテル料飲食ゾーンとして、外資系ホテル等を複数誘致できればインバウンド向けにも国内需要向けにも非日常の世界を作り出せるような気がしますが如何でしょうか?
    ホテルパールシティ神戸がコートヤード・バイ・マリオット神戸になることはこべるんさん既報ですが、やはり新築して欲しいですものね。

  4. 松屋 より:

    三宮1極集中は、神戸の人口減をまねきます、大阪の真似したらあかん
    人口八十万ぐらいの都市でいいやん

  5. 神戸太郎 より:

    ポートアイランドは、これから、神戸空港国際化を見据えて、ホテル、そして、医療都市などの研究機関で長期滞在するひとのためのサービスアパートメントが立地していけばと思います。そして、ゆくゆくは高質な住宅。住宅はタワーではなく、中層くらいで、ゆったりした街並みにしてはどうでしょうか。既に神戸市は、再開発のためのリサーチを進めているようなので、これからどうなるか楽しみです。

  6. 大福 より:

    神姫バス本社?結局、県内のパイを奪うだけ。県内各地域が潤うことを願うのが兄貴分の県庁所在都市の役割じゃないですか?それでは『市外から誘致する条件』とさほど変わらないです。もっと全国区の有名どころを誘致しないと、ありふれた県庁所在地の駅前ビルでしかなくなってしまいます。昔、三宮は梅田と並ぶほどの都会と思っていましたが。

  7. カン より:

    ポーアイに関しては、同じような時期に開発されたニュータウンや産業団地の現在がどうなのか、これが参考になるかと思います。

    阪急阪神不動産とH2O、千里中央駅東側を一体再開発
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF296FF0Z20C24A8000000/

    都市の新陳代謝というのは必然です。
    新長田もダイエーが抜けたから東急プラザの進出がありました。スマスイからのシーワールドへの変貌も同様です。
    ポートアイランドからアシックスが抜けることは、そもそもそこで滞留していても発展しないことが分かっていれば、とても良いことです。
    これも三宮の再開発があってこそです。

    ポートアイランドの遊休地は、近隣交通機関のポテンシャルから考えても、千里中央に決して引けを取ることのない絶好の立地です。
    再開発で後れを取ることがあれば、ほかの要因で負けているからということです。

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