再開発プロジェクトが目白押しの東京都心の中において、現在、最も東京で話題性の高い街と言えばやはり麻布台ヒルズなのではないでしょうか。「緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街−Modern Urban Village−」をコンセプトに、森ビルが中心となって地権者300名・区域面積約8.1haに渡る都心エリアの土地を30年の歳月を掛けて見事に集約して再開発を進め、昨年11月に開業を果たしました。
際立った高さを有する3棟の超高層棟と複数の低層棟がエリア内に配置されており、これらの合計延床面積は約86万平方メートル。途方もない規模であり、この床が埋められる事はもはや驚異的です。
その中心は何と言っても現在、日本一のビルとなった麻布台ヒルズ森JPタワーで、その高さは325.19m(地上64階、地下5階)。内部にはオフィス、住宅、医療施設、商業施設、インターナショナルスクールまでも入居するスーパートールタワーです。
麻布台ヒルズ森JPタワーの南側に整備された車寄せ及びメインエントランス。巨大なタワーコンプレックスの入口を司るシンボリックなエリアです。オフィスの総貸室面積約214,500m²、就業者数は約20,000人。
巨大なガラス構造の屋根の下にロータリーが整備されています。今回の開発では、ホテルはこのメインタワーに入らず、レジデンシャルタワーの高層部にアマンホテルがプロデュースしたジャヌ東京が出店。メインタワーの最高層部には高級レジデンスのアマンレジデンス東京が入りました。
タワーの低層部を占める商業施設「タワープラザ」のプレミアムなエントランス。タワーと飛び出たエントランスのガラスアトリウムの形状が統一されており、見上げると形が重なります。
麻布台は丘陵地で土地の高低差(最大18m)が非常に激しい土地である為、商業施設内のレベル合わせに非常に長いエスカレーターと大階段が設けられています。
再開発エリア内の道路には街路樹と植栽を含めて多くの緑が投じられており、森ビルによる建物の超高層化と空いた土地を緑で溢れさせるという基本コンセプトに忠実なまちづくりが行われています。
タワーの足元周りのひとつをとってもその造りやデザインに非常に高質感を感じさせます。
壁面緑化もダイナミックに行われています。
麻布台ヒルズ森JPタワーの見上げです。タワーの上階へと細くなっていくデザインは、これまで森ビルが手掛けてきた愛宕グリーンヒルズやアークヒルズ 仙石山森タワーに共通した形状で、シーザー・ペリ、ペリ・アーキテクツの流れを組む意匠です。
全てのディテールに洗練性が備わっているように見受けられます。総事業費は再開発プロジェクト1案件として史上最高の6,400億円に上り、桁違いの再開発プロジェクトだった事が伺い知れます。
建設中のレジデンスBは地上64階、地下5階、高さ262.82mの規模が計画されており、完成後には日本一のタワーマンションとなります。麻布台ヒルズ森JPタワーとの間にカーブを描く道路(尾根道)が通り、その上に歩行者デッキが整備されています。再開発エリア内には実に1400戸の住宅も供給されており、就、商、住、文の都市の持つ全ての複合要素が詰め込まれています。
敷地内はまるで美術館のような佇まいを醸し出しています。また「立体緑園都市」という名に相応しい景観が広がっており、ウルトモダンな天空の城ラピュタのようです。
森ビルが20年以上前に開発した六本木ヒルズの規模や内容を再び大きく塗り替える形で誕生した麻布台ヒルズ。あの一世を風靡した六本木ヒルズが色褪せて見え、古さを感じさせてしまう程、麻布台ヒルズの斬新さや洗練さが際立っています。
空中回廊から眺める再開発エリアは、高台と谷地で成り立っている事を強く感じさせます。
これだけの規模の再開発工事ですが、2019年に着工し、2023年には竣工しており、規模からすると、4年という比較的短期で工事が行われたと言えます。
後編では、開発面積8.1ヘクタールの内、約6,000m²の中央広場を含む約2.4haという広さを誇る都心に出現した広大な緑地を中心とした麻布台ヒルズのメインエリアについてレポートしたいと思います。
地域探訪: 東京・麻布台ヒルズ特集 前編 都心に出現した「立体緑園都市」はまるでウルトラモダンなラピュタ
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