神戸の玄関口は新神戸駅か神戸空港かと言えばやはり新神戸になるのでしょうか。乗降客数は16,000人/日ですので単純計算で約570万人。神戸空港の搭乗者数230万人の倍にあたります。1972年の駅の開業後、駅周辺では80年代半ばから後半に掛けて、市営地下鉄の乗り入れや新神戸オリエンタルシティ等の大規模再開発が行われ、景観は一変しました。
その後は停滞しますが、2000年代に入ってから、駅前の市有地が次々と売却され民間業者による再開発が行われました。その結果として、超高層マンションが聳え立ちました。現在、駅周辺は眼前に迫る山をバックに3棟のタワーが林立する都会と自然の融合的な不思議な景観が生まれています。
JR西日本は2007年に新神戸駅構内をリニューアルしました。神戸市内のJR沿線の既存駅とは異なり、JR西管内で進められている新駅や改装駅と同様にモノトーンを多用したシックな色使いや円をデザインに採り入れた造形によって雰囲気は完全にリフレッシュされました。
改装は改札内外の双方全面に施されましたが、中でも改札外は店舗の配置や構成を含めて一新。支柱も石造調にアレンジして照明で演出。旧居留地や北野の雰囲気を醸し出しています。
神戸みやげを購入できるアントレマルシェは大きな物販店舗です。週末や連休時はごった返します。近年の新神戸駅は混雑時はキャパオーバー気味になっています。神戸空港がなければ施設的に完全にオーバーフローになるのではないかと思います。
新神戸オリエンタルシティはそんな新神戸の玄関口にあるランドマークです。ANAクラウンプラザホテル神戸と商業施設新神戸オリエンタルアベニューから構成される複合施設です。
神戸で最高層ホテルのANAクラウンプラザホテルはその利便性からも稼働率は高く利用者も多いのですが、商業施設である新神戸オリエンタルアベニューはパッとしません。元はOPAの一号店という輝かしい栄光と称号を持っていた施設でありながら、その栄華の面影も今はありません。そもそも新神戸にここまで大規模な商業施設が必要とされているのかという根本的な問題が根底にあります。必然的にテナントは飲食店が多くを占めるようになっています。
そんな新神戸事情ですが、ここに来て、神戸市はJR駅-地下鉄駅間の連絡路のリニューアルを計画しています。地下鉄駅の位置がフラワーロードとオリエンタルシティの地下に跨っている為、JR駅からはかなり複雑な導線を経て、地下鉄駅に辿り着かなくてはなりません。
現在は地下鉄駅までの導線を分かりやすいようにフロア面にラインを描いて誘導しています。これはこれでアイディアとしては面白く分かりやすいと思います。
市はJR駅から地下鉄駅が大きく分けて3段階に跨る経路になっている為、これを逆手にとって3つのテーマとしてリニューアルを進めることにしています。
テーマは「異人館と山」、「花と緑のまち」、そして「旧居留地とみなと」と連続します。このアイディアは神戸芸術工科大学環境建築デザイン学科の長濱研究室の協力を経て、練り上げたものです。
まずは薄暗いエントランス部の改装予想図から見ていきましょう。
ここはエントランスとしてゲートの役割を果たす場所です。従ってゲートウェイ的な要素やデザインを持たせるということで緑と白を基調とした色使いで統一。緑は神戸市営地下鉄山手線のアイコンカラーであると共に山の緑も表します。また北野の異人館でも緑のフレームに縁どられた北野物語館(現在はスターバックス北野異人館店として活用)をも連想させます。正面には映像パネルらしい物も見えます。
次は長いエスカレーター部です。
こちらについては劇的な変化はなく、照明の変更と壁面に神戸のフォトフレームを飾るといったところでしょうか。予算の関係上もあるでしょうが、少し安易な感じがします。フォトフレームになるのか映像スクリーンになるのかでだいぶ印象が変わることでしょう。
エスカレーターを降りるとしばらく平面移動となります。中間おどり場とされるエリアでここには花と緑のまちのコンセプトが課せられています。
ここは壁面と天井照明、サイン等のリニューアルが図られます。両サイドの壁面には切れ目なくフォトフレームが並列。
もう一段階、短いエスカレーターに乗ると、最終工程に入ります。
店舗前通路から改札前広場は旧居留地とみなとのエリア。
ここでは店舗上部と各店舗間の壁面に手が加えられます。ただ店舗内が今の地方のお土産屋のような状態のままだと余計にギャップが大きくて見映えが悪いので、店舗内の見た目も改善して欲しいと思います。
最後は改札前広場。
フィナーレとしてここは大きな変化があります。天井、壁面、支柱がほぼ全面的に改修され、イメージが一新します。支柱のポートタワーをあしらったデザインも好感が持てます。阪神神戸三宮駅の地下通路でも培われた意匠に円形を採用するパターンも採り入れられています。
新神戸駅のホームはこれまで通りです。
今回の一連のリニューアルに対し、市は3.24億円の予算を計上。今年度中に改装工事をスタートし、来年秋に完成させる予定です。神戸の表玄関が綺麗になるのは歓迎すべきことではありますが、改札広場以外の改装には何か中途半端感が漂っている気がするのは私だけでしょうか。とにかく仕上がりを見てみない限りは判断がつきませんので、改装工事の進捗をレポートしながら、見守りたいと思います。
新神戸特集+地下鉄新神戸駅リニューアル計画
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整備は良いけど根本的な乗継距離が変わらないので興味が湧きません。私は視覚的な効果よりも移動のしやすさの方を重視します。
ここは長すぎて重い荷物がある時などは非常に不便だし、どうせ三ノ宮駅でまた乗り換えるのでタクシー利用が殆どです。
長い距離を移動させるんだから荷物をスムースに静かに転がせるように床面に気を配ってほしい。が、どうしても床面は点字ブロックを優先しなければならないし、何かいい知恵があれば良いんですけどね。
新神戸オリエンタルアベニューは利用者を増やすためにはumie並みに駐車料金を引き下げることだと思う。ここには飲食店が多いけど駐車料金を払ってまで昼食に行くほどの魅力はない。この周辺には駐車場付の飲食店がないので、駐車場がumie並みになると車利用・1~2人客単価1000円前後の人が商談や仕事の合間に気軽に立ち寄れる場所になるんですがねぇ。
もっと根本的な変化が欲しいですね。たとえば・・・新神戸に阪急乗り入れ!駅作り直し!とか(笑)
リニューアルの仕上がりに期待したいですが、投下予算の額的に微妙な結果にならなければ良いのですが。神戸市は安物買いの銭失い的な予算執行が散見してますから。
そういえば、オリエンタルシティ正面のコインパーキングが閉鎖され、マンションが建つようです。このあたりはかつての業務・商業地としての機能はなくなり単なる住宅地へ変貌してしまうのでしょうね。