長崎市の陸の玄関口であるJR長崎駅は、西九州新幹線の乗り入れを見据えて在来線を高架化した上で新駅舎を150m西に移転するという大規模リニューアルによって、2020年に生まれ変わり、更に22年には西九州新幹線の駅舎も併設されました。
この新ターミナル駅舎の誕生に伴って駅周辺の再開発も同時に進め、西口、東口の双方が従前とは全く異なる駅前へと大きく変貌を遂げました。
その変貌ぶりは県都とは言え、人口39万人弱の都市とはとても思えない様相です。やはり新幹線の乗り入れというインフラ整備は、地方都市の活性化にとってこの上ない起爆力を発揮するという証明です。
先日も北陸新幹線の敦賀延伸開業が話題になりましたが、沿線の福井駅前もこの新幹線駅開業を見越した再開発で大きく生まれ変わり、外資系ホテルまでもが進出。それ以前に北陸新幹線が開業した金沢も活況に沸きました。
新幹線の開業は訪日観光客を増加させる要素である事が大きな後押しになっている事も間違いないでしょう。特に九州は、訪日客からの人気は高く、九州各港のコロナ前のクルーズ船寄港数は全国トップでした。
そんな九州の中にあって、神戸と同様に異国情緒を一つの売りにしてきた観光都市である長崎は、風光明媚で世界遺産も有する港町の顔を全面に押し出し、観光・ビジネスの両面の充実を図ろうとしています。
そんな国際観光都市・長崎の玄関口の再開発により、長崎市が、西口駅前に整備したのが、MICE施設「出島メッセ長崎」です。2021年に完成し、イベント・展示ホール、コンベンションホール、会議室及び駐車場から構成されています。
JR長崎駅とはペデストリアンデッキで直結し、駅前立地で利便性は非常に高いコンベンション施設です。
昨年、5月に広島で行われたG7・先進国首脳会議においては、G7長崎保健大臣会合が、この出島メッセにて開催されました。
玄関口の駅前空間を全面的にMICE施設に充てるという大胆な戦略は、中心市街地が玄関駅と離れた場所にあり、尚且つ駅舎の移転という条件が整ったからこそ実現できたウルトラCの施策でしょう。
国際コンベンション施設には必須のホテル機能もしっかりと整備されています。進出したホテルはなんとヒルトン!21年11月に開業したヒルトン長崎は200室を提供。長崎駅前にはJR新駅ビルの上層部に長崎マリオットホテルも昨年オープンし、駅の東西に外資系ホテルが集積しています。
出島メッセ長崎は、延床面積24,721平方メートル。会議やイベント参加者はもれなく長崎観光も楽しむ事ができ、長崎空港や長崎港、そして新幹線でのアクセスも可能となり、これらの利便性向上による需要を見込んで建設されました。
アリーナ同様に全国の諸都市でホテルを併設した国際コンベンション施設の建設が進められています。訪日客需要の増加を更に次のステップに引き上げ、ビジネス客の増加にも繋げる試みが図られています。長崎もこの一員に加わりました。
地域探訪: 長崎・JR長崎駅前西口に出現したMICE施設「出島メッセ長崎」
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