全国の各都市で熾烈な都市間競争で生き残る為、再開発が積極的に行われていますが、その中で存在感を強めているのが、外資系ホテルです。東京、大阪、京都等の訪日客ゴールデンルート都市だけでなく、九州の諸都市やその他地方都市への進出も盛んになっています。
そんな中、国内第二位の人口を誇る横浜市ではこれまでに進出した外資ホテルはヨコハマグランドインターコンチネンタルとシェラトン横浜の2ホテルに留まっていました(パンパシフィックホテル横浜は改名によって消滅)。
横浜も神戸と同様に異国情緒を売りにしてきた観光地であるが故、それが裏目に出て外国人観光客に注目をされにくい状況が生じている環境にあります。しかしながら近年のみなとみらいや北仲通エリアの再開発ラッシュの中で、外資系ホテルが相次いで開業するようになりました。
横浜市役所の向かいに位置する北仲通北A-1・2地区では住友不動産と大和地所が再開発プロジェクトを進めており、ホテルやマンションから構成される複合ビルが建設中です。
先週、このホテルに誘致されるブランドがヒルトンの最上級ラインであるコンラッドである事が発表されました。
計画されている建物は地上40階 地下2階 高さ150m 延床面積97,071.86平方メートル。共同住宅(184戸)、ホテル、物販店舗から構成される複合機能を有する予定です。
ホテルや店舗は建物の低層〜中層部(1-16階)を占める事となり、客室は272室を展開する他、飲食施設4店舗、フィットネスジム、インドアプール、ウェディングチャペル、ボールルーム(大宴会場)も備わる予定です。
また17-40階には分譲マンションではなく、住友不動産の高級賃貸マンションシリーズである「ラトゥール」が設けられます。既に現地では建設工事が開始されています。
竣工予定は2026年11月末。久米設計が手掛けた建物は、全体をカーテンウォールで覆ったオフィスビルのようなデザインで、海外の高級高層住宅を意識した佇まいです。外国人エグゼキュティブの居住需要も取り込む想定なのでしょう。
ウォーターフロントに立地し、対岸にはランドマークタワー率いるみなとみらいのビル群を一望するロケーションに、最高級ホテルが進出する事になります。施工は鹿島建設が担当。
鹿島建設が施工しているからなのか、ゲートはパンチングで穴が空いた仕様になっており、風を通すと共に外からも内部の様子が分かり、開けた現場が意識されているような気がします。
この北仲通地区の再開発では、先行した中央のA-4地区、B-2地区に続いて、前述のA-1・2地区と同時に南側のB-1地区でも大規模再開発が計画されています。
北B-1地区でも既に基礎工事が進行中です。この再開発を進めているのは、日新、東急不動産、東急電鉄、第一生命の4社です。
こちらには地上40階 地下1階 高さ158mの超高層住宅棟(704戸)と地上6階の事務所・店舗棟 合計延床面積109,048.80平方メートルの建物が建設されています。ランドマーク性の高いデザインが特徴です。
このタワーの住宅は分譲マンションになるものと思われます。施工は熊谷組が担当し、2027年6月末の竣工を予定しています。
前述2つのプロジェクトが完成すると、北仲通地区では一旦、ひと通りの再開発が完了を迎える事になり、高さ200mのザ・タワー横浜北仲を中心とした超高層ビル群が水辺に林立する美しいウォーターフロントエリアが誕生する事になります。
横浜における外資系ホテルの進出状況は、コンラッド横浜が加わる事で新展開を迎えようとしていますが、みなとみらいではこの数年で数多くのホテルが新規開業しています。
ウェスティンホテル横浜は2022年6月に開業。地上23階建てのビル内の13-22階に373室を備えます。
1階にはポルシェセンターみなとみらい」、6-12階はケン・コーポレーションが運営するサービスアパートメンツの「The Apartment Bay YOKOHAMA」が入ります。
ウェスティンのエントランスエリアと車寄せ。ウェスティンは国内では仙台、東京、横浜、京都、大阪、そして北海道のルスツのみに進出中と希少性の高いブランドです。
今回のウェスティン横浜はマリオットインターナショナルと提携する積水ハウスの事業です。この2社がタッグを組んで、全国の大都市や地方都市に次々とマリオット系列のホテルの進出を進めています。
Kアリーナ横浜と一体的に開発されたミュージックテラス。ケン・コーポレーションが事業主となり、収容人数2万人の音楽専用アリーナと共にオフィス棟、ホテル棟から成るツインタワーを建設しました。
ホテル棟に誘致されたのがヒルトンホテルです。ヒルトン横浜は地上26階建てのタワー内の7-25階に339室を備え、2023年9月に開業しました。
ケン・コーポレーションは自社にホテル事業を展開するケン・ホテル&リゾートホールディングスを持ち、自社ブランドのプレミアホテルをはじめ、ヒルトン横浜や20年に関内で開業したハイアットリージェンシー横浜等の高級ホテルも運営。神戸では、神戸トアロードホテル山水も同社の運営です。更に
横浜は神戸と同じく歴史的に港町として発展し、異国情緒溢れる観光地として国内客の人気は高いものの、東京に近い為、同市を訪れる観光客の内、9割は日帰りが占めるそうです。どちらかと言えば神戸同様に訪日客には素通りされがちな観光地である筈の横浜。実際に神奈川を訪れる外国人観光客数は、兵庫県とそこまで大差はありません。しかしながら、この数年の間にこれだけ多くの外資系ホテルが誘致されている理由を研究し、神戸への外資系ホテルの進出促進へと繋げる手立てを検討すべきかと思います。無論、みなとみらいには多くの企業が進出し、日産や資生堂、LG等のグローバル企業の本社や拠点の集積、Kアリーナ、ぴあアリーナ等の音楽アリーナ、そしてパシフィコ横浜のMICE施設もあるので、これらから生じる需要の受け皿を担うというポテンシャルが理由である事や、立役者にケン・コーポレーションという横浜に力を入れる企業の存在も大きい事が考えられるでしょう。
アリーナの新設やグローバル企業の拠点の立地等、神戸にも共通点はあり、更には国際定期便が就航予定の空港を有するという最大の起爆剤を有する事を考えれば、寧ろ外資系ホテルが進出しない理由は考えられません。まずは市役所新2号館のホテル誘致ブランドを明らかにし、更に雲井通6丁目、JR駅ビル、新港町再開発エリア、県庁跡地等、外資ホテルの進出可能性があるプロジェクトには、名古屋市のような高級ホテル誘致促進制度適用の検討も為されるべきかと思います。
地域探訪: 横浜・コンラッド横浜進出決定!然程訪日客需要の高くない横浜に外資系ホテル進出ラッシュが続く理由とは?
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人口規模が違うので比較するのもナンセンスかもしれませんが、横浜市を見ているとつくづく神戸市が情けなく見えてきますね。
神戸は財政面がネックですからね。横浜との差は広がるばかり。