京都市は、コロナ前にホテルの建設ラッシュによってオフィスビルの建設が滞り、逼迫していたオフィス需要が、訪日客受け入れ再開によって再び同様の事態に成りかねない事を懸念し、オフィスビル建設を促進する為、厳格だった高さ規制について緩和する方針を打ち出しました。
その対象となるのは、主に京都駅の南側。現在は高さ20〜25mの高さ制限を31mまで引き上げる緩和を行いました。
京都駅の南側である八条口は、駅ビルのある北側とは対象的にこれまで整備が遅れていました。
そこで京都市は、八条口駅前広場の整備に乗り出し、2016年に大屋根のある駅前広場やタクシー・バス乗り場が完成しました。
この駅前広場整備に呼応するように駅前には訪日需要に対応してホテル建設が相次ぎ、駅前はホテル街に変貌を遂げました。
しかしながらコロナによって、高級ホテルを除いて、通常のホテル建設ラッシュは潮が引くように消滅。代わりに八条口駅前はオフィスビルの建設が進み始めました。
(仮称)京都駅八条口駅前ビルは、地上8階 高さ30.93m 延床面積3,141平方メートルの事務所ビルプロジェクトで、規制内ギリギリの高さになっています。
更にもう1棟のオフィスビル計画が同じ並びで進行中です。
大和ハウス工業が施工している(仮称)南区東九条上殿田町計画。プロジェクトを進めているのは磯村商会。
こちらのビルも地上8階 高さ30.95メートル 延床面積3,016平方メートルと、前述のビルとほぼ同規模です。
更に(仮称)南区東九条上殿田町計画に隣接した狭小地(敷地面積70平方メートル)にも地上6階建てのテナントビルが計画中です。
そして更に狭い敷地面積50平方メートルの土地にも同じ事業者が地上6階建のビルを建設するようです。容積率的にクリアしているのでしょうか。
駅前広場に面して様々な計画が進められており、現状はホテルからオフィスへの移行が鮮明になっています。
八条口は烏丸口と比べて商業施設はあまり多くありませんが、再開発ビルの「京都アバンティ」は、イオンモール京都と合わせて京都駅南側の中核商業施設となっています。
京都駅周辺では苦戦を強いられらた施設でえり、テナントの統一感はなく、あまりパッとしない状況ですが、立地は良い為、飲食店等を中心に訪日客需要はあるようです。
今後もこの京都駅南エリアが、本格的にオフィス街として発展を遂げていくのかどうか。規制が緩和されたとは言え、オフィスビルも8階程度が上限となる為、余程、敷地面積が大きなまとまった土地でなければ、規模の大きな企業の移転需要を満たす事は出来ず、京都市の思惑通りに、エリアをオフィス街化する事はどこまで可能か。
またオフィス需要の高いエリアはやはり四条烏丸界隈の為、やはり都心中枢地区での更なる高さ・容積率の規制緩和を行う事が望ましいと言えますが、やはり締めた縄を解くのは並大抵な事ではなく、規制のない都市において、むやみな規制導入を行うべきではありません。
少し離れますが、この丁度真南の十条駅のすぐそばには、任天堂本社開発部の大きなビルが2棟建っています。何れも高さは10階も無かったと思います。敷地はかなりの広さですし、このあたりは工場や物流倉庫なども多いエリアなので、すこ高さ規制を緩和しても良いんじゃないでしょうか。