中央卸市場跡再開発 イオンモール進出計画

旧神戸市中央卸売市場本場西側跡地に平成27年秋に開業が予定されているイオンモール。市場解体前には映画「ガンツ」のアクションシーンや爆破がロケされて話題となりました。現在はすでに完全に更地化とした同市場跡地。敷地面積は3万7384平方メートルです。



イオンモールはここに地上4階建て、延床面積約9万2770平方メートルの商業施設を建設します。事業コンセプトは「Delicious Life Park」。市場跡地に開業し、隣接して新市場が稼働しているとあって、「食」をテーマとした商業施設は近隣商業施設や都心との差別化を図ります。



現地では着工前に埋蔵文化財発掘調査が行われていました。調査期間は今年の年末までの予定とあります。



周辺地区は兵庫の津に代表される様に神戸の中でも最も古い歴史を持ったエリアであり、土の中から何が出てきても不思議ではありません。ただ来年9月の施設開業を目指すとなると、来年初頭の着工で間に合うのかとちょっと心配になります。調査が事前に終了すれば、前倒しで着工するのでしょうか。



計画では敷地中央にモールの物販機能、北側に食文化関連機能を配し、西側の兵庫運河を活かしながら、東側の中央卸市場と連携する計画です。また今回のプロジェクトはI期地区の再開発として計画され、II期地区の開発も予定されているようです。



旧市場と港湾部を繋いでいた空中デッキを支える支柱がまだ解体されずに残っていました。市場との連携を考慮して、何らかの形で再利用するのでしょうか。



運河沿いにはプロムナードが整備され、兵庫運河が本格的に親水の場として活用されることになります。



運河越しにのぞむ計画地です。来秋にはここから見る景色へは一変していることでしょう。



運河が街中を縦横無尽に広がる和田岬エリアは神戸の中でも特殊な景観を持った地域です。工場街のイメージが強いですが、構造変化の影響と長引いた不況によって企業の移転、工場閉鎖、縮小が相次ぎ、地域の活力が失われてきた一方、跡地にマンションが急増しており、地下鉄海岸線の開通と共に都心に近接した居住エリア及び親水エリアを活用した観光地としての可能性も大きく秘めています。



運河を隔てた反対側はすでに運河沿いの整備が完了していますが、イオンモールの開発と共に再整備が進むかもしれません。



中央卸市場との連携にも期待が高まります。モールとの相乗効果によって市場が今以上に市民に、観光客に開かれた場所になるようになれば良いと思います。東京・築地市場は外国人観光客には人気の観光地です。同様に神戸の市場も神戸観光の名所になるかもしれません。



II期地区。まだ既存建物が存在しています。この敷地もI期地区同様にイオンの商業施設になるのか、それとも他デベロッパーに売却されて住宅開発が行われるのか。地下鉄海岸線の沿線人口を増やしたい市にとってはこのII期地区の開発も重要な意味を持っています。



モール内には地産マルシェ（中央卸売市場直送の生鮮食品を購入し食せる）、神戸グルメゾーン（神戸スイーツなどの食物販店）、キッチンコート、オープンカフェ、観光バス駐車場、観光案内所も整備されるようです。エリアの活性化、海岸線利用者数の増加等、地域の活力アップに大きく貢献する可能性を秘めているプロジェクトです。利便性と知名度アップによって沿線のマンション開発も加速するかもしれません。目と鼻の先にある好調なハーバーランドとも連携し、二つのモールをはしごするような回遊性や相乗効果も期待できます。