前回、鉄骨建方が本格化した神戸阪急ビル東館の様子をヴィーナスブリッジから確認しようと訪れたのが1月。早いものでもう半年近くの歳月が過ぎ去りました。上棟の近づく同ビルの様子を再度、確認しに行ってきました。
三宮のビル群のほぼ中央に立ち上がった神戸阪急ビル東館の様子をすぐに確認する事が出来ました。
付近に立つミント神戸や神戸国際会館を左右に従えるようにそれらの真ん中に神戸阪急ビルが聳える形となりました。
アルミカーテンウォールのガラスが周囲の建物を反射して高層オフィスビル独特の景観を創り出しています。ホテルフロアはまだ骨組だけのもぬけの殻状態なので、その向こうに神戸港が見えています。すぐ側には解体中の三宮ターミナルビル。新駅ビルが立つと2棟の駅ビルが重なり合う事になりそうです。
クレーンを上部に載せている鉄骨の躯体は大和ハウス工業が施工しているホテルアベスト三宮東門です。
続いて今後、変貌著しいウォーターフロント地区デス。
三宮新港町計画についてはフェリシモ本社の鉄骨やクレーン等が顔を出しています。手前に比較的大きな建物が多いので、この場所から望む場合においては、やはりツインタワーのベイシティタワーズ神戸の躯体が立ち上がってくるまでは存在感は薄そうです。
元町・県庁再整備はまだ具体的な動きはありません。1号館の解体が始まればいよいよといったところでしょうか。
JR神戸駅東南側はこの10年で本当に大きく変わりました。タワーマンションの林立がその主な要因ですが、来月からはこれが封じられます。今後10年も変わり続けていく事ができるでしょうか。
兵庫区、長田区と連なる市街地西部地区。これらの地区でも湊川、中央卸市場周辺、新長田と拠点エリアの再整備が進められています。
そして須磨の向こうに淡路島。すますい跡の再開発は広域圏からの集客を目指す為の今後の大きな起爆剤です。
停滞からようやく具体的に変わり始めた三宮やウォーターフロント。これらの再整備を今後どう突き詰めるか次第で都市間競争を打ち勝てる確率が大きく変わる事でしょう。
ヴィーナステラス・ブリッジから眺めた神戸都心 2020年初夏 神戸阪急ビル東館が三宮の中心に聳え立つ
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眺望写真を拝見し、阪急のタワービルが都心で立ち上がる姿に都心復権の兆しを感じ、神戸港の二つの人工島と最近着工されそれらの人工島を結び延伸する湾岸線の海上長大橋を想像し、その沖合の神戸空港を視界にとらえれば都市戦略の鍵が見える気がします。
都市はまさに生き物と同じで成長エンジンを失った地域・都市は長期低落を続け、成長エンジンを掴み発展が続く地域・都市はいつの間にか強大な経済圏へと成長しています。ほんの半世紀でその国の都市の序列は大きく変動することもありますし、これからは寧ろもっとその変化は加速されそうです。
米国にその例を見ると半世紀前には最大都市ニューヨークに次ぐ第二の都市として長らく全米2位の経済力を誇っていたシカゴは五大湖地域の産業衰退とともにその地位を落とし、全米広域大都市圏ランキングにおいてGDP(域内総生産)でなんと5位まで低落しました。NY、LAと続く広域大都市圏の順位に続き、シリコンバレーを擁するサンフランシスコーサンノゼ広域大都市圏が3位に浮上しています。半世紀も前であれば経済力で相手にもならなかったサンフランシスコにシカゴは逆転されたのです。
関西圏も残念ながらインバウンド以外の成長エンジンに乏しく長期低迷しています。代表都市の大阪とて急速に地方都市化が進んでいます。かつて大企業本社が集積していた本町・北浜から多くの本社機能が東京に転出し、跡地の大半はタワーマンションやホテルとなり業務の空洞化が顕著です。地方都市化の象徴的な動きとして本社資産を売却し、東京への交通の便の良い梅田近辺の新築オフィスビルに本社を移転(テナント入居)する企業が増えています。また生産施設も工場縮小・閉鎖で工業就業者の減少が続き、跡地の大半はお決まりの大型流通倉庫か分譲マンションか郊外型SCといったところ。昭和の時代の成長エンジンであった家電産業も消滅する可能性さえあります。シカゴの衰退と大阪が重なって見え、もはや大阪単独で関西圏を成長させるのは困難とも思えます。このままでは関西圏が国内2位の経済圏から転落する恐れ現実味を帯びてきます。
京阪神三都はもちろん連携することが重要ですが、大阪に頼り過ぎずそれぞれが独自の戦略をもって努力しなければ関西圏の浮上はありません。そして神戸は陸・海・空の結節点としての交通インフラに磨きをかけ市内雇用を増やす戦略をどんどん進めて行かねば未来はありません。幸いにも産業の転換にあっては神鋼神戸製鉄所高炉停止の時代を経て、近年では特に大型食品工場の立地が進み、なんと食品分野の製造品出荷額は日本一を争うまでになっています。大型食品工場の立地が進む複合産業団地や国際化を目指す神戸空港はもはや先人の残した優れた都市資産なのです。
神戸市の人口が福岡市に追い抜かれたのは2015年でした。あれから5年で神戸市は約17,000人の人口減少で152万人、福岡は63,000人ほど増えてついに160万人を超えました。この人口増加のペースは予測よりも8年早いそうです。神戸市との差は8万人以上となりました。川崎市にも既に2万人弱の差を付けられています。
九州の大都市である福岡には主として九州の他県からの流入が目立っているそうです。当然、他県ではストロー現象が起こっているでしょう。その他の県にしてもそれぞれの中核都市が頑張って周辺から人口を集めるような形になっています。当然周辺部は少子化・高齢化・空家対策に頭を痛めています。
福岡も例外ではなく首都圏への流出は昔からあります。私が言いたいのは神戸市は大都市なのです。兵庫県のエンジンなんです。その神戸市が何故衰退していくのか?明白です都市政策・計画の失敗が原因です。久元市長は九州で例えると福岡市以外の県の中核都市の周辺市町村が行うような、10年先30年先50年先(神戸市では推定107.1万人だそうな)の人口が減少した社会を念頭においた都市政策をこともあろうか大都市である神戸市で行っているのです。マイナスを念頭にして成長は望めないでしょう。
将来を見据え考える事はとても大切ですが、大都市には大都市の役割がある。神戸市に必要なのは、雇用や人口を増加させる成長戦略であり企業や人を呼び込む都市整備・規制緩和であり世界から人を呼び込むようなまちづくりでしょう。ひたすら成長を考えるべきなのに、机上で人口動態を眺めるうちに袋小路に嵌って身動きできなくなっているのが今の神戸市の姿だと思います。
予測や想定など机上での推計を基にしていては神戸市はだめになります。現実の世界は常に動いています。今もコロナ禍により世界経済は大きく揺らいでいますが、同時にコロナという奇禍は、テレワークという奇貨を産出し働き方改革を大きく推進させるかもしれません。これにより地方都市の周辺自治体にも情報インフラの整備強化など将来に向けた新たなビジョンが見えたかもしれません。
月並みですが都市も生き物です福岡市が予測より8年も早く160万都市になったように神戸市は成長をひたすら考えれば良いのです。神戸市のポテンシャルを引き出せるリーダーが本当に必要ですね。
S.Y. Kobeさま、sirokumaさま
いつもお世話になっております。
今回、お二人のコメントを拝見し本当に同じ気持ちです。
不肖ながら、私にもコメントさせてください。
神戸空港も徐々に便数が回復してきていますが、回復が本調子になるまでまだ時間がかかりそうです。
一時は神戸空港が神戸市最大の負債になる可能性も危惧したのですが、そこまで至ることはなさそうなのでまずは一安心しております。
思い付きで発言する無礼をお許しいただきたいのですが、神戸空港で国際貨物便を取り扱うことはできないでしょうか。
中国をはじめとした新興国では所得の増大に伴って安全な食品への関心が強まっています。
兵庫県は但馬、丹波、播磨、淡路と農水産業が盛んな肥沃な国を有していますので、安全なイメージのある日本ブランドの農水産物をそのままあるいはS.Y. Kobeさまが言及なさっての神戸市郊外の大型食品工業団地で加工したのち、神戸の神戸牛、神戸ワイン、灘の日本酒などと併せて国際航空便で輸出できればオール兵庫のブランドを立ち上げることも可能ではないかと考えた次第です。
このご提案は、農水産業が盛んで豊かな但馬、丹波、播磨、淡路に、良港である西摂と北摂西部を加えた兵庫県の成立の歴史的な過程にも合致しますし、sirokumaさまが言及なさっての「兵庫県のエンジン」にも適うものです。
もちろん、検疫などを設置する必要がありますし、発着数80便や発着時間の規制に該当するかどうかの確認や、国際貨物便の取り扱いが盛んな関空や国土交通省との調整もあるので簡単に実施できるものではないでしょうが、神戸空港の国際化を目指すのであればいずれは検疫や税関なども必要でしょうし、国際旅客便就航をめざす足掛かりとしては適切であると考えました。