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2月14日、久元市長が会見を開き、令和2年度の神戸市予算案を発表しました。人口減少に歯止めが掛からない事に対し、都心・ウォーターフロント地区及び拠点駅周辺の再整備と交通インフラ整備、都市リゾートの再編、子育て支援の拡充等に重点配分した1.86兆円の予算編を計上予定です。少し総花的な面も否めませんが、「攻め」の姿勢に転じようとする意気込みは感じられると思います。それでは今年もまず最初は我々が最も高い関心を持つ都心再整備について詳細を確認していきましょう。
バスターミナルビル関連
新バスターミナル整備に向けた事業化の推進- 雲井通5丁目再開発株式会社(バスターミナルI期ビル)への補助・具体的手続きの推進
- 雲井通6丁目再開発事業(バスターミナルII期ビル)の検討
- 新神戸文化ホール整備、葺合文化センター跡地の活用、青少年会館の神戸ハーバーランドセンタービルへの移転改修
三宮駅前周辺再整備関連
三宮クロススクエアの実現に向けた設計及びにぎわいづくりの実践
中央幹線における三宮クロススクエア東側エリアの工事着手に向けて都市計画手続と設計を開始し、21年から実施設計と着工に向けた具体的な動きが出てくる予定です。
JR新駅ビル・JR三ノ宮南側駅前広場の再整備設計
特筆すべき事項として、三宮クロススクエアの実現に伴い、JR三ノ宮駅南側駅前広場の再整備を同時進行で進めていくようです。ここで「JR新駅ビル」を明記しているという事は水面下でいよいよ新ビル建設の具体化が進んでおり、これに呼応する形で駅前広場の都市計画決定と基本設計、整備が開始されると解釈できそうです。
神戸阪急ビル・さんきたアモーレ広場・サンキタ通りの再整備
建築工事が進む神戸阪急ビル東館と改修工事が進む西館の進捗に伴い、サンキタ通り・さんきたアモーレ広場の再整備が遂に着工します。9.73億円を投じ、駅周辺は洗練された歩行者専用空間となり、国の推進する「Wakable City」の先行例として、また三宮再開発の急先鋒として、今後1年間を掛けてその全貌が明らかになっていきます。
三宮交差点・三宮東交差点の歩道橋へのエスカレーター設置
神戸マルイ前の三宮交差点歩道橋、阿波銀行神戸支店前の・三宮東交差点の歩道橋の二箇所にエスカレーターを設置工事を開始し、歩行者デッキ利用促進による駅周辺の回遊性を向上させます。
さんちかの活性化・再整備検討
2016年に50周年のリニューアル工事によって耐震改修と美装化を完了させた「さんちか」ですが、乗り換え動線の改善を目的とした大規模リニューアルを検討します。JR新駅ビルの建設や駅前広場再整備、三宮クロススクエアの推進に伴い、以前より三宮交差点地下に長さ130mのエスカレーター設置構想が浮上していましたが、この具体化検討を開始するのかもしれません。構造から変更を加える大幅な改修になるものと思われます。
阪急神戸三宮駅周辺の再整備がいよいよ来年度の完成に向けて一気に工事が進行し、三宮北エリアが大きく生まれ変わります。来年度末に解体工事が完了するJR三ノ宮駅の三宮ターミナルビルはいよいよ新駅ビルの建設に向けて始動し、これに伴い駅前南側広場の再編及びこれと密接関係にある駅前の中央幹線が三宮クロススクエア東側エリアとしての再整備が連動して具体化します。
神戸市役所本庁舎2号館再整備
- 神戸市役所本庁舎2号館の解体
- 新施設整備を担う民間事業者の公募
新中央区総合庁舎整備
- 神戸市役所本庁舎3号館の解体
- 新中央区総合庁舎建築工事
3号館跡から2号館跡の再整備がシームレスに進行し、2025年度以降までに神戸市役所本庁舎群がこれまでの行政庁舎機能のみから文化、商業、業務等の集客・にぎわい機能も加えた複合都市へと変貌を遂げます。また磯上公園には新体育館、ポートアイランドに代替グラウンドを2022年度までに整備する予定です。
東遊園地再整備・活性化
再整備の基本構想が策定され、再整備基本設計業務委託者や一部のにぎわい拠点施設の整備事業者も決定している東遊園地はいよいよ来年度よりリニューアル工事が始まり、21年度には一部の完成が見込まれます。2023年度には全体を完成させる予定です。
税関前歩道橋のリニューアル
東遊園地の再整備着手と並行して、公募によってデザイン案が決定している税関前歩道橋の架け替え計画も来年度より設計に着手します。早ければ来年度内の着工にも漕ぎ着けるかもしれません。
新港第2突堤及びその周辺再開発・事業化
三宮新港町計画として大規模再開発が進行中の新港突堤西地区(新港第1突堤基部)ですが、再開発第二弾として第2突堤とその基部、第1・第2突堤間の水域を含めた一帯の再整備を事業化すべく土地の買収と事業者の選定を進める模様です。報道では宿泊・商業機能を立地させる構想のようです。ウォーターフロントの更なる活性化に向けた弾みが見込まれます。また策定された「港都 神戸 グランドデザイン」を見直し、今後10年以内の将来構想を策定します。これにはメリケンパークと新港エリアを結ぶ海上歩道橋の検討も含まれるようです。
北神急行線の市営地下鉄化・乗車料金の引き下げ
6月より新神戸-谷上間を結ぶ北神急行線を市営地下鉄化へ。兵庫県からの補助も受けて乗車料金を大幅に引き下げ、利用促進によって谷上駅周辺と新神戸・三宮の拠点化を促進すると共に北区の居住・利便性を向上。
令和3年度より開始する連接バス本格運行に向けた整備
BRT導入可能性検討の一環として、都心とウォーターフロントを連絡する連接バスの本格運行を2021年度から開始する為の整備を進めます。
生田川右岸線の機能強化・神戸空港連絡橋の拡幅
新神戸-神戸空港間のアクセス改善の為、生田川右岸線の車線数の増加工事を2022年度までに完成予定。また神戸空港島とポートアイランドを結ぶ連絡橋を現在の2車線から4車線に拡幅し交通量の増加に備えます。
バスによるポートライナー輸送力補完の強化
朝夕のポートライナーの混雑緩和対策としてJR神戸駅-中央市民病院間で無料バスの運行による社会実験を継続すると共にポートアイランド方面への路線バスの運行を4月より10分間隔へ増便。
神戸新交通三宮駅ホーム拡張事業
令和2~4年度に掛けて、6.5億円を投じて、混雑するポートライナー三宮駅のホームを東側に拡張する工事を実施します。
北区、ポートアイランド、神戸空港と都心間のアクセス改善の為に交通インフラの強化を図ります。これらの具体策がどのような効果をもたらすのかを注視する必要があるでしょう。
オフィスビル建設促進のための税制優遇制度創設
今年7月より都心の居住施設建設、特にタワーマンションの建設を事実上禁止する条例を施行する事に対して、都心の業務・商業機能強化が進むのかという懐疑的な意見が相次ぎました。その対応策として捻り出されたのが今回のオフィスビル建設を促す税制優遇措置です。具体的には都心エリアにオフィスビルを建設する場合、固定資産税・都市計画税を5年間、半減します。最近は少しずつオフィスビルの建設計画も浮上していますが、劇的な効果を生むのかどうか要注目です。
オフィス賃料補助の拡充
現在、神戸市内に本社機能を移転したり、新築再開発ビルへ本社を移転する場合に得られるオフィス賃料の補助制度を拡充し、要件を大幅に緩和して制度の利用促進を図ります。
これらの補助制度によって都心遊休地や低度利用地、老朽ビルの建て替えが進む事を期待したいと思いますが、福岡の「天神ビックバン」のように容積率緩和等、他優遇措置と絡めたオフィスビル新築支援制度プロジェクト(三宮ルネッサンスのような)として大々的なプロモーション活動を展開すると共に具体的な建て替え・建設棟数目標を定めるべきです。
鯉川筋の空間整備
昨年度より計画されていた南京町付近の鯉川筋をはじめとする歩行者空間を再整備し、元町駅とウォーターフロント間のアクセス性を向上します。20年度内に工事は完了予定。
サンセンタープラザ再整備検討
昨年度から引き続き大規模再開発ビルのサンセンタープラザ再整備の検討を継続します。
久元市長も会見で述べていましたが、来年度より都心の各エリアで具体的に再整備の工事がこれまで以上に視覚化されていく事が予想されます。「見違える街」を目指してリノベーションが進む事で市民も来街者も変化を感じる事ができれば高揚感が生まれ、この街に来るといつも何か新しい発見や変化が見られるという期待が生まれます。これにより人々の来街頻度が増え、街に活気が溢れ、魅力が増します。人が集まり始めれば、モノも集まり、そこにはビジネスが生まれます。ビジネスが活性化すれば就業機会が増加し、必然的に人口流入が起きる事になります。これらの一連の都心への投資が民間事業者の投資も誘発し、開発の循環サイクルが出てくれば成功と言えるでしょう。
神戸市が令和2年度の予算案を発表 その2では各拠点駅のリノベーションに主眼を置いた予算編成について取り上げたいと思います。
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鯉川筋の空間整備については、ぜひ旧住友ビル跡地に大型バスターミナルビルの新設を願いたいですね。新型コロナウイルスの件が落ち着けば、中国人観光客がまた大挙押し寄せることは明白ですからね。旧居留地や南京町、メリケンパークなどの新しい観光拠点になることは間違いないです。
あと、今の市長の再開発構想で唯一、わたしやこべるんさんブログのファンが納得する功績があるのは雲井町のバスターミナルプロジェクトです。わたしでさえこのプロジェクト案が最初に出た時はここまで大規模になるとは思っていなかったです。せいぜい高さ100mほどのバスターミナルビルと想像してましたからね。
もう後は事業のスピードあるのみです。
単に規制するだけではダメだという点に気付きつつあるという点において、神戸市政に救いが見えてきたようにも思いますが、少なくともオフィスビルについては強力な規制緩和を実施してさらに効果を高めるべきだと思います。神戸市は景観に対するこだわりが強いようですが、都心部でオフィスビルが景観を乱すことはまずありません。
また、ビジネス都市に必要不可欠なのは情報の拠点です。産学連携や、海外から優秀な人材を集めることを目的に国際的な文化拠点を導入するなど、単にビルを建てる以上のことも考える必要があります。商業施設についても、単に高級品を売るだけではなく、情報の発信拠点としての役割を持つように働きかけなければなりません。
昨年1年間の神戸市の人口動態やここ数年の産業転換・再配置を見るにつけ神戸の大底は2018年であったのではないかと推測しています。実際に昨年2019年の人口動態に於いて社会増減の数字がかなり改善されました。視覚的にも久しぶりに阪急三宮新駅ビルのような業務用タワービルの建設が有り、低未利用地の建築計画や着工件数が増えてきました。令和2年度予算にも復権に向けての事業が並んでいます。
そして今後の攻勢に向けて心強いのは、神戸の交通インフラを劇的に改善する大阪湾岸道路西伸が既に着工済であり、必然である神戸空港国際化と共に神戸復権のリーディングプロジェクトが背景で動いていることです。勿論都心の新バスターミナルビルも強力な都市型交通インフラであり、リンクして神戸のビジネス基盤の向上に寄与する事でしょう。
令和2年度予算にある事業には期待できるものが多いですがどれも供用開始までに可成りの期間が必要です。その意味では神戸空港の新国際ターミナルビルの2025年供給に向けての議論を早め、次年度以降早急に調査・設計費を計上するような積極性が必要です。国際化への圧倒的民意があり、就航を希望する航空会社がある以上必然の事なのです。
もっと早いうちに取り組んでほしかったですが…兵庫県も人口流出に歯止めをかけるべく本気をだしてきているので県とも連携をとって頑張ってほしいですね!