今年も森ビルのシンクタンクである森記念財団都市戦略研究所が日本の都市力評価を実施し、ランキング形式での調査報告書となる「日本の都市特性評価 2019」を発刊しました。
http://mori-m-foundation.or.jp/wordpress/ius
森記念財団都市戦略研究所
東京特別区を除いた全国72主要都市を「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」という6分野にて分析・スコアを算出し、各分野においてランキングを作成。最終的に総合スコアによって都市力を評価したというものです。
初のランキング調査が行われた昨年は神戸市のランクは総合6位という高評価でした。今年のランキングも同位の6位という結果で落ち着きました。
総合スコアランキング トップ10
()は昨年の順位(同位は無記載)
1位 | 京都市 |
---|---|
2位 | 福岡市 |
3位 | 大阪市 |
4位 | 横浜市(5位) |
5位 | 名古屋市(4位) |
6位 | 神戸市 |
7位 | 仙台市(8位) |
8位 | 札幌市(7位) |
9位 | 金沢市(11位) |
10位 | 松本市(13位) |
神戸市総合評
文化と経済力を誇るバランス型都市
神戸市は、文化・交流や経済・ビジネスで強みを有する上、経済規模の大きい都市では低評価になりがちな環境や生活・居住においても、平均もしくはそれ以上の評価を得ている。ここから神戸市はバランスのとれた都市力を有してることが分かる。なかでも文化・交流はでは「受入環境」及び「交流実績」において昨年を上回る高い評価を得た。また大都市でありながら、環境における自然環境の満足度や都市地域緑地率といった「自然環境」の評価が比較的高いことから、経済・文化的な魅力と、自然環境の魅力を併せもった都市であることをうかがえる。
スコアとしては昨年から順位を上げたのは「経済・ビジネス」と「生活・居住」の2分野。「交通・アクセス」と「環境」は順位を下げました。
分野別の詳細グラフにおいてはビジネス環境が昨年より大きく評価を上げています。昨年はこの分野の評価が低いのは高機能オフィスの不足が要因かと思ったのですが、新築オフィスが増えていないにも関わらずスコアが上がったのは、スタートアップ企業等に対する支援制度や市の進出企業に対する税制優遇策、新スパコンの開発、神戸空港の規制緩和等、将来性も見越したビジネス環境を評価しているのではないかと思われます。
総合得点で考えると5位の名古屋に15点差なので、もう少し頑張ればトップ5入りを果たす事も夢ではありません。名古屋はリニア新幹線開通のインフラ整備やトヨタ自動車という超強力なグローバル企業がバックについており、盤石な大都市ですが、伸びしろやポテンシャルは神戸も負けていません。都心再整備と神戸空港活用が進行すればビジネス・経済と交通・アクセスのスコアは更に上昇し、トップ5入りを実現できる可能性を秘めています。今後の神戸の成長によって来年以降の評価がどう変化していくのかを確認するのは楽しみではあります。ただ足元では人口減という喫緊の課題が表面化し、これが足を引っ張ってスコアを落とすという事も考えられます。そうならないような都市経営戦略を描かなければなりません。