皆さんこのビルの用途は何だと思いますか?
普通は誰がどう見てもオフィスビルだと答えるかと思います。
答えは・・・
賃貸住宅です。
平たく言えば賃貸住宅ですが、厳密には、まあいわゆるSOHO(Small Office/Home Office)です。三宮のど真ん中、中央大通りと生田ロードの交差点に立つこの建物は元々、1989年に建築された地上9階建てのオフィスビルでした。オフィスビルの需要低迷から、以前より空室率の高かった神戸エリア。ビルを所有する日本土地建物が、同社が手掛けるコンバージョンプロジェクト第三弾として、同ビルをデザイナーズマンションと小区画オフィスを混在したSOHOビル「ラティス三宮」へと変貌させたのが5年前です。
外観も以前よりスタイリッシュになり、夜間にはLED照明をあしらってお洒落に輝きます。1-2階にはパティスリーカフェが入居、3-4階がオフィス、5-7階がSOHO、そして8-9階が住宅という構成です。
外見からは住宅であることをまったく感じさせませんね。都心住宅は増えましたが、この物件のように商業エリアのど真ん中に住むというのはほとんど例がなく、不思議な感覚です。
今回はこういった都心の不思議住宅を集めてみました。
続いてこちらはつい最近、話題になった物件です。生田川沿いに立つこの建物も以前はオフィスビルでしたが、賃貸住宅にコンバージョンされました。元々は旧森真珠の本社だった「壱番館センタービル」で1974年に建設されました。同社の破綻により売却され、大阪の不動産会社が賃貸住宅へと改造変更。今年2月に2-9階に39室を抱えるマンションへと変貌しました。新しい建物名は「Poco Á Poco」。現在、満室のようです。
今後も老朽化したオフィスビルを中心にこうしたコンバージョン物件は増えていくかもしれません。
お次はこちらの物件です。普段からよく目にされている方も多いかと思います。ファサードにガラスカーテンウォールを採用しているスタイリッシュなこの建物もオフィスビルや商業ビルではありません。元町は鯉川筋に聳える地上9階建てのこの物件は「HK元町レジデンス」。数年前までは老朽化したタワーパーキングでした。その後、駐車場は解体されて、同ビルが建設されましたが、建築計画のお知らせに店舗、賃貸住宅と書かれていたことに正直驚きました。
完成してみると、お洒落な外観で住宅には全く見えないデザイナーズマンションでした。1-2階には店舗が入居。やはり立地柄、店舗としての需要が強く上層階の多くにはリラクゼーション、ヘア、ネイルサロン等、美容関連のビジネスが集中して入居しているようです。もちろんれっきとした賃貸住宅ですので、住まわれている方もいるかと思います。
お次はこちら。海岸通沿いに聳える荘厳なこの建物も実は賃貸住宅なんです。正確にはオフィスと住宅の複合ビルです。
2008年に竣工したこの建物は130年に渡って港湾事業を営む後藤回漕店の本社ビルで、5階までをオフィス、6-12階がレジデンスという構成です。低層部は重厚でクラシカルなデザイン、高層部はセットバックして軽い感じになっていますが、南東の角はアールに統一しています。レジデンス階の角部屋ではこの部分にリビングが配置されているようです。
夜間にはライトアップも施されており、周囲でも頭ひとつ飛び抜けていてとても目立つ存在です。ポートタワーを正面に控えるウォーターフロントの眺望が売りなのか、周囲には近年、続々と賃貸マンションが増殖しています。
極めつけはこちら。唯一の超高層物件。神戸芸術センターです。まあこの建物に関しては語るまでもないでしょう。
コンバージョンによる建物の用途変更はスクラップアンドビルドが基本だった日本の建築史に新たなオプションを与えるきっかけになるかもしれません。また都心エリア(とりわけ商業地区)では住宅物件の外観が周囲とマッチングし、住宅であることを感じさせない工夫が重要視されているようです。
以上、都心の住宅には見えない賃貸住宅特集でした。
オフィスビルでしょ?いいえ違います
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こんばんは。
海岸通の、あのビルは住宅でもあったんですね。知りませんでした。外観から判断して海運会社が構える本社ビルとしか思っていませんでした。
三宮周辺のオフィスビルでも空室率が高いですから、住宅の併設を前提とした新しいオフィスビル(できれば高層)はこれからも増えてほしいですね。
P.S. 東灘図書館に併設される超高層マンションの計画が神戸新聞に載りましたね。最近、神戸における超高層プロジェクトとしては旭通再開発だけとなっていましたが、新たな計画が浮上して嬉しいです。このマンションはいつ着工になるんでしょうね。
enzeru001さん
後藤回漕店本社ビルは重厚な佇まいですよね。住宅部分は結構、空室があるようです。住宅併設のビルと言えば、磯上通に18階建ての再開発ビル建設予定がありましたが、既存建物解体後にエルグレース神戸三宮 タワーステージのモデルルームになってしまい、着工の気配がありませんね。
東灘区役所跡地ですね。24年の竣工とあれば逆算して今夏もしくは今秋辺りの着工と考えておけばいいかと思います。32階、113m。民間デベロッパーがどこか気になりますね。詳細情報の公式発表が楽しみですね。
この勢いが波及して都心の凍結プロジェクトの復活を願います。神鋼不動産はジークレフ新神戸が好調で増収増益らしいですから、海岸通のプロジェクト・・・復活させて欲しいです。