神戸三宮阪急ビル

神戸阪急ビル東館建替えは来年2月から準備開始?

hankyu18.jpg

エイチ・ツー・オーホールディングスが建替えを検討している神戸阪急ビル東館ですが、建替工事に伴い、既存ビル内の鉄道関連設備の移設を来年2月から開始し、乗換スペースも広げる意向であると日経新聞が報じました。また商業フロアに入居中の中核テナントも移転先確保に動き始めているという情報もあります。

去る7月18日、23日にそれぞれJR西日本、阪急と未来都市創造に関する特別委員会との間で意見交換会が実施され、神戸市議会にてその聞き取り結果が7日に報告されました。

阪急は市が導入を検討しているLRT(低床型路面電車)についての研究を進めていることが明らかになりました。これは市がLRTを導入する場合の運営権獲得や提携を模索しているという事とも深読みできます。当然、LRTは三宮を中心として都心に路線網が張り巡らされるものと思われますが、三宮のどのエリアが停留所になるのかその配置にも検討が必要です。

新駅ビルの概要に関しては従来通りの情報から新規の更新はなかったようです。低層部に商業施設、高層部にオフィスとホテルという組み合わせはこれまでと変わりがありません。

かつて15年前の1999年6月に阪急が発表した三宮阪急ビル(仮称)も今回の計画と同様に暫定ビルである神戸阪急ビル東館をそのまま建て替えるという計画でした。

hankyu_build.jpg

当時の計画概要は以下の通りです。

敷地面積: 約7,000平方メートル
延床面積: 約29,000平方メートル㎡
構造: 鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)
規模: 地下1階 地上22階 塔屋2階
用途: 駅施設の一部(1階コンコース)、物販店舗、飲食店舗、映画館、オフィス
外装コンセプト: 三宮の新しいシンボルとなるようなデザイン (かつての神戸阪急ビルの外観を現代風にアレンジ)
工期: 着工2001年 竣工2004年

当時の計画には映画館の存続があり、ホテルの整備はありませんでした。旧神戸阪急ビルをモチーフとしたデザインは新計画にも受け継がれています。商業施設・映画館とオフィスの22階建ビルという事だったので、現在のミント神戸とほぼ同じ用途構成でした。従ってミント同様に映画館である中層階には窓がありません。高さ的には国際会館と同程度だったものと思われます(国際会館の最高高さは約116m)。

敷地面積が7,000平方メートルとされていますが、これは神戸阪急ビル東館の敷地のみならず、神戸三宮駅全体の敷地面積を示しているものと推定できます。

朝日新聞が昨年報じた新計画の概要では地上25階以上。15階までが商業施設とオフィス、16階から上層階がホテルという構成でした。東京・銀座三井ビルディングはちょうど1-15階までが店舗とオフィス、16-25階がホテルというフロア構成を備えた複合ビルで、高さは121m。延床面積は新阪急ビルの倍近くあると思われますが、25階建のビルであれば同程度になるものと思われます。

hankyu19.jpg

乗換スペースを拡大する方針ということですが、既存ビル内の東口改札外構内は狭くごちゃごちゃしています。高架との間に挟まれる形で天井高も低く柱も多い。ここをより開放的な空間とし、動線が整理されれば回遊性の向上に繋がります。しかしこれは阪急の力だけでは及ばず、接続するJRの西口、市営地下鉄との連携をベースとした一体的な整備が必要となります。この為には三者が協議を行って、グランドデザインを決定する必要があります。

hankyu20.jpg

一方、阪急が模索している神戸市営地下鉄への乗り入れについては現状、進展はなく、グループ内の阪神電鉄との一体整備についても検討していないとのこと。現状の神戸三宮駅が将来的に廃止されるのであれば、それを踏まえた新ビルの設計が必要となる他、駅舎や構内改築への投資も抑制・限定的に留まる恐れがあります。

しかしながら、来年2月から施設移転が始まる事で、来年度中の既存ビル解体及び新ビルの着工が一気に現実味を帯びてきました。新ビルのデザインは以前の計画を踏襲するのか、それとも更に優れた意匠となるのか。ホテル階の外壁仕上げも気になります。神戸市の消防条例がどう影響を与えるのか。モダンクラシック系の建物になるものとみてほぼ間違いないかと思います。昼も夜も美しい三宮の新たなランドマークの登場が待ち遠しい限りです。



関連記事
神戸三宮阪急ビル

4月26日(月)に開業の神戸三宮阪急ビル 阪神阪急ホールディングスから公式発表! 低層部商業施設名称は「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」

2021年1月29日
こべるん ~変化していく神戸~
遂に阪急阪神ホールディングスより「神戸三宮阪急ビル」について公式プレスリリースが発表されました!開業日は事前の報道により4月26日( …

POSTED COMMENT

  1. sirokuma より:

    こべるんさん こんにちは。

    神戸市のHPを見ると少しがっかりな文言が目に入ります。一喜一憂せずに期待して待ちたいとは思うものの、一度建て替えられたら、少なくとも数十年はそれが三宮の姿の一部となる訳ですから、神戸市民としては大いに注文を付けたいですよね。

    http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H26/miraitoshi.html

    返球電鉄のコメント
    ○ 市当局と相談しながら進めているが、駅ビルの大きさはまだ決定していない。高層ビルを建設する計画であるが、現在の駅ビルが建っている約1,000 ㎡の部分に建設するため、皆さんが思うほど大きなものにはならない。具体的な数字は決定していない。

    JRのコメントもありますよ。

  2. 夢想家 より:

    阪急曰く「皆さんが思うほど大きなもの」とは一体どのくらいの高さの事を言っているのでしょうね?160m、120m、100m?
    駅のエントランス及び商業施設で3階、オフィスで5階、ホテルで5階として合わせて最低13階はあると思いますので60m~70mで、三宮ビル南・北館ぐらいですね。
    それにどれだけ上乗せできるかですが、最終的にはミント神戸の90mぐらいで落ち着くような気もします。
    もちろん少しでも高いほうが嬉しいですが、今や200m以上ないと話題にもならないと思いますのでここは高さよりデザイン重視でお願いしたいです。
    メリケンパークのオリエンタルホテルも低層ですが、あのデザインゆえ神戸のベイエリアの顔になりました。
    阪急もJRも絵葉書に採用されるような趣の有る駅ビルを期待したいですね。

  3. しん@こべるん より:

    sirokumaさん、夢想家さん
    私も「皆さんが思うほど大きなもの」の定義が測りかねます。大きなものなのか、高いものなのかもいまいち明らかではありません。

    朝日新聞が報じた阪急の25階以上、JRの160m。この二つの情報はきっぱり両社とも否定しており、情報源に疑問符が付きます。

    しかし100m以上の高層ビルは角社長も神戸新聞の取材にて明言しています。1000平米しか敷地面積がないので、オフィスやホテルは階層で稼ぐしかフロアを増やません。

    商業フロア5層、オフィスフロア7層、ホテルロビー1層、客室階10層の23階建辺りが無難ではないかと(ちょっぴり期待を込めて)。

    かつての計画の内訳が知りたかったですね。高層階の窓がある部分がオフィスだと思いますが、5-7層位でしょうか。

    デザインに凝って欲しいところですが、最上層部になると思われるホテル階の外周に避難経路を設けることを避けることはできないのでしょうか。条例緩和をこの建物から開始することはできないのでしょうか。デザイン都市が聞いて呆れます。

  4. kingi より:

    それにしても、まだこんな会議を今年度いっぱいまで続け、
    具体的に決定するのは来年度以降なんですね。。
    市長は三宮再開発を謳って当選したのに、この会議の開催が当選後1年近く
    かかっているわけで。。
    神戸市の危機感の無さに呆れてしまいます。

  5. 台風一過 より:

    将来的に阪急の線路&駅を撤去する前提で、南側へ建て増しても違和感の無いデザイン・構造にしよう、とか考えていないでしょうか?
    あの辺りの土地、どこまでが阪急自前でしたっけ?

  6. masa より:

    私も同感です。
    神戸市の危機感のなさにはあきれています。
    官僚出身市長の限界かと嘆いています。
    阪急も市の真意を測りかねて進めるのを遅らせているのか。
    乗り入れの可否で計画は全く違ってくるはず。
    乗り入れについては早急に神戸市は実施と結論を出し、進めない限り三宮再開発は進まない。
    阪急新ビルの確定もその後ではないでしょうか。

  7. kenken より:

    阪急三宮駅北側の広場は、神戸市側と協力して駅ビル用地として活用できないのでしょうか?以前の完成予想図はここも利用しているような感じなのですが。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です