関西三空港の運営権を手中に収めたオリックス・バンシ連合の出資会社・関西エアポートは老朽化する大阪伊丹空港のターミナルビルの大規模改修に2016年より着手。民営化を機に1969年の開業以来初となる全面改修によって大きく生まれ変わろうとしています。2020年のリニューアル完了を前にまず工事の先行したターミナルビル中央エリアが今年4月に先行オープン・供用開始となりました。
中央エリアは建物を一部増築し、モノレール駅との接続デッキも更新。
既存建物も美装化されて新しい店舗も誘致されました。
リムジンバスの乗降場もリニューアルされ、これまで南北のターミナルそれぞれにあった乗車場は中央エリア前に集約されました。降車はそれぞれのターミナル前で行われます。
新しいターミナル中央エリアの2階エントランスです。モノレール駅とデッキで直結しています。
内部に入ると、床にはカーペットが敷かれたシックな空間が広がり、全く別の空港に来たかと思う位、激変しました。
和のテイストが盛り込まれたモダンで煌びやかな雰囲気が漂います。柱の装飾にもかなり手が込んでいます。
バゲージクレームを出た所の中央広場です。天井には木材が多く使用され、エスカレーター前に設置されたメタリックで最新テクノロジーを駆使したモニュメントには目を引きます。
搭乗者のみでなく、一般者も訪れる集客力のある空港を目指しただけあり、商業エリアには飲食店を中心に力の入ったテナント誘致が行われました。進出34店舗中30店が新規出店です。
みやげ物店も「関西旅日記」と名付けられた新業態の店舗を開店。関西一円のスイーツやお菓子、おつまみ等が購入できます。
リニューアルに伴い、バゲージクレームも2階中央エリアに集約されました。搭乗エリアからはムービングウォーク(動く歩道)で中央エリアへ連絡します。最終的には全23基が導入される予定です。
混み合うセキュリティゲートには最新保安検査設備となるスマートレーンが導入されました。関西エアポートはこの設備を神戸空港にも導入する事を示唆しています。
搭乗待合も順次、改修と美装化が進められています。
南北のチェックインカウンターはまだ以前のままです。大型発着案内の表示も未だに昔懐かしいバラバラと札が回転して切り替わる旧式システムが使われており、一部の外国人観光客には寧ろそのレトロ感がウケています。そこまで古くはないものの、最新っぽさはないこのエリアにもリニューアルの手は入るのでしょうか。稼働しながらの工事となると、かなりの混乱・混雑を招きます。
中央エリアを一歩出ると、以前のままなのでギャップの激しさに戸惑います。
到着エリアのリニューアルが先に完了したので、まだ殆ど変わりのない搭乗エリアを通って、どこかに出掛けて帰ってくると、いきなり最新の空港になっているので、リニューアルの内容を把握していないと、ビックリします。
大阪伊丹空港は廃港という方針が定められ、その先鞭を付けるために長距離路線のジェット機就航と離着陸数に制限が掛けられました。しかし関西空港の経営を上向かせる為に伊丹空港とセットでの経営統合・民営化が図られ、関西三空港活用論がインバウンド需要の高まりと共に共感を得始め、寧ろ伊丹を最大限活用する方向に舵が切られて規制は徐々に緩和され、環境は激変しました。
残りのターミナルビルの改修を経て、223億円を掛けた全面リニューアルは2020年に完了を迎えます。今年度より関西エアポートに経営権を委ねられた神戸空港は発着枠制限が緩和されなければ、更なる成長を実現するのは難しいですが、すでに当面目標であった年間搭乗者数は300万人突破を昨年に達成しています。伊丹空港ターミナルのリニューアルや活性化のノウハウはこれから神戸空港ターミナルビルの運営にも応用されていく事でしょう。また近々、今度は関西エアポートに統合された神戸空港についても取り上げたいと思います。
大阪伊丹国際空港ターミナル改修プロジェクト
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関西国際空港が台風の被害を受け、経済的影響が非常に懸念されていますが、神戸空港や伊丹空港に国際線を発着させようという非常に迅速な対応が見られることは大きな希望です。もちろん、実際にやってみるとなると課題は少なくないと思いますが、重要なのは迅速に対応しようとする姿勢そのものだと思います。
伊丹空港は住宅地に囲まれているため、騒音対策や感染症対策などの面から、恒常的に多くの国際線を引き入れることは難しいと思われます。やはり神戸空港が存在感を発揮すべきではないでしょうか。関空と比べて大都会が近いという特長もあります。観光客にとっては、もともと神戸に関心がない人でも、空港のために神戸を経由することが興味をもつきっかけにもなるかもしれません。
将来のことも見据えて、ぜひとも神戸空港と伊丹空港に国際線を発着させてほしいと思います。行政だけでなく、民間レベルでもこの機運を高めることが重要かと思います。
関空の状況はインバウンドに影響を与えかねず、関西経済にも打撃ですが、これをきっかけに関空一辺倒のリスクが顕在化しました。関西三空港の役割見直しに繋がればと思います。