エイチ・ツー・オー リテイリングが発表した2026年3月期決算短信によって明らかになった阪急阪神百貨店各店舗の売上高。神戸阪急の前年売上は430.61億円と昨年度比0.2%の微増に留まりました。80億円を投じたリモデルを実施・完了した一昨年度から売上高は上昇してきましたが、ここに来て伸びは鈍化してしまいました。成長抑制の主な要因は、訪日客需要の低下やライバルである大丸神戸店との競争激化が挙げられています。

中国との関係悪化から中国人観光客の数が激減し、阪急梅田本店や博多阪急等の主要店も前年比マイナスを記録。唯一、阪神梅田本店のみは二桁成長という結果となりました。マイナス成長ではないので、神戸阪急は健闘しているとも言えるのですが、大丸神戸店が1,000億円の売上を突破し、非常に好調である事を考慮すると、まだ売上を伸ばせるチャンスはあるものと思われます。

無論、神戸阪急も手をこまねいている訳ではなく、最近も店内にアニエスベーカフェがオープンする等、グレードアップを図る動きは継続されています。
しかしながら少し気になるのは、決算資料の中で触れられている資産グループの減損損失計上の中に神戸阪急が含まれている事です。資料には建物49.54億円、機械装置及び運搬具1900万円、土地28.34億円、その他5.67億円が計上されています。

80億円を投じたリモデル効果が見込めていない事が主な要因かと考えられますが、三宮駅前という超一等地にあってそのポテンシャルを活かし切れていないもどかさしさが感じられます。阪急の持つブランド力、出店テナントのバラエティ等、魅力の高いターミナル型百貨店を構成する要素は詰め込まれてるにも関わらず思った程の効果が生まれないのは、やはり梅田本店が目指してきた劇場型百貨店や大丸神戸店のが旧居留地で繰り広げる非日常の演出が神戸阪急には未だ不足しているのではないかと思われます。

また本館の垂直動線となるエスカレーターの位置も入口近くにある為、店内の回遊が起きづらい構造的な問題もあります。複数の渡り廊下はあるものの、本館と新館間の距離も長く連携感が乏しいのも難点です。「鶏が先か卵が先か」論に行き着いてしまいますが、やはり大丸の牙城を崩すには建て替えにしか解は無いのではないでしょうか。再開発で複合ビル化する事により、例え一時期の百貨店の売上不振もビルのテナント料でバランスを取る事も可能です。駅前はJR駅ビルやバスタの商業施設の集積が進む為、競争の激化は必至です。今のままだと、これらの新築ビルに客足を奪われてしまい、現在以上の売上を見込む事ができなくなる可能性も否定できません。

考えたくはありませんが、最悪のケースは2度目の神戸撤退です。今後、神戸空港の国際定期便就航を控え、飛躍的に訪日客の増加が見込めますし、再開発効果による三宮への来街者数は増大します。この順風を最大限に活用し、再び地域1番店の座を奪還する為には、ターミナル百貨店としての機能を本格的に発揮できるハード面の整備が必要なのではないでしょうか。
神戸阪急の昨年度売上高が判明 前年度比から微増に留まる 減損損失も計上
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