特集・シリーズ

神戸市が平成31年度予算案を発表 その1

2月8日、久元市長が会見を開き、平成31年度の神戸市予算案を発表しました。継続して三宮やウォーターフロント再整備に関する項目が並んだ他、郊外の拠点駅や新神戸駅周辺の再整備も盛り込まれた点が前年までと異なる点です。それではその中味の主だった内容を具体的に見ていきますが、深堀が必要な項目も多いので、複数記事に分けた形で特集を組みたいと思います。まずは一番気になる都心とウォーターフロントの再整備関連から取り上げます。

三宮駅周辺エリアへの投資 7.05億円

バスターミナルビル関連

新バスターミナル整備に向けた事業化の推進 2.15億円

・雲井通5丁目再開発会社に対する補助、バスターミナルの設計の深度化
・新たなバスターミナルⅠ期事業計画を踏まえたⅡ期事業の検討

新神戸文化ホールの整備 33百万円

新バスターミナル内の新神戸文化ホールの詳細検討を実施等

新三宮図書館 2千万円

新バスターミナル整備に向けたデッキ整備検討 3千万円
新バスターミナル整備の事業化を見据えたデッキ整備の検討

引き続きバスターミナルI期ビルの建設に向けて新文化ホール、新三宮図書館、バスターミナルの具体化を進めます。またII期ビルの事業の検討も開始します。また既存の駅周辺のデッキとバスターミナルビルを結ぶ新たなデッキの整備検討も行う事が盛り込まれました。これらは既定路線ですが、バスターミナルI期ビルの構成や内容の早期具体化を目指して欲しいと思います。後程、触れますが、バスターミナルビルの開発スケジュールには遅延が生じるようです。

JR三ノ宮、阪急・阪神神戸三宮駅前広場関連

JR三ノ宮南側駅前広場の整備設計 3千万円

ポートアイランドへのアクセス向上 1.1億円

ポートライナー三宮駅のホーム拡張に向けた実施設計、アクセス向上に向けたあり方の検討

三宮駅周辺歩道橋のエスカレーター整備に向けた設計 8百万円

三宮中央歩道橋、三宮東歩道橋へのエスカレーター整備に向けた設計

さんきたアモーレ広場・サンキタ通りの再整備 12百万円

阪急ビル東館建替に合わせたさんきたアモーレ広場及びサンキタ通りの再整備に向けた設計

ある意味、個人的に今回の予算案発表で最も興味を持った項目です。特筆すべきはJR三ノ宮駅前広場の整備設計とポートライナー三宮駅のホーム拡張に向けた実施設計が盛り込まれた点です。これらの整備はJR西日本の新駅ビル建設や三宮クロススクエアの整備に深く関わりを持つ事業であり、これらの設計を進める事は駅ビルやクロススクエアの事業推進を意味する事に他なりません。従ってこれらによって既に新駅ビルの概要が固まっていると言えるのではないでしょうか。サンキタアモーレ広場については整備案のコンペ中かと思いますが、これに合わせてサンキタ通りの再整備も推進されるようです。阪急神戸三宮駅のリニューアルとも平行し、駅北側の雰囲気を一新して洗練性を高めたいところです。


三宮クロススクエア関連

三宮クロススクエア(フェーズI)の空間創出検討 1.01億円

三宮クロススクエア(フェーズI)の実現に向けた社会実験の実施

ようやく三宮クロススクエアに関する具体的な行動開始について予算が盛り込まれました。社会実験実施に関する予算にしては額が大きいですが、フラワーロードと中央幹線の封鎖とそれに伴う警備員の配置等に相応の費用が生じるという事かと思います。


元町駅周辺エリアへの投資 1.51億円

鯉川筋の空間再整備 1.51億円

・歩行者空間確保に向けた歩道の拡幅
・南京町エリアの観光バス路上駐車解消に向け、乗降場を整備

これらは突然出てきた感が否めない内容ですが、鯉川筋の歩道拡幅に関する社会実験はもう何年も前に実施済です。しかしその後、何も動きがありませんでしたが、突如として来年度に実施を予定しているようです。歩道の拡幅はJR元町駅から南京町までを想定しているのでしょうか。


市役所周辺エリアへの投資 7.05億円

新中央区総合庁舎の整備 6.84億円

・文化施設機能を含めた新中央区庁舎の実施設計、本庁舎3号館の解体
・磯上公園内における体育施設の整備に向けた基本設計・実施設計

本庁舎2号館の再整備 96百万円

再整備事業者の選定に向けた詳細検討を実施(募集要項作成等)

東遊園地の再整備・活性化 14百万円

東遊園地の再整備に向けた、にぎわい拠点施設の事業者公募、基本設計等

新中央区総合庁舎に関する工事を来年度からようやく開始。加えて庁舎に収まりきらなかった体育施設を磯上公園に整備する為、設計を進めます。しかし庁舎建設の遅れがバスターミナルビル着工に影響を及ぼすようです。本庁舎2号館の再整備については民間事業協力者を募る形で施設の建設を検討。東遊園地については再整備方針が定まっていませんが、にぎわい拠点として検討されているカフェ等の事業者公募を行う事で具体化が進みそうです。


ウォーターフロント地区の魅力向上 20億円

ウォーターフロント地区の再開発 19.3億円

新港第2突堤及び周辺での再開発の事業化の取組み、ポートタワー・中突堤中央ビル・海洋博物館のリニューアル等

税関前歩道橋リニューアル 6千万円

三宮周辺と新港突堤西地区・みなとのもり公園をつなぐ「渡りたくなる歩道橋」の設計

ウォーターフロント地区の再開発にも大きな予算額が割かれました。ポートタワー周辺のリニューアルについてどこまでの予算配分が割り当てられているのか分かりませんが、海洋博物館については来年度のリニューアル完成を予定しており、4億円の事業費が見込まれています。それ以外の大部分は新港突堤の再開発推進に向けて用地の取得費用に充てられているのではないかと思われます。


その他

BRTLRT導入可能性の検討  14百万円

地下鉄駅舎の美装化(三宮) 2.97億円(名谷・西神中央も含む)

新神戸駅前広場の再整備(2023年度供用開始予定)79百万円

北神急行線と市営地下鉄の一体的運行の検討

三宮駅周辺のその他再整備検討 28百万円
サンセンタープラザの再整備検討

サンセンタープラザの再整備検討についてはすでに報道されましたが、三宮駅をはじめとする地下鉄駅の美装化、新神戸駅前広場の再整備は新規事業です。双方ともどの程度の規模のリニューアルを検討しているのか。地下鉄新神戸駅のアクセス路の改修は数年前に実施されましたが、中途半端さが否めない内容だったので、今回のリニューアルは費用対効果のある内容として欲しいです。新神戸駅ではJR駅と新神戸オリエンタルシティとの動線改善も必要です。

今回の予算案の補完資料に各プロジェクトの具体的なスケジュールについて表がまとめられていました。検討期間、工事期間、完成時期が示されている事は評価に値します。



バスターミナルI期ビルは2025年の完成を目指していましたが、2026年の完成にスケジュールが後ろに倒れています。三宮クロススクエアのフェーズI(中央幹線の三ノ宮駅前付近の歩道拡幅・駅前広場の再編)の工事を再来年度から実施、2025年に完成予定です。これはJR駅ビルの建設と平行させているのではないかと思われます。サンキタ通りの再整備は神戸阪急ビルの建設と合わせているようです。最も早い鯉川筋の歩道拡幅は来年に完成します。



市役所周辺の整備についてはまず東遊園地の北側エリアの再整備を3~4年後に完成させ、南側は更に3年後の2026年以降に完成します。税関前歩道橋についても2022~24年に完成予定です。これらには少し時間が掛かり過ぎている感があります。もっと着手時期を早める事はできないのでしょうか。市庁舎の再整備は新中央区総合庁舎の完成時期が2022年に後退しています。2号館についても2025年以降の完成から2026年以降に繰り下げられています。

来年度の都心整備に関する予算案はこれまで以上に事業項目の具体化に一歩踏み込んだ内容になっています。しかしながら相変わらず「検討」予算が多く、その検討の結果とその後の具体的なアクションについて報告や検証がおざなりにされている感があります。

今年度の予算案では以下が示されていました。

◆東遊園地の再整備基本設計、にぎわい創出事業

◆ポートライナー三宮駅ホーム拡張の予備設計、8両化導入可能性検討

◆三宮プラッツのリニューアル工事

◆メリケン波止場前交差点における歩道橋の概略設計

◆JR三ノ宮駅南側駅前広場の再整備計画策定

◆市営地下鉄西神・山手線と阪急電鉄神戸線の相互直通運転の検討

これらの中では引き続き来年度に持越しになるものもあれば、現時点において全く動きのないもの、検討結果について表向きにはその結果が示されていないものがあります。これらの現況をしっかりと報告すると共に来年度の予算で盛り込まれたにも関わらず、どうなっているのか分からないものが生じる事は避けなければなりません。市税を使っている以上、市にはしっかりと市民に対して明らかにする義務があります。
関連記事
特集・シリーズ

神戸市営地下鉄と阪急との相互直通運転を逃した神戸市政の失態と先見性を持ったリーダーの必要性について

2021年7月15日
こべるん ~変化していく神戸~
昨春、神戸市と阪急電鉄が検討してきた阪急神戸線と神戸市営地下鉄西神・山手線の相互直通運転について、「投資に見合う効果を見込めない」と …

POSTED COMMENT

  1. おか より:

    バスターミナルもですが時間かけすぎ。
    ほんとスピード感ゼロ

  2. 匿名 より:

    さんきたアモーレ広場って名称がひどすぎませんか?
    「パイ山」が卑猥でけしからんのなら「でこぼこ広場」を正式名称にすればよかったのに

  3. うぃちた より:

    ようやく三宮周辺の再開発が予算として動き出した感じはしますが、予算規模が小さいですねぇ
    10億円は出してほしかったけど、まぁ仕方がないですね
    三宮クロススクエア構想は割と期待していたりしますので、1期事業でどうなるか…
    この事業の進展で三宮そごうやセンター街の建て替えなどが具体的に動き出すような気がします。

  4. ロッキー2 より:

    スケジュールの遅れが酷いです。今のパブコメ連発の状況ではもっと各プロジェクトの進行は遅れても不思議ではありません。
    これは市役所内で久元市長の人気が落ちている証拠だと思われます。市長の任期切れ狙いで、たぶん市長の功績にしたくない意向の表れと思われ、市役所、バスターミナルビルなど主要プロジェクトの着工は大幅に遅れる可能性もありますね。下手したらかなり小規模に変更されるかもしれません。

  5. S.Y. Kobe より:

    今の神戸にとって計画事業の遅延は非常にダメージが大きいため、是非ともスケジュール通り進めて頂きたい。

    神戸都心の再構築を来訪者にアピールするためにも2025年万博開催に間に合う形でJR三ノ宮駅及び関連施設の完成、バスターミナルビル1期ビル部分完成(低層部供用開始)、市役所第2庁舎上棟ぐらいは何としてでも実現してほしいものです。

  6. おか より:

    よその都市に比べてスピード感なさすぎなんですよね。
    市長に危機感なさすぎですわ。
    ただ選挙の顔ぶれみてたら、他は共産とかばっかだから消極的支持するしかなかったんですけどね。
    共産になったらそもそも再開発自体反対とかですもん。
    ここは兵庫県がもっと強めに口を出してほしいですわ、井戸知事に。

  7. 某京都府民 より:

    正直に申し上げて、予算規模ってこんなものなのか?という印象です。これら全部合わせても、超高層ビル1棟建てるのも無理なのでは…。

  8. kingi より:

    これが市長が何とかの一つ覚えみたいに言ってる
    「スピード感を持って遂行していく」の結果なんですかね

    この期に及んで未だに調査だの検討だの社会実験だのと言ってるって事はさらに工期が遅れるんでしょうね

    結局、この3年間でご立派な計画だけは散々聞かされてますが
    何一つとして具体的に決定していないという。。

  9. hk より:

    予算が小規模で自分が単位を読み間違えてるのかと思い二度見してしまいました…

kingi へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です