ホテル・旅館宿泊記

大阪府河内長野市・あまみ温泉 南天苑宿泊記 大正浪漫を感じさせる都市近郊老舗湯宿



「河内長野に温泉旅行!?」それが家族からの第一声でした。南大阪・河内長野市の話です。河内長野と言えば、難波から南海電鉄で約30分程ののどかな郊外ベッドタウンというイメージしかありませんでした。今回ご紹介する「あまみ温泉 南天苑」はそんなイメージを覆す老舗旅館。高野山と大阪を結ぶ旧高野街道沿いの山間にある湯宿で、南海天見駅から徒歩数分の駅前立地です。



南天苑本館の建物は名建築家辰野金吾氏設計で国の有形登録文化財にも指定されている歴史のある建築。堺市大浜公園に娯楽保養施設として建設された「潮湯」。この別館で、家族向けの入浴・遊戯・休憩施設だった「家族湯」が台風で被災した事をきっかけに1935年、南海電鉄がを古来より鉱泉の湧く天見へ移築したのが現在の本館です。



大正浪漫をたっぷりと感じさせる日本建築。その周囲を敷地3,000坪の日本庭園が囲んでいます。



客室数は14室と小規模ですが、天然ラジウム温泉と趣のある館内が外国人観光客にも非常に人気のようです。難波からのアクセスも良く、気軽に温泉旅館へと出掛ける事が可能です。日帰り温泉・食事のプランも設定されています。



提供される料理も純和風の日本料理。古き良き温泉旅館を楽しみ、この令和の世でひと昔の雰囲気やノスタルジーを堪能させる宿泊体験が可能です。

外国人観光客にもこうした伝統的で古き良き旅館スタイルが人気を得ているのではないかと思います。ロビーの横には爪楊枝に付けた来訪者の出身国の旗を差した世界地図が貼ってあり、無数の旗が差し込まれていました。



趣のある玄関周り。入口から歴史を感じさせる空間です。



ロビー内の様子です。赤絨毯が昭和の香りを運びます。古さは否めませんが、清潔感はあります。



ロビー横のラウンジ兼休憩室。骨董品のようなピアノが置かれていましたが、調律はされていませんでした。



今回、宿泊したのは1室限定となる離れの別棟「清流亭」です。本館から庭園内の小道を抜けていくと辿り着きます。



平家建ての清流亭。本館程の歴史はありませんが、十分に趣のある日本家屋です。この1棟丸々を1グループで貸し切ります。



広々とした玄関土間。どこか懐かしい田舎のおばあちゃんの家を連想させる雰囲気です。



土間は廊下にも繋がっています。



庭に面した趣のある縁側的な廊下。開口は大きなガラスの建具に交換されています。引き戸の鍵は昔懐かしいクルクルと回して引き抜くタイプ。



建物の反対側は畳敷の廊下と縁側が付いており、清流に面しています。



部屋は主室8帖+副室8帖囲炉裏・広縁が備わります。



囲炉裏の備わる部屋。今回は特にこの囲炉裏でどうこうする事はなかったのですが、冬季等は囲炉裏を囲んで鍋料理がふるまわれたりするのでしょうか。



奥にあるウエットエリアです。広々としています。アメニティ類も充実。本館にある大浴場の利用するには部屋にあるタオルを使用します。



トイレは2つありました。



モダンな形状の内風呂のバスタブは爽やかな色味のタイル壁に囲まれています。基本的な殆ど使用する事はないかと思います。



土間横にある扉。清流亭のハイライトとなる部屋です。



中に入ると更にもう一つの扉が現れます。



その扉を開けると眼前に広がるのが、大露天風呂!東屋の下に広々とした総檜の浴槽。



5人以上で入っても十分な広さのある檜風呂。天然ラジウム温泉源泉掛け流しの贅沢な湯です。湯温もちょうどよく、昼間も、陽の落ちたも、ゆったりとした癒しの時間を過ごす事ができます。



露天風呂にもしっかりと洗い場とシャワーを完備している事も嬉しい限りです。



すぐ側を清流が流れており、せせらぎに耳を傾けながらの入浴は非常に贅沢です。



冷蔵庫の中のドリングは無料提供されています。ミネラルウォーターは神戸・布引の水でした。



清流亭での食事は夕食、朝食共に部屋食です。山の中にある為、仲居さん達が食事を運んで入ってくる度にどうしても虫が室内に飛び込んできてしまうのは愛嬌と捉えるしかありません。



前菜と食前酒から始まる和の懐石コース。旬の食材をふんだんに使った料理は味付けも上品で洗練されていました。



四季に分けて季節ごとに旬の幸が次々と運ばれてきます。



夏の大阪湾はやはり鱧。梅肉ソース乗せの湯引きは絶品でした。生の本鮪や鯛のお造りも非常に新鮮でした。



奇をてらわず、一品、一品はオーソドックスですが、味付けが良く、食材の旨さを存分に引き出した日本料理の醍醐味を味わえます。



鮎の塩焼きも頭から丸かじり。これは囲炉裏で自分で焼いてみたかったですね。鮎も夏の食材の定番です。



メインの食事は、4択からチョイスができました。和牛の炭焼き、鰻の柳川、河内鴨のロースト、鰤しゃぶです。私は鴨を選択。脂の甘味を感じる鴨が美味でした。



お腹も膨れた頃に揚げ物。旅館の食事コースって何故に天ぷらが後のタイミングで出てくるのでしょうか。結構しんどい。。。でもカラっと軽く揚がった天ぷらだったので結局、ペロリと平らげました。



デザートは口の中がさっぱりとするあんみつとメロン。ご馳走様でした!



朝食も身体に、お腹に優しいヘルシーなメニュー。ゴージャスさはありませんが、味つけはいずれも美味でした。



老舗旅館にもかかわらず、敷地内にはプールも完備。翌日はチェックアウト後にプールで存分に楽しみました。プールで遊んだ後も大浴場の利用が可能で、タオルも提供して貰えます。



まさか河内長野にこんな老舗温泉旅館があるとは思いませんでした。離れの清流亭を除いては、今人気の旅館のように露天風呂付客室や大浴場には露天風呂でさえも無いので、温泉をメインとすると物足りなさを感じるかもしれません。しかしノスタルジーにひたれ、美食を楽しめる都市近郊でアクセスの良い湯宿としての魅力がありました。でもやはり清流亭の宿泊がダントツにお勧めです。


施設基本データ
所在地 大阪府河内長野市天見158

http://www.e-oyu.com/

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