横浜

地域探訪: 横浜港大さん橋国際客船ターミナル



歴史の深い大さん橋は横浜港における海の玄関として機能し、多くの客船を受け入れてきました。2002年11月には現在の横浜港大さん橋国際客船ターミナルが完成。日本有数の国際クルーズ拠点として賑わっています。



地下1階 地上2階建の鉄筋コンクリート造という構造で延床面積は34,732平方メートル。



ターミナルビルへは緩やかなスロープによって自動車も歩行者もアクセスしやすいよう配慮されています。



この新ターミナル建設にあたり、横浜市は国際コンペを開き、応募件数660案の中から、アレハンドロ・ザエラ・ポロ とファッシド・ムサヴィの設計を選定。ターミナルの床は基本的にウッドデッキになっています。恐らく世界最大、少なくとも国内最大のウッドデッキを擁する建築物でしょう。



ターミナル内部の様子です。その構造や形状からくじらのおなかという愛称がつきました。ここは2階となり、インフォメーション、発券所、船客待合場所、店舗、レストランに加えてCIQ機能も備わっています。



ロビーからは窓ガラスを通してこんなに間近に客船を望む事ができます。



1階へのアプローチとなるスロープです。1階は400台が駐車できるパーキングです。



神戸港にも頻繁に入港する日本郵船保有で国内最大のクルーズ船飛鳥IIは横浜港を拠点としています。



屋上デッキへのアプローチも緩やかなスロープで誘います。



くじらのせなかと呼ばれる屋上デッキです。開放感溢れるウッドデッキの広場は中央が膨らんで展望台としも機能しています。



停泊中の飛鳥IIです。



このターミナルでは桟橋の両側に客船が停泊する事が出来ます。またデッキの中央部は天然芝が生茂ります。



屋上デッキから眺める横浜のスカイラインです。横浜ランドマークタワーを中央に左右に高層ビル群が連なり、風格あるみなと横浜の景観が構成されています。



横浜港はかつてクルーズ船寄港数が国内一でしたが、ここ最近は中国からのインバウンド需要で盛り上がる九州・沖縄勢にトップの座を明け渡しています。

しかし横浜の街では中国人よりも欧米人観光客の姿を非常に多く見かけます。これらの観光客は恐らくクルーズ船の乗船客かと推測しますが、神戸のように大阪や京都へと流れてしまうのではなく、しっかりと横浜での滞在に結びついているようです。この差はどこから来るのでしょうか。

考えられるのは大さん橋ターミナルから横浜のベイエリアや都心部の近さが挙げられるのではないかと思います。ターミナルからは徒歩で周辺の散策が可能ですし、横浜市がクルーズ船乗船者が利用できる貸切バスを運行している点も強みです。

神戸港の場合、一部の客船は中突堤のターミナルに寄港するものの、メインの大型船はポートターミナルに着岸します。神戸大橋の一部を活用しているため、埠頭東側のみが使えると共に橋下の薄暗いターミナルには一切の開放感はなく、神戸の街に繰り出そうという雰囲気を作り出せていません。

大さん橋ターミナルはクルーズ船乗客の利用だけを見込んでおらず、素晴らしい眺望を活かして観光施設としても機能しています。

神戸もポートターミナルと中突堤中央ターミナルの再編と改修によってより市民に開かれると共に利便性の向上とクルーズ船の乗客が神戸の街へ繰り出す事を望むような仕掛けや演出が必要です。



横浜港では更に新たな客船ターミナルを建設しています。新港埠頭では地上5階 延床面積約3万300平方メートルの施設が誕生し、1〜2階に食をテーマにした商業施設の他、1階〜5階に200室のホテルが入る計画です。更にベイブリッジに近い大黒埠頭にもターミナルが完成する予定です。横浜の2018年の客船寄港回数は168、神戸は135とそこまで大きな差がある訳ではありませんが、客船ターミナルが2箇所も増えると横浜の受け入れ能力は増大します。神戸も受け入れ強化の為に第三と第四突堤の間を埋め立てて、バスの待機場を作る予定ですが、より利便性の高い中突堤中央ターミナルの活用方法や利便性の向上、魅力のアップにも力を入れるべきです。

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  1. sirokuma より:

    これから埋立ではねぇ。何時になる事やら。クルーズ船に限らず富裕層や欧米系の外国人を取り込めないのはインターナショナルクラスのホテルが無い事も大きいと思います。今計画にあるホテルも宿泊特化型ばかりです。すべてが中途半端それが神戸市の現状です。
    有名建築家設計による建築物はそれ自体が集客力を持ち上質の街を形成して行きます。神戸も本気で上質の街づくりを進めていくのなら国際コンペ開くような大型開発を行えばいいと思います。
    神戸市が様々な規制をかけ必至で守ろうとしている山や港の景観ですが、神戸港の玄関口に立つ第一突堤のラスィートやメリケンのノートルダムはどちらも、前回落札者が経営不振で辞退、その後再入札となり応札したのは1社のみだったように記憶しています。当時、私は、神戸の代表的な立地でのホテル開発に大手資本が見向きもしなかった事に大変驚き失望しましたが、その事実は神戸市に何ら危機感を与えていなかったようで更なる規制を設けようとしています。この規制により大手資本は益々事業採算を合わせる事が困難となり神戸での都市開発事業を敬遠することになると危惧しています。

    大阪は万博誘致に成功し湾岸に眠っていた負の遺産をドル箱に替えつつあります。IRの誘致が成功すれば大阪市の湾岸は一大リゾート地に大変貌を遂げるでしょう。
    隣接自治体の飛躍を見ながら、市長を筆頭に知事、景観審議会メンバーなどの懐古主義の人々は、神戸復権の好機、少子高齢化社会へ向けての都市人口の囲い込みの好機に昔話に花を咲かせ時を失うばかりか、昔の景観を保つために衰退に拍車をかけるような規制をかける。

    伝え聞くところでは、市長は数十年後に超高層建築物がスラム化する事を恐れているらしい……そんな考えでは都市開発は到底無理だとあきらめた。

  2. sirokuma より:

    勢いのある都市では様々なチャレンジが起こりますね。
    そしてそのチャレンジを行政がサポートし共に推進する懐の広さがあります。大阪市大正区では民間都市再生整備事業計画「大正リバービレッジプロジェクト」が国交省に認定され、その中で日本初の水上ホテルが建設されることになりました。
    http://www.mlit.go.jp/common/001281465.pdf
    http://retown.co.jp/taisho/
    https://www.youtube.com/watch?v=EoqaBAgFUKg
    これ、津波や去年の高潮・台風被害を考えると良くやり通したなという感じです。川からUSJへクルーザーでアクセスできるのも面白い。完成は来年1月です。この試みはまだ今後様々な問題に直面するかもしれませんがそうやってステップアップしていけば良いと思います。

    昔は大阪でも大正区とか此花区なんて港区でさえ話題に上がることも無いエリアだったんですがね。USJ・万博にIR誘致が成功すれば電車も夢洲を目指し延伸してきますし、超高層の立地としても有望です。大阪の湾岸は近い将来、関西の一大リゾート地に変貌する可能性を秘めているので楽しいでしょうね。

    神戸市でも摩耶山の再開発や兵庫運河の観光資源化など考えてはいるようですが、少しも進みません。新港町から摩耶山迄ロープウェイで繋いだり、兵庫運河の各所に飲食施設やホテルを建設してumie⇒運河⇒イオンモール⇒PIなどの港と運河を巡る観光ルートを作るとか、半日~丸一日かけて遊ぶ観光ルートの開拓が必要だと思います。
    神戸市は市長だけではなく議員も職員も長い借金生活でチャレンジを忘れてしまったようです。市会議員には都市再開発を主導し新たな神戸を作ろうと言う気概は皆無です。三すくみの神戸市はどうなるんでしょうね?

  3. たっこりん より:

    こべるんさん、横浜にいらしてたんですね!
    都市開発とみなとみらい好きの私が一番気に入っている空間って、大桟橋なんですよ!
    記事を読むまで気づかなかったんですが、大桟橋のウッドデッキは確かに大きい(広い)です。残念なのは、年を経ることに少しずつ小さな看板やペンキで注意書きが増えていることなんです。。ほぼ茶色一色でいいのになぁ。。

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