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地域探訪: 広島・日本郵便広島東郵便局建替計画 広島JPビルディングが完成間近 今秋に広島駅前に新ランドマーク誕生



2018年以来、約4年ぶりに広島を訪れてきました。JR広島駅前を中心に変貌著しい広島の街に新たな刺激を受けてきましたので、今後、複数回に分けて、進行中・完成済みの新プロジェクトを一つ一つご紹介していきたいと思います。まず第一弾は、JR広島駅の南口駅前にあった広島東郵便局の建て替えプロジェクトについてです。

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2018年の訪問時はまだ日本郵便からは具体的な開発計画は出ておらず、郵便局は稼働中でしたが、翌年の2019年にはオフィス・店舗・郵便局から構成される「広島JPビルディング」への建て替え計画が発表されました。2020年5月に新築建物の建設工事に着手し、今年8月末の竣工を目指しています。



来月末の竣工とあって、既に建物外観は完成しており、東京、札幌、名古屋、福岡のJPタワー・ビルにも共通するシンプルで重厚なデザインのオフィスタワーが姿を現していました。



低層部の3-6階は自走式駐車場になっています。この3フロアは壁面が緑化される予定です。4階から最上階の19階まではオフィスフロアで、広島駅前のみならず中四国エリア最大級となるオフィスビルが誕生します。



オフィスフロアの上にホテルを載せて、更なる高層化も目指せたのではないかと思いますが、なぜか日本郵便のJPタワーはこれまでホテルを入れる事例がありません。現在、JR大阪駅前で建設中の旧大阪中央郵便局跡・梅田3丁目計画でJPタワー初のホテル併設型開発を進めています。



1-2階が郵便局と店舗の入る商業施設となります。これまでのJPタワー・ビルと同様に施設名は「KITTE」の称号が与えられるのでしょうか。



将来的には建設が進められているJR新広島駅ビルと接続するデッキによって2階レベルで連絡する設計になっています。



店舗区画のテナントは物販や飲食系が入る事になるのでしょうか。既に駅前には再開発ビル、JR橋上駅舎のekie、そして新駅ビルが建設されているので、テナント商業床が大量に供給される事になります。



ピロティの下には2階のデッキにアクセスするエスカレーターが設けられています。



ピロティの柱にはデジタルサイネージが設置され、柱を囲むように木製ベンチと植栽が整備された広場が洗練された空間が創出されています。



広島駅前は再開発が本格化する前は、100万都市のターミナル駅前とはとても言い難い様相を呈していましたが、この10年で南北の駅前双方が激変しており、そして更なる進化を遂げている最中です。



新たな都心核の誕生は、他都市と同様に既存中心街との競争激化を促す事になり、双方の再開発を半ば強制的に進める事によって、都市全体の競争力の底上げに繋がるといったメリットとオーバーストアといった懸念も同時に生み出します。



しかし広島は二つの世界遺産を有し、コロナ前には旺盛な訪日客需要を背景に、市内各地で多くの開発プロジェクトが進行し、特に広島駅前は国際観光都市・広島の玄関口としての再整備が力強く進められています。



広島市のオフィス空室率は、コロナ前は1%を切る程、需要が逼迫していました。現在も2%台と、需要は根強い状況が継続していますが、このビルの完成がマーケットにどのような変化を与えるのか。市内では今後、更なる大規模開発が相次ぐ予定ですが、今後のオフィス市況を占う開業となりそうです。



既に夜間の照明演出は開始されており、オフィスフロアに入ったマリオンを1本ずつ、駐車場階から照らし上げるライトアップの他、四隅にLED照明を埋め込んだスリットは、定期的に最上部から下へと光の筋が落ちていくような演出が施されています。



日本郵便は広島の他、大阪駅前で大型複合開発を進めており、更に京都でも駅前郵便局を複合商業施設へと建て替える計画を始動させる予定です。他都市でも駅前一等地に郵便局を抱える為、今後も同様の不動産開発を継続していく事が予想されますが、神戸の中央郵便局はJR神戸駅から近距離にはあるものの、駅前ではない事、中心駅である三宮にない事が日本郵便にどう評価されているのか。開発が進められる可能性はあるのでしょうか。

施設名称 広島JPビルディング
所在地 広島県広島市南区松原町2番62号(広島東郵便局敷地: 日本郵便株式会社所有)
規模 地上19階 塔屋2階
高さ 90m
敷地面積 4,204.19㎡
建築面積 3,276.13㎡
延床面積 44,270㎡
基準階面積 約1,500㎡ (事務所専有部)
用途 事務所、店舗、自走式駐車場
構造 鉄骨造
設計 日本郵政株式会社一級建築士事務所
施工 鹿島建設
開業時期 2022年秋頃

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