デザイン案の市民投票を経て、22年6月に着工した地下鉄西神・山手線新長田駅の大規模改修工事が遂に完成を迎えました。約2年の工期により駅構内はほぼ全面刷新され、沿線初のフルリニューアル駅第1号となりました。
改修工事の最後まで姿を見せなかった柱もリニューアルが完了。
天井と接続する部分はその周りを円形のミラーパネルで覆い、照明を設置してグリーンのライトを下方向に照射。柱を気に見立てて、照明の光で緑を演出しています。
柱に取り付けられた新しい駅名表示や乗り換え案内。視認性の高いコントラストのある表示類です。
リニューアル前のホームの様子です。全体的に薄暗い印象で、老朽化が進んでいました。
リニューアル後は明るく鮮明でカラフルな色合いが際立ちます。
自然素材を使ったデザインベンチも新設されました。
時刻表案内スタンドも完全刷新されました。
階段下の空間もベンチを設置した待合空間に仕立てられました。
既存エレベーターも美装化されてリニューアル駅に相応しい装いに変更。
軌道の外側の壁は特に老朽感が著しく汚れや変色が目立っていました。
汚れにくい鉄製パネルに変更され、ホーム柵のライン照明はLED化された事により、光量も増して洗練されました。
薄汚れた感の強かった階段とエスカレーター周り。
リフレッシュされてピカピカになりました。
階段を上がった階上の改札内コンコースの様子です。
グリーンの大きなパネルと磨りガラスを組み合わせ、ランダムに設置された天井のライン照明とそれに沿ったグリーンのラインが動きを生み出しています。
人口観葉植物による緑化壁面を改札内コンコースにも配置。
ワープ空間に入っているよう錯覚を起こさせるデジタルな雰囲気です。しかしここに既存の煉瓦タイルの床がマッチしているのかについては賛否ありそうです。
改札機周りに並ぶ柱もデジタルな木々のような装いです。
壁から天井の光沢パネルがシームレスにひとつづきとなっており、また曲面デザインもポイントが高いと言えるでしょう。
リニューアル前の改札外コンコースの様子です。天井の照明がLED化された際、パネルの美装化が施されましたが、それでも老朽感は拭えませんでした。
デジタル木柱の周りにはベンチシートも設けられています。
蛍光照明は天井のスリットに収められていた以前の改札外通路。
照明が直接、パネルの上に取り付けられているので照度が全く異なります。
地下鉄海岸線への連絡通路もようやくより新しい海岸線内の通路との釣り合いが取れるデザインになりました。
東出入口へと連絡する長い通路ですが、こちらは利用者数が少ない事もあってか、コスト削減の工夫が見られます。天井は全面刷新しつつも、壁は互い違いにSFチックなパネルを取り付けました。
最も利用者数の多いJR新長田駅との連絡アプローチである大階段とエスカレーターについては全く異なったテイストによるリニューアルが図られました。
モノトーンの色調でまとめ、間接照明とライン照明で近未来的な雰囲気を醸し出しています。
美しくモダンにリニューアルされた新長田駅。これまでの古く薄暗い駅をもはや全く想像できない程に綺麗に生まれ変わりました。だからこそ、目立ってしまう床。やはり出来れば床も全面的に刷新して欲しかったです。次は三宮駅と板宿駅にリニューアル工事は移行します。
床はレンガ調でも、濃いグレーにしてみたらより良い感じになるのではと個人的には思います。
新調された改装デザインで特に言うことはありませんが、
西神山手線ホームから海岸線ホームへの連絡通路、現状では「ホーム西端から階段上って長い距離歩いて(海岸線新長田駅側で)長い階段下りる」になっていますが、これは「階段ちょっと下りて左折して真っすぐ進めばすぐ海岸線ホーム」にできるでしょう。これだけでもずいぶん乗り換えは便利になると思う。
西神山手線ホームが海抜高度-10メートル、海岸線ホームは海抜高度-13メートル。3メートル下りるだけで済むはず。
https://www.city.kobe.lg.jp/a80062/kurashi/access/kotsukyoku/subway/station/s09.html
https://blog-imgs-142.fc2.com/t/a/r/tarouroom/202012291957564d1.png
https://blog-imgs-142.fc2.com/t/a/r/tarouroom/202012291957548b1.jpg
海岸線を新長田駅から北へ延伸させる計画(可能性)が無ければ問題なくできるでしょう。
https://www.google.co.jp/maps/@34.6573203,135.1450126,19z?entry=ttu
確かに残念ながら既存床と今回の改修デザインがあってませんね。
ただ地下鉄駅プラットフォームの改修工事は終電車から始発電車までの6時間ぐらいしかできないようです。それに終電車後の準備、始発電車までの後片付けに合計1時間ぐらいかかりそうなので実際の工事可能時間がさらに短くなります。床タイルの張り替えは特に大変で既存タイルをドリルで撤去しその後新しい床材を貼るまでの間、昼間の駅利用者のために床養生しないといけません。
おそらくそんな理由で床の張り替えは避けたのではないかと推測します。
連絡通路はシンプルな改修でよく感じますが、ホームはごちゃごちゃしていて、なんというか学生レベルですね。CGではきれいに感じたんでしょうが、ありゃりゃって感じです。柱なんてあれこれ巻きつけりゃいいってもんじゃないよね。ひどすぎる。
「デザイン都市・神戸」と名乗り続けたいのであれば、繰り返してはいけない悪例として見たほうが良いと感じました。