福岡

地域探訪: 福岡 中枢商業地区・天神は160万都市に相応しい風格を持つ


再開発によって躍進する博多駅周辺に影響を受けているのが既存の中枢商業地区である天神です。JR駅という表玄関のターミナルである博多に対し、天神は西鉄(西日本鉄道)という私鉄のターミナル駅周辺で発展を遂げた繁華街です。札幌・大通、名古屋・栄、金沢・香林坊、京都・四条河原町、広島・紙屋町/八丁堀等、全国の主要都市はほぼ既存中心街がJR駅から離れた場所に立地し、そして駅前再開発によって駅前vs既存中心部の競争が激化する構図が各地で見られます。


天神は渡辺通という目抜通りを中心として百貨店やファッションビルが集積し、市役所等の公共施設も立地する紛れも無い福岡の中枢です。写真は西鉄福岡(天神)駅の入る駅ビルソラリアターミナル・ステージ。西鉄は90年代後半に駅周辺を一体的に再開発し、天神の中枢性を大幅に向上させました。ターミナルビル内には福岡三越がキーテナントとして進出。


福岡(天神)駅の乗降客数は約13万人。同地区に乗り入れる市営地下鉄天神駅は約15万人。ビル内には西鉄バスターミナルも備わり、鉄道、バスの交通ターミナル機能と商業施設、ホテル等の集客施設を一つに盛り込んだ複合施設として全国でも稀有な建物です。


建物はL字型に配置され、渡辺通沿いのソラリアターミナルの東側に、ソラリアプラザが聳えます。ファッションビル、シネコン、ホテルから構成される地上17階の複合ビルで現在、天神で最も高い建物かと思われます。

首都圏、近畿圏を除くと私鉄でここまで大規模な開発事業を行える企業は他に名古屋の名鉄くらいでしょうか。


西鉄ソラリアターミナルの向かいに聳えるのが西日本新聞会館。巨大な複合ビルは同新聞社の本社を上層部に、低層部を商業施設とし、ビル竣工当時より博多大丸が出店しています。


その大きさだけでなく、煉瓦色の外壁が目を引きます。博多大丸の2018年度売上高は548億円。インバウンドで増収傾向です。


渡辺通りに聳える複合商業施設ビルのIMS(イムズ)は正式名称天神MMビル。その名は事業者の明治安田生命と三菱地所に由来します。商業施設と文化ホール、飲食店街から構成され、内部は上層階まで見事な吹き抜けです。


天神は福岡の中枢商業地区でありながら、空間の使い方は大胆です。ソラリアターミナルの背後にはこんな広大な都市公園が広がっています。警固公園は三方を大型商業施設に取り囲まれている天神のオアシスです。


警固公園に面して2011年に完成したレソラ天神は正式名称アーバンネット天神ビルでその名の通りNTT都市開発が建設した複合商業施設です。バーニーズニューヨーク福岡店やルイヴィトンが中核テナントです。


そしてレソラ天神に隣接して地域一番店の岩田屋本店があります。北九州に井筒屋、熊本に鶴屋、鹿児島に山形屋等、九州には各県に地場百貨店が根付いており、福岡ではこの岩田屋が天神の商業を牽引しています。手前が本館、奥が新館で両館の延床面積合計は68,340平方メートル。元々は渡辺通り沿いにあった同百貨店はNHK福岡会館跡にNTT都市開発が建設した再開発ビルを借り受ける形で2004年に移転開業。


地方百貨店らしからぬ斬新で洗練された店舗です。しかし岩田屋は店舗拡大に失敗して経営破綻。自主再建を断念して当時の伊勢丹傘下に入りました。そして伊勢丹が三越と統合した為、前述のソラリアターミナルに入る福岡三越と岩田屋は統合し、岩田屋三越として2百貨店体制で博多大丸、博多阪急と競合しています。これら2店に岩田屋久留米店を加えた2018年度の岩田屋三越の売上高は1,178億円。JR博多シティが1,185億円なので双方は肉薄する状況です。


渡辺通りを更に北上すると明治通りとの交差点角に福岡パルコがあります。この場所には移転前の岩田屋本館・新館がありました。パルコは進出にあたり、50億円の改修費を投じて岩田屋の建物をリニューアルして開業。所有者は西鉄です。


他にも渡辺通りには現在は再開発に向けて閉店した天神コアや旧ダイエーショッパーズプラザ福岡でイオンが改修したイオンショパーズ福岡等の商業施設が集積しています。


岩田屋の向かいにあるファッションビルがVIORO福岡。地下2階から地上7階に福岡初進出のテナントを集めて60店で2006年に開業。


天神は風格やデザインに拘りを持った建物も多く、また規模が大きいので見映えが非常に良いです。


また天神近辺を歩いていると主な交差点は皆、スクランブル化されている事に気付かされます。神戸の都心でスクランブル化された交差点は元町に数える程のみかと思います。スクランブルの方が待ち時間も少なく効率的です。


他にも天神にはロフトの入る天神ロフト、アクタスやユニコをはじめとするインテリアのテナントを集結させたBiVi福岡等、箱型商業施設が並びまくります。


そして更に渡辺通りの地下に広がるのが天神地下街。地下鉄天神駅に直結し、渡辺通りの沿道に並ぶ各ビル地下街とも連結しています。


通路は基本的にとてもシックで地下街としては他に類を見ない洗練された雰囲気があります。特に唐草模様の天井パネルは見応えがあります。


一部の通路は石畳が採用されており、南欧をモチーフにしています。さんちかこそこういった落ち着いてデザイン性の高い雰囲気にリニューアルできると神戸のイメージに近いのではないかと思います。


モザイクを彷彿とさせる空間。地下街である事を一瞬忘れてしまいます。規模も大きく、天神は九州の中心としての自負を意識して、地上も地下も一級です。


傍目には向かうところ敵なしに見える天神ですが、博多駅との競争激化に体力を擦り減らしているのは事実です。JR博多シティの生む1,200億円の売上は九州一円からもたらされる訳ではなかったのです。当初、JR博多シティは九州一円各都市からストロー現象を起こす事を懸念する声が挙がっていましたが、蓋を開けてみると、そこまでの影響は生じなかったのです。つまりは福岡市内や周辺部で費やされていた消費がJR博多シティに流れた=つまりはその多くは天神から流出したと言って良いでしょう。博多駅前では博多コネクティッド構想がスタートしていますが、天神は更に先行して規制緩和を最大限に活用した天神ビッグバン構想を始動させています。次回はこの構想にフォーカスを当てます。

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POSTED COMMENT

  1. 匿名 より:

    ほんとうに

  2. 博多鯉党 より:

    広島出身、大学進学で福岡に来てそのまま就職した者です。当初就職は地元広島で、と考えていましたが、福岡の街の元気さ、その街に集まる若い人の多さに惹かれて福岡に残りました。新幹線開業後もつばめ族かもめ族(鹿児島本線長崎本線方面から特急つばめ特急かもめで福岡へ来る若者たち)と福岡では言われているように、福岡の街には人を惹き付けるもの、そこから生まれる活力があるように思います。地元広島はようやく駅周辺が変わりつつありますがまだまだ…広島に帰らなかった事を後悔したのは自分が生まれて初めてのカープ優勝に地元で立ち会えなかった事が唯一です。天神地下街、良いですよね…。地下街が整備されて40年以上経つそうですが、19世紀のロンドンをイメージしてわざとアンティークに作ったので時が経っても古さを感じさせず逆に味が出るようにしてると天神の商業関係の方に聞いた事があります。広島紙屋町の地下街は自分が生まれた頃に整備されて20数年で既に古臭さが…。
    仕事柄、街の開発等に興味があります。神戸や関西は疎いのですが、こちらのブログで関西方面の街づくりの情報を今後も拝見させて頂きますね。広島や福岡も取材してくださり、ありがとうございました。

  3. sirokuma より:

    天神地下街は上記コメの通り40年前、ソラリアやIMSは平成元年頃ですからもう築30年がたちます。地下街は秀逸ですね時が経つほどに良くなるまれな建築物です。大きなものでは、少し離れますが平成8年にはキャナルシティ博多が誕生し、米国建築家のデザインは、とても斬新で日本の建築規制の中でも面白い建物は出来るんだと感心させられました。その後も福岡駅前開発などなど…福岡は景気循環の波を捉え上手に新陳代謝を繰り返しています。その中で、再開発の牽引車の一人として地元福岡のデベである福岡地所の果たした役割も大きいですね。今天神で建設中の同社の本社ビルは、いま注目の建築家重松象平がデザインを手掛けておりこれも完成が楽しみなビルですね。
    神戸の地元企業も頑張って神戸市を盛り上げて欲しいですね。

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