日経新聞が20日付けで報じたところによると、神戸市は2020年度に都心部のタワーマンションを規制する条例施行を目指しているとの事です。三宮駅周辺エリアでは原則タワマンの建設は不可とし、それ以外の都心部でも1,000平方メートル以上の敷地の場合、住宅の容積率は400%までとする規制です。規制導入の目的は都心部にオフィスや商業施設を集中させ、都市間競争に打ち勝ち、神戸を大阪のベッドタウンにはしないと意気込むのが久元神戸市長です。
この考え方には個人的にも一部、賛同します。三宮の駅前地区や旧居留地地区は高度集積地区としてオフィスビルや商業施設を集中させるべきかと思います。
しかし徹底的に反対なのはこの規制を都心域全体に広げる事です。都心全域においてタワマンを規制しても通常の分譲マンションや賃貸マンションは問題なく建設できる状況に変わりがなければ都心の活性化には結び付きません。タワマンが建てられない都市は大手デベロッパーにとっては不動産市場として投資価値の無い都市に格下げされかねません。人口減社会の中でこれまでのように神戸の都心全体を商業地域としてオフィスビルや店舗ビルで埋め尽くす事は不可能であり、妄想でしかありません。加納町、布引町、栄町通、磯上通等、都心部の業務地区として活力を失ったエリアにある老朽化したビルが次々に賃貸マンションに姿を変えている姿を久元市長はどう思っているのでしょうか。JR神戸駅の西側や北側の雑然とした老朽ビル群の再開発を考える場合、三宮エリアのような大規模な高層オフィスビルやホテル、大規模商業施設が成り立つと思えるのでしょうか。都心部は三宮と元町に集約化されていく事は避けられない代わりに、それらの地区は究極に高度化し、それ以外の地区ではタワーマンションを含めて柔軟に土地活用を図るべきです。都心ターミナル駅周辺以外にオフィスやホテル、商業施設を主用途とした再開発需要は正直生まれません。タワマンが建たなければ、投資がオフィスや商業施設に向かう訳ではありません。土地の集約化は更に制限され、鉛筆型賃貸マンションを増やすだけです。それともファッションプラザRink、ハーバーセンター、プロメナ神戸、そして新神戸オリエンタルアベニューのような施設をこれ以上増やすつもりなのでしょうか。タワマンの規制よりも神戸市が成さなければならない事はさんセンタープラザの再開発、電柱の地中化です。2020年までに駆け込み開発が出てくる可能性も高まるかもしれません。
神戸市が都心部のタワーマンションを規制 2020年度の条例施行を目指す
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あれれ?
景観審議会は高さ規制について「基準内でも、超高層ビルの建築は可能であり、開発やタワーマンションの建設を阻止するためのものではない」と言っているのに?ちょっと頭が痛くなるような内容ですね。
もちろん商業地区や業務地区のメリハリは大切ですが、それは「住宅規制」であって「タワマン規制」ではありません。もし低いマンションを建てるくらいなら、タワマンのほうがマシだと思います。
あるいは、都心部は地価が高いから、タワマンさえ規制すればマンションは建てにくくなり、代わりに商業施設やオフィスビルなどが増えると考えているのかもしれません。
しかし、それは甘い。最近は郊外にも立派な商業施設があります。郊外の住民が、わざわざ都心まで買い物にいくとすれば、高級ブランドを求めている場合や、比較的珍しい商品を買う場合、旧居留地や南京町などの文化を楽しむ場合などに限られるでしょう。つまり、都心部に平凡な商業施設を増やし続けることは現実的ではないということです。都心部の商業施設は、量以上に質が大切なのです。
オフィスビルは、郊外にはあまりありませんが、梅田を含む大阪都心部との激しい競合があります。従って、平凡なオフィスを増やし続けることも、やはり非現実的なのです。しかし三宮周辺は、神戸の誇りであるポートアイランドと密接につながっているエリアですから、非常に大きなアドバンテージがあります。オフィスは商業施設以上に三宮一極集中で良いと思います。
なるほど、敷地面積300坪以下の分譲マンション…商業600%なら10~15F総戸数60~80戸のファミリータイプや1ROOMは従来通り建設可能。要するにタワマン規制ですね。でも原則としていますから例外もありですか?わかりにくっ!
神戸市は、都市再開発を監視下に置き誘導したいのでしょうが、思いつくだけでも、用途地域による制限のほかに
① 地区計画(旧居留地地区など)による高さ制限
② 都市景観形成区域等による規制
③ 商業地域内における高さ規制
④ しおさい公園眺望点からの規制
⑤ ヴィーナス眺望点からの規制
⑥ 三宮駅周辺タワマン原則禁止
⑦ 市民協定・街づくり協議による誘導
⑧ そして、ご意見番、都市景観審議会のご注文。
このように解り難い施策に付き合っていては、商売にならないと言うのが企業の本音ではないでしょうか。
神戸市は、ヴィーナスからの眺望に拘りすぎて市民の生活空間(街中)での眺望をおろそかにしているのが滑稽です。琴ノ緒町や二宮など三宮北東には、老朽化した狭小の雑居ビルや住宅が密集しており、このエリアでは大規模再開発を誘導する施策を重点的に行うべきじゃないでしょうか。
取るべき施策は、今と真逆、例えば2,000㎡以上の敷地を一体開発する場合は容積を割増す(600⇒800%)、3,000㎡なら更に割り増す。オフィス・商業ビルなら更に割増す。高度利用地区として高層化させ足下の緑地・公開空地をできる限り広くとる。1ROOMは規制強化する。これくらいやると再開発の機運はもっと高まり投下される資本も増え、デザインの優れた上質の物件が増えるんじゃないでしょうか。現状の区画に同規模の建物が再建されるよりも都市的な魅力は格段に高まるでしょう。
そもそも、三宮駅南~南西エリアは、既に地価上昇により、経済的合理性からみてもタワマンを規制する必要はないと思います。
そりゃあ、「ヴィーナステラスからの眺望景観規制」は当初にヒアリングしたのが兵庫県の各種商工組合だけですからね。別に市民意見を聞いて規制をかけようというのではなく、地元建築組合とかの利権から発生してますから、とことん大手デベロッパーの進出を食い止めたいのが本音でしょうねえ。神戸商工会議所メンバーは規制をかけねば地元の仕事が回ってこないと言う情けない理由で反対ですから…。小規模の開発案件が多い方が安心なんでしょう。
100歩譲ってマンションを規制する意図は理解するとして、
じゃあ市がオフィスビルや商業ビルを増やす政策や助成を何かするかというと何にも無いんですよねえ
先日市長のインタビューが神戸新聞に出てました。
5年間で目に見える成果は無くて申し訳ないとか答えてましたが、
例によって「今後はスピード感を持って政策に当たりたい」と言ってて呆れ果てました
5年間何も出来なかったあんたに、残りの3年で何が出来るの?
いやよく考えると成果は有りましたね。
大嫌いな都心再整備を停滞させたという素晴らしい成果が。
大阪に万博が決まりました。神戸はどうするのでしょうか。のんびり超高層ビルはたてない・・などといっていられるのでしょうか。この方針では、東京の次は大阪にもっともっとすいとられる、というのは素人の私でもわかります。これからも、順調に2025年まで7年間東京と大阪に吸い取られたいのでしょうか。
本来なら、吸い取られる場面ではなく、むしろ機会を活かして発展すべき場面なんですが、それも神戸市の判断次第…。