人口流出が政令市ワースト1を記録してしまった神戸市。人口流出に歯止めを掛ける為の抜本的な対応策を今年度中に段階に分けて打ち出すとしていましたが、その第一弾は駅前周辺の照明設備LED化や一部ライトアップ等の照明演出を実施するという何ともピントのズレた施策内容に記事にする必要も感じられませんでした。高い需要があるにも関わらず、都心のタワーマンション建設を事実上禁止とし、大規模な居住施設の規制に乗り出した神戸市。代わりに郊外の拠点駅周辺に人口集積を図る方針を明確にしました。今回、西神中央、名谷、垂水の3駅周辺を重点的に再開発し、利便性向上によって「見違えるような変化」を遂げる事で5,000人の人口増を目指すとしています。
西神中央
まず西神中央については既に西区役所を玉津から西神中央駅前に移転させると共に図書館や文化ホールから構成される複合公共施設を駅前の市有地に建設する事が決定していましたが、これらに加えて、商業施設のプレンティや駅前広場、バスロータリーのリニューアル、共同住宅700戸の建設等によって人口2,000人の増加を図ります。
西神中央は3駅の中でも最も投資額が大きいのではないかと思います。そごう西神中央店の閉店が決まってしまっていますが、地域の発展とニーズに見合った新しい中核商業施設として生まれ変わらせる事ができれば、西神中央の拠点性は向上するのではないでしょうか。大丸新長田店は東急プラザに転換した事でより地域に密着した商業施設として人気を博しています。
西神エリアの強みは神戸市が力を入れている神戸サイエンスパーク、ハイテクパーク、インダストリアルパーク等の企業集積ゾーンを近隣に抱え、もう少し広域ではテクノ・ロジスティックスパークに物流拠点の集積も高まっており、これらで就業する人々の住宅地としての受け皿になっている点です。西区のヘソとして再確立が成されれば、賑わう街へと再び息を吹き返す可能性は大きいと思われます。
西神中央駅周辺再整備の柱となる施設の設計・工事スケジュールです。再来年の西区新庁舎完成を皮切りとして、向こう約4年でリニューアル事業が完成します。
垂水
垂水は垂水中央東地区第一種市街地再開発が都市計画決定しており、大規模開発が開始される予定です。加えて小学校再編や体育館の再整備が進められようとしています。
垂水駅周辺では中央東地区のみならず老朽化した低層店舗が密集しており、これらの地区の再開発も段階的に進む事が想定されています。
東側の駅前広場には新たに図書館の建設が行われるようです。
垂水駅周辺の再整備スケジュールです。3年後に多くの施設が完成を迎えます。中央東地区の再開発も2024年の完成を目指しています。
名谷
名谷は唯一、これまで当ブログでは一度も取り上げた事がありません。個人的にも殆ど足を踏み入れた事のないエリアです。
しかしながら駅周辺は西神中央に負けず劣らず商業施設が充実しており、大丸やダイエー、駅ビルのパティオ等が集積し、市内でも有数の賑わいを見せています。名谷でも駅前広場のリニューアルに加えて、駅ビルや駅舎にも改装の手を入れる他、大丸須磨店内に図書館を新設します。
駅前には共同住宅も建設し、近隣の落合公園もリニューアル。色褪せてきたニュータウンを新しい街へと生まれ変わらせる施策の柱を林立。
こちらも他の2拠点同様に数年内のリニューアルを目指します。どの拠点にも図書館を置く事が再整備の特徴でもあります。利便性の高い場所に新しくデザイン性の優れた図書館を設置する事で集客性や賑わいを生むという戦略は否定しませんが、少しワンパターンのような気もします。これらの拠点駅周辺では近年も民間デベロッパーによって分譲マンションが比較的多く完成していますし、リニューアルによって街の人気度が再度、高まる可能性はあります。住宅建設は直接的に人口増に繋がる事にもなります。しかし神戸市が人口を減らしている根本原因にもメスを入れないと、これらで多少の人口が増えても流出を止める事はできません。それにはやはりこれらの拠点駅の整備もさることながら、都心の再整備をこれまで以上のスピードと規模、アイディアで進めなければ、大阪、京都との差は開くばかりです。久元市長はこの再整備プランを発表した会見で神戸駅周辺の再整備可能性についても言及しましたが、都心の西端に位置する重要拠点として、民間の駅前再開発を伴う整備案に発展させて欲しいと思います。子育て支援施設は現在、急激に市内各所で建設が進み始めているようですが、人口減対策については更なる第三弾は発表されるでしょうか。
「リノベーション・神戸」神戸市が市内拠点3駅の駅前再整備を本格化 人口減に歯止めを掛けられるか?
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名谷の人口減について
過去にもコメント欄に書かせてもらいましたが、名谷周辺は住みやすく子育てしやすいですが、そこで育った子供たちは就職や大学を機に家を離れます。理由は終バスの時間が早すぎるからです。日曜は梅田駅を21時以前に出ないと間に合いません。西神中央も同様です。駅前にマンションを作っても一時的に人口が増えるだけで結局若者は出て行ってしまいます。阪急とつなぐよりも、欲しいのは大阪までの時間短縮ではないかと思います。新長田に新快速停車とか地下鉄快速復活とか終バス延長を祈ります。
今年に入って、見違えるような神戸にすると久元市長は自信満々に宣言していましたが、この昭和期の郊外の市街地整備みたいな再開発案はどうなっているんでしょう?
相変わらずの、地域には新しい図書館と音楽ホールの設立みたいなセット抱き合わせ販売的な発想に、昭和世代のわたしは苦笑してしまいますね。
もうこの人は新生神戸には不必要な人と言えるんじゃないでしょうか?
次の市長選にはまともな復興政策が掲げられる立候補者が出てくることを祈ります。(笑)
神戸市の一番の不幸は今の大事なタイミングで今の市長を持ってしまったことに尽きると思います。
教育委員会への批判と本人曰く「権限のない」組体操への提言がこのかたの主な主張ですから神戸市民は諦めて次の市長選を待つしかないですね。
久元市長の最近のTwitter でのコメント「虚しいですね。定例記者会見を開いても。前向きテーマの報道はゼロ。市長に権限のない六甲アイランド高校事案の発言のみが掲載されていました。」
定例記者会見を見ましたが新しい前向きなテーマは見当たりませんでした。
必要なことは何か、それは規制緩和であり、民間の投資を呼び込む施策であるはず。神戸の都市計画において、市や県が旗を振らなくてはいけない優先順位は、
① 三宮再開発
② 新神戸~神戸空港の鉄道含むアクセス整備と神戸空港の規制緩和・国際化
③ 新神戸~神戸空港の軸での再開発の推進、特に、三宮以外では神戸国際会議場など老朽化したコンベンションセンターの再開発
であろう。現市長は、何が最も重要なのか、どうしたら都市間競争に敗れつつある現状を変えられるか、まったく理解できていない。時期市長選では、神戸に不要な規制を撤廃し、民間投資を呼び込むことができる市長の登場が強く望まれる。
都心部は人の集まるところですから大きな建物を建てるべきですし、逆に郊外は無駄に大きな建物を建てるべきではありません。建築関係者は奴隷ではありませんし、資源も有限です。都心部にも郊外にもどんどんビルを建てるなんてことはできません。また、神戸市の水道は、基本的に遠い淀川の水を使っているわけですから、標高の高い郊外地域の大型施設は多くのコストもかかると考えられます。
人と人が直接出会う都心部と対比するならば、郊外は情報社会をテーマにすべきではないでしょうか。具体的には、自動運転による物流改革、三宮のオフィスとの通信、役所の手続き等がネット上でできるなど。
我が国は海外に比べて、情報技術の活用が遅れていると言われています。遅れているだけではなく、そもそも消極的な人が多いという問題があります。逆に言えば、もし神戸市が全力で情報技術の活用に取り組めば、簡単に他都市を追い抜くことができ、人口減から人口増に早変わりできるかもしれません。とにかく「情報技術の街」ということで、名前だけでなく実際に見違えるような情報都市を作ることができれば、多少梅田からは遠くても人々は魅力を感じると思います。
家を購入する場合に子育てを考えた場合、通学時間・安全性は気になるところです。
小中学校は、各エリアの徒歩圏にあるのですが、高校となるとそうはいきません、駅から遠く辺鄙な場所にあり通学に非常に労力を要す高校が西・北方面には多いと思います。在学生の通学手段・時間を考慮しバスの路線等の見直しを行うなど、ターミナル整備よりも直ぐに取り掛かれることをやらないとハードを整備しても意味がありません。公立高校も自転車通学を認め学校に駐輪施設を整備するのも効果的です。子育て世代への対策はそうした現状の不満解消が一番大切なのではないでしょうか?
私は、地域の図書館は意外と利用者も多く否定しませんが、これもソフト面の運用如何で大きく効果が変わると思います。ですからこれらに特化したハードを新たに整備する必要をあまり感じません。それでも新たな施設を駅前等に整備するのなら、例えば、同じ施設内に思い切り楽器演奏ができる小さなミュージックスタジオを20室くらい作るとか、図書館には学生たちが自習できるスペース(軽飲食可能な)なども併せて整備し夜10時頃まで利用できれば面白いでしょう。ハードに合わせソフト面の充実でかなり満足度は変わります。
予算は限られていますから、小規模な予算でできる事業を充実させつつ余剰金を集中投資する事を考慮すべきで、例えば、垂水区平磯スポーツガーデンに移転整備予定の垂水体育館を老朽化した神戸市立中央体育館に代わる大規模な体育館として整備する事で神戸西エリアに大きな核を創り、神戸駅徒歩圏の都心部にも同時に大規模な再開発用地が産出せます。
平磯スポーツガーデンは、素晴らしいロケーションを持つ神戸市の埋もれた財産の一つだと思います。ここをフル活用し、同じエリアの湾岸、マリンピア・アジュール舞子と共に、スポーツ・レジャー・観光の拠点にする事が出来れば街にも、民間資金が投入されまた成長できます。
効果的なお金の使い方を検討して欲しいと思います。
こべるんさん コメント消さないで(T_T)
誠にごめんなさい。。。誤って消してしまいました。できればもう一度お願いします。
名谷も垂水も西神も神戸市にとっては重要拠点です。
でも人口増は雇用です。 企業誘致しなければ人は絶対に増えないという基本が解ってないと何をやっても空回りになってしまいそうで…
企業からすると自由度が足りないなと考える区域なのかと。総合運動公園まで行けば工場地帯はちょっとあっても…周辺全体の雇用を担えているのかといえばそうではないでしょう。
大方住専なので、住宅とちょっとのサービスしか提供してはダメというのも、うーんというところです。確かに”緑があって住みやすい”のかもしれませんが、それだけでは「食っていけない」です。この規制は前提として、三宮につながる地下鉄の高速化による利便性向上は必須です。当方一応若者ですが、坂がとにかくキツイ場所が多いので車をメインに動く世帯はいいですが、そうでないのであれば比較的駅近の若者にとって人気のない公共団地の再開発は今後、絶対に視野に入れなくてはならないと思います。