JR三ノ宮新駅ビル

JR三ノ宮新駅ビルの構想内容

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先月、JR西日本の来島社長がJR三ノ宮駅の三宮ターミナルビルの建て替えついて「構想はまだ」と語りましたが、神戸市と計画内容の調整を行っている事が示唆されていました。計画されている新駅ビルの構想概要について情報を頂きましたので、まとめてみたいと思います。

①新駅ビルは駅前広場西側を建設地として活用

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現在のターミナルビルの南側となる円形広場からロータリーの西側に掛けての駅前広場を新ターミナルビルの建設地に充当します。現在、フラワーロード横で稼働している地下階へのエスカレーター・階段は廃止されます。新駅ビル地下階と地下通路・さんちかとの接続やボイドとなる地下広場の再整備がどう行われるのか気になります。三宮交差点に面した地上階のコーナー部も将来的な三宮クロススクエアとの連携も考慮された設計とされる必要があります。

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南側の駅前広場は約13,000平方メートルの敷地面積があります。敷地は西側に向けて三角状にすぼんでいるので、新駅ビルが建設できる建築面積は5,000平方メートル程でしょうか。残りの駅前広場や駅舎を含めると相当の敷地面積とみなされるので、容積率の緩和抜きでも相応の超高層ビルの建設は可能かと思いますが、公共性や屋上・壁面緑化、国土交通省によるホテル建築の規制緩和、そして何よりも都市再生法による緊急整備地区、特定都市緊急整備地域の指定がありますので、望めば200mを越える高層ビルも可能ではないかと思われます。但し、神戸市景観条例の高さ制限が足枷になります。三宮駅前地区では165mの高さが限界とされています。

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駅前広場の東側はタクシー乗降場として再編されます。敷地の形状から、ロータリーの回転方向は現在の東西水平型から南北垂直型に変更されるものと思われます。一瞬、ちょっと狭いかなとも思いましたが、将来的に三宮クロススクエア構想によって県道21号線部分までロータリーが南側に拡張されるので、最終形は今とさほど変わらない面積が確保されるのではないかと思われます。

②ポートライナー三宮駅を新駅ビル内に拡張

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ポートライナーは朝夕ラッシュ時の乗車率が問題視されていますが、今後、神戸空港の民営化や医療産業都市の発展に伴って更なる輸送力の増強が求められますが、運行本数の増便はすでに限界です。ライナーの編成車両数を増やす事が検討されているようです。現在の6両から8両編成化がこの新駅ビル建設によって実現する構想です。現在の三宮駅を西方向に拡張し、新駅ビル内に取り込む形となります。またこの拡張に合わせて新駅ビルの3階に改札も設けられるようです。この新改札がJR駅に直結するのかは定かではありません。直結の乗り換えを実現するには高架駅上に橋上通路の構築が必要となります。

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駅舎と県道21号線の間にはかなりの高低差があります。不思議な高低差で駅舎周辺のみが盛り土されたような形です。この高低差を利用して駅前広場地下に駐車場がありますが、この高低差のある部分は新駅ビルが建設されるとなると、フロア構成も少し複雑になるかもしれません。

③駅北広場も拡張

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駅の北側にある駅前広場も拡張が構想されているようです。拡大には既存ビルの解体が必要になる他、新たに広場に面する事になる建物もそのままでは不恰好となるので、広場の拡張は駅前再開発とセットで行われる事が必須となります。これはJRのみでは実現不可能なので、周辺地権者との共同事業となりますが、もし実現するのであれば、駅周辺は南北共に大きな変貌を遂げることになり、神戸の玄関口がその都市格に相応しい風格を備える事が可能となります。

上記の構想が現実にどこまで具現化するのかは定かではありません。しかし内容としては極めて堅実な内容(特に南側について)だと思われます。この駅ビル建設と南北の駅前広場の再整備に加えて、東改札の新設も構想のテーブルに乗っています。ここまで大規模な再編の手が入れられるのであれば、柱も多く天井が低くて圧迫感のある西口も再整備が必要となるでしょう。阪急側が阪急神戸ビルの建て替えで劇的に変化を遂げれば、尚更、JR西口のリニューアルは必須となるでしょう。

いずれにせよ阪急の駅ビル建て替え以上に遥かに大規模となる事や駅周辺の在り方、動線等を大きく変える100年の計になる事は間違いありません。神戸市の関与する部分もかなりあるので、両者の連携と協働が必要です。

さてJRからの公式発表は一体いつになるでしょうか。



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POSTED COMMENT

  1. 読者 より:

    三宮のターミナビル楽しみですね。高さ規制が足かせにならないことを望んでいます。
    ポートライナーが限界になっている件ですが、個人的には神戸には海上アクセスがあっていると思います。中突堤までのアクセスを改善して、ポートアイランドとか空港へは中突堤辺りからの海上アクセスを利用出来るようにすれば、神戸らしくて良いのではないかと思っています。

  2. 夢想家 より:

    情報有難うございます。もう構想というより計画といって良いほど具体的になってきましたね。
    ①「新駅ビルは駅前広場西側を建設地として活用」に関しては想定の範囲内でしたが、通常であれば工期を2期に分け既存のターミナルビルを営業しながら、円形広場に先行して新ビルを建てる事が多いように思いますが、そうしなかったのは今回の再開発が大規模で、かつ三宮の表玄関を根底から作り変えるJR西の意気込みを感じます。
    ②「ポートライナー三宮駅を新駅ビル内に拡張」は現状のポートライナー駅を生かしながらの開発としては一番良いでしょうね。ポートライナー駅をフラワーロード脇まで拡張すれば、阪急や地下鉄との乗継がかなり改善されると思いますので、期待したいです。
    ③「駅北広場も拡張」はまだ10年以上先の話になると思われますので、今とは取り巻く経済環境もかなり変わっているはずです。大胆な発想で街づくりを含め構想を練ってほしいものです。

  3. hp より:

    すぐ隣に190m級のタワマンが建っているのにもう規制は意味がないように思います。
    商業、オフィス、ホテルのような内容で200m級の駅ビルになる事を願うばかりです。

  4. 匿名 より:

    三宮の場合、航空法による高さ制限が問題となってきます。
    伊丹空港から10km弱程離れた大阪駅周辺が170〜190m規制ですが、三宮の場合神戸空港までの距離が近いため、もう少し厳しい高さ制限となるでしょうね。

  5. chaoooi より:

     しばし神戸を離れてる者ですが、いつも神戸の「今」を発信してくださり誠にありがとうございます。いつも更新を楽しみにしております。

    ポートライナーの乗車率の話題ですが、今月に試験運行をしたBRTに期待がかかります。1分おきに運行も可能のようなので、混雑の緩和のなると思います。

    また三宮からメリケンパークに繋がる海フェスタルートもあるようで、コンパクトですが、歩くのにはやや不便な街、神戸にはピッタリのように思います。

  6. へんいち より:

    いつも拝見しています。
    ポートライナーが限界ならもう地下鉄に代えてほしいなぁとずっと夢想しています。
    西神山手線は三宮で分割し、三宮~西神中央線は阪急と直通。
    新神戸~三宮線は南伸し、新神戸~三宮~神戸港~ポーアイ~神戸空港を直結。
    ・(新)三宮駅:各線三宮駅と海岸線三宮花時計前駅の中間地点
    ・神戸港:ポートターミナル・フェリーターミナルに接続
    ・ポーアイ中央:みなとじま・市民広場の中間地点
    ・ポーアイ南:医療センター・京コンピュータ前の中間地点
    これが実現すれば、新幹線・JR線・私鉄線・船・飛行機のすべてが1本で結ばれ、神戸が他に類を見ない交通至便な街に躍進します。
    あわよくば、谷上以北は神鉄を有馬温泉まで改軌して直通、神戸空港以南は関空まで繋いでしまえば、恐ろしく豪華な南北筋の完成です。

  7. しん@こべるん より:

    海上アクセスは確かに神戸らしいのですが、利用者の利便性が伴わなければなりません。速くて便利なのはやはり鉄道となります。地下鉄の整備も構想としてはあるようです。

  8. しん@こべるん より:

    構想が現実的で具体的だとしっかり方向性が見えてきますね。そして次の一歩が描きやすい。いよいよ具体化に向けて全てが動き出しそうです。

  9. しん@こべるん より:

    あとは需要ですね。神戸の中ではJR駅ビルはこれ以上ない一等地ですので、シンボルタワーとして思いきりの良い計画にすべきですね。

  10. しん@こべるん より:

    梅田周辺は伊丹への着陸航路が上空に被るために厳しい高さ制限が課せられています。着陸態勢に入った航空機がより高度を下げて通る新大阪は更に厳しい100mまで制限が下げられています。しかし航路から外れた天王寺は伊丹からの距離は梅田とさほど変わらないのにハルカス建設以前も295mまで認めらていました。三宮の場合、上空は航路にはなっていますが、離着陸態勢に入った航空機が通る事はありませんので、航空法による梅田程の厳しい高さ制限は課されていません。

  11. 夢想家 より:

    こべるんさん。
    神戸空港への地下鉄整備構想というのが有るんですか?
    同じ市営のポートライナーと完全に競合するので、難しい面も有るかもしれませんが、どう延伸するのか興味が沸きますね。
    新神戸からの西神・山手線を三宮で分岐し、そのままポートアイランドに南下するのが理想的ですね。そうすれば地下鉄相互運転構想の有る阪急の、空港線への乗り入れの可能性も見えてきますね。
    梅田から神戸空港への直通特急が運行されれば、空港だけでなくポートアイランドも飛躍的に発展しそうです。大変夢の有る構想ですね。

  12. ユー より:

    初めまして
    現状の三ノ宮駅は大阪や京都に比べるとどうしてもターミナルではなく途中駅という印象が否めないので、この駅ビル建て替えには大いに期待しています。

    ポートライナーのホームを延伸とのことですが、いい機会ですので当初の計画通り新神戸までの路線延長も考えて見てはいいのではないでしょうか

  13. しん@こべるん より:

    BRTは認知度と発着場所次第かと思います。ポートライナーの混雑緩和の為にポーアイ行きのバスの運行が始められましたが、利用率は低迷してきたようです。

  14. ハコモノ行政 より:

    ポートライナーの8両化は既定路線として、空港以外の需要にすら十分には応えられないでしょう。
    そうなると、当然「定時性が有るバス」が必要になります。(連接である必要は無い)
    渋滞箇所を専用道か優先システムで確実に抜けられるかどうか、これが鍵です。
    まあ空港需要は湾岸線経由の大阪行きバスに任せてしまうという手も有りますが…

    地下鉄新設はコスト的に論外ですね。阪急阪神JRと直通するのなら、夢としては面白いですが。
    今は西神山手線の黒字と海岸線の赤字が釣り合っていますが、海岸線の償却が進んで
    黒字を計上せざるを得なくなった時に備えて、空港線新設を目論む感じでしょうか。

  15. カン より:

    神戸空港の高さ制限は、どなたかが書かれていましたが三宮地区にはかかりません。市内ではポーアイ南側に限定されます。
    航路上の明石大橋の主塔ですら330m以上有りますので、航路から外れた三ノ宮地区は航空法の規制外です。

    航空法以上に問題なのは、神戸市の景観規制条例です。あのデザイン性皆無な190m以上のマンションを許している一点を取っても、規制は既に機能していません。
    ナンセンスな規制に縛られることが最も大きな足枷となっています。相変わらず神戸市のやることはいちいちこんな感じです
    軌道に乗りつつある神戸空港の足を、OMこうべ自らベイシャトルの事故で引っ張りました。
    もはや三セクや市の外郭団体はシロアリであり寄生虫が如くです。
    自分の敵は自分です。自ら改革すること無しに神戸の発展はないものと心するべきです。

  16. しん@こべるん より:

    構想というレベルまでかは分かりませんが、神戸と関空を地下鉄で結ぶ案があり、これに三宮までを繋げるというものです。仰る通り山手線の三宮駅からの延伸がベストですね。

  17. しん@こべるん より:

    輸送力のあまり高くないポートライナーにこれ以上の大型投資は控え、より輸送力のある新交通を検討するというのも1つの案です。

  18. しん@こべるん より:

    定時バス運行についてはBRT専用の道路が整備できるのかどうかですね。発着場の選定も重要です。ポーアイ行きはこれまでもバス路線はあるものの定着に成功していません。

  19. しん@こべるん より:

    消防条例、景観条例、3セクへのだらしないお金の管理。発展阻害ばかり。今、80年代以来の大きな飛躍のチャンスが訪れようとしているこの機会に全て見直すべきですね。

  20. MK より:

    JR三ノ宮新駅ビルを高さ約250m級、バスターミナルビルを高さ約270m級、阪急百貨店+ヨドバシ再開発ビル(そごう神戸店跡地(現在は神戸阪急)、神戸国際会館)を高さ約240m、三ノ宮北口再開発を約220m〜300mを予想します。
    元町では神戸大丸を高さ約220m〜250mに建て替えを予想します。
    再開発を実現すると、渋谷や名古屋、札幌、新宿に近い摩天楼が実現する。

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