昨年9月に公募にて優先交渉権者が決定した須磨海浜水族園・海浜公園再整備事業。Park-PFI制度を活用して、一体的な総合シティリゾートへと再整備を行います。サンケイビルを代表とし、三菱倉庫、JR西日本、竹中工務店、芙蓉総合リース、阪神電鉄、グランビスタホテル&リゾートという錚々たる顔ぶれが揃った構成企業グループから公募設置等計画が提出され、神戸市はこれを認定しました。認定にあたり、再整備の内容が公表され、神戸須磨シーワールドを含む詳細な展示案等が明らかになりました。
全体施設配置計画図です。海の見える丘広場を中央に挟んでオルカスタジアムとイルカスタジアムが居を構え、イルカスタジアムの西側に魚類、アシカ、ペンギン棟となるアクアライブが整備されます。これらを中核集客施設の須磨シーワールドとし、東側にリゾートホテルを建設。敷地西端は既存の松林を保存しながら、公園内に複数の建物を整備する予定です。
この配置図をビジュアル化したのが、上記のパースです。
シーワールドの目玉は何と言ってもオルカ。シャチの飼育に物言いが付いたようですが、それを言い出したら、イルカも魚類も同じ話で、そもそも水族館や動物園の類を全て問題視する必要が生じます。そこまで議論を拡大するつもりがないのなら、そのような意見はそもそも言い出すべきではありません。シャチのいる水族館は千葉・鴨川と名古屋のみで、西日本には存在しない事もシャチ保有の水族館とする点は集客力を期待できます。オルカを眺めながら食事を楽しめるオルカレストラン、カフェを楽しめるオルカテラス、世界初となるシャチの教育施設オルラボ等、
イルカショーは既存の須磨水族館でも最も人気のある花形イベントですが、須磨シーワールドではオルカと二大看板になります。ショーや施設運営は鴨川シーワールドを運営するグランビスタホテル&リゾートが培われたノウハウを駆使します。
イルカスタジアム内にはイルカと触れ合えるエリア「イルカビーチ」も整備されるようです。加えて「イルカホール」では、横幅10m以上の水槽の前でイルカを観察し、イルカと海を漂うような没入感を感じることができる非日常空間が創出されます。
水族館にとってはやはりハイライトとして、大水槽も人気ゾーンとして外せません。現在のスマスイの大水槽も十分な迫力はありますが、やはり最新の水族館には見劣りします。個人的には大型のサメを見たいですね。
最新の展示方法にも期待大です。神戸では水族館、動物園に始まり、商業施設、駅、オフィスビル等、様々な施設において、20世紀からあまり更新されていないので、それぞれ古くなっているですが、極端に古い訳ではないので、目がそれに慣れてしまっていて、他都市の最新施設を訪れてその古さを感じる機会が多いです。反対に神戸を他都市から訪れると、期待のお洒落都市は何だか古くさいと感じさせてしまっている事になります。
アクアライブでは六甲水系・瀬戸内海の原風景を巨大なアマモ場の展示などで再現する「ローカルライフ」、太平洋・サンゴ礁を旅する「コーラルライフ」からなる魚類展示エリアが登場します。
生き物に触れ合う事のできるエリア「アクアラボ」も勿論出来ます。この他、ピラルクやチョウザメなど、現須磨海浜水族園が飼育してきた生物の一部を無料で展示する「須磨コレクション」を設けて市民に開放される予定です。
オルカやイルカの次に水族館のアイドルであるペンギンやアシカ・アザラシ・ウミガメの展示エリアもその造りに注目されます。
動きの活発なペンギンやアザラシ等は水中と水外での観察の両方を楽しめる展示が一般的ですが、人気水族館になるにはもう一捻りが必要です。
旭山動物園の奇跡の復活以降、全国の動物園、水族館のリニューアルブームが起き、各地に魅力の高まった施設が増えました。しかし水族館を一から建て替えるという好機はそう滅多にある事ではないので、最新の機材や展示手法を用いた最先端のライブ型水族館の誕生には大きな期待を寄せたいと思います。
オルカスタジアムとイルカスタジアムの間に整備される海の見える丘広場。盛り土された丘より潮風に吹かれながら須磨ビーチや瀬戸内海を望みます。
敷地東側(現イルカライブ館跡地)に整備される宿泊施設は地上7階建て80室(定員274名)となり、現在、海浜公園内にある国民宿舎であるシーパル須磨に代わり、「海への旅にいざなう価値体験型ホテル」をテーマとした『神戸須磨パークス&リゾーツホテル』として開業します。
円弧を描いた白亜のデザインのホテルは全室オーシャンビューを提供し、瀬戸内海は元より淡路島、明石海峡大橋、鉢伏山等の神戸のランドマーク達を満喫できる眺望が売りです。
加えて水槽付きプレミアムルームが6室備わります。
付加価値サービスとしてナイトアクアリウム等の体験プログラムも提供され、特別な宿泊体験が可能な施設となります。宿泊者以外の来館者にも瀬戸内海の魚介類、神戸牛や神戸ワインなどの神戸ブランド、淡路の食材など、地産地消にこだわったフード&ビバレッジが楽しめる「せとうちハーバーレストラン」も開業予定です。
駐車場は901台の新設立体駐車場や臨時駐車場を含め、1280台分を用意します。
松の杜ビレッジは松林の約7割を保存し、内部にパークコンシェルジュ棟に加えて、にぎわい施設となる松林の高さを超えない3棟の建物を建設します。
ヴィレッジA棟は、子育て世代を対象に、子どもたちの遊びと学びの拠点をテーマとし、子ども向けブック&カフェ、子育て支援・知育スタジオ等の施設が入る予定です。ヴィレッジB棟は、アウトドア、キャンプをテーマとし、キャンプ体験レストラン、グランピング体験施設等が計画されています。
ヴィレッジC棟は、海の街にたたずむボートハウスをイメージし、上質なメニューが楽しめるレストランカフェとなる予定です。
今後のスケジュールですが、シーワールド、ホテルのオープンは2024年3月末。現在の水族園で飼育されている3万点の生き物の内、9割は継続飼育される予定です。水族館の設計は竹中工務店ですが、その他の施設は全て浅井謙建築設計事務所単独もしくは共同設計というのも期待を寄せる点の一つです。想定年間来場者数は初年度440万人、安定期で390万人。須磨ヨットハーバー、須磨海づり公園、須磨浦公園等の地域のにぎわい拠点やハーバーランドとの水上連携も模索されるようです。当初、考えられていた三宮新港町に新設される円型水族館との連携は取り止められたのでしょうか。いずれにせよここ10年の間に広域圏もしくは近畿圏において神戸に足を運びたいと思わせる施設の新設はあんぱんまんミュージアム位でしょうか。この施設はある意味、IR以上の破壊力を持つ可能性を秘めています。そのポテンシャルを理解したからこそ構成企業の顔ぶれがそれを表しています。三宮再整備、神戸空港、須磨シーワールドの3大プロジェクトが神戸の将来を大きく変えるかもしれません。
交通インフラ以外で最も期待する計画です。夢があり周辺観光地との相乗効果も望める再開発だと思います。
何よりもスピーディーで完成までの道筋がはっきりと見えている民活導入のお手本ですね。
規制を緩和し民間の自由な発想に任せるとこれだけの計画を立ち上げてくれる。これは中心市街地でも同じ事、この事実を神戸市はもっと理解すべきです。硬直化した景観審議会の頭ではこんなプランはとても描けないと思います。
景観審議会が関わらなければ神戸最強説はあるように思います。
須磨水族園の再開発案件は、最近の神戸の再開発の中で唯一安心して経過を観察できる案件であると私は感じています。
構成企業グループをみても、企業側の本気さが伝わってきます。
須磨から舞子にかけての海岸沿いは美しい景色が続いていますが、意外にもこれまであまり観光の呼び込みがされていなかったので神戸須磨シーワールドへの期待は大きいです。
オルカショーが見れるのはうれしいですね。
以前から須磨水族園のイルカショーは、イルカの研究をなさっての方からの評価も高いと聞いたことがありますので、オルカでもその力量を存分に生かしてほしいです。
気になっている点は2つあります。
一つ目は交通です。
須磨という立地は神戸市内や明石などからはそれほど遠いように感じませんが、大阪方面からは遠く感じます。
JR須磨海浜公園駅は快速が停車するわけでもないので、遠方からの交通はバスや自家用車がメインになるでしょうか(関空などからの直通バスなどの検討はあるのでしょうか)。
大阪の夢洲のIR候補地は関空からの高速船で結ばれるようですし、さらのUSJ、海遊館との海上交通での接続もあるようです。
せっかくの海辺の施設なので、上記海上交通網の誘致を検討してみるのもいいと考えています。
神戸空港からの海上アクセスもあり得るのですが、発着数の規制緩和状況や国際空港化の是非を見定めてからでなければ経済的に成り立たない可能性もありますので注意が必要です。
関空―夢洲に高速船、万博前の開業目指す…近鉄
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20200102-OYT1T50003/
二つ目は入場料です。
これは以前の神戸須磨シーワルド構想の記事内でもコメントがあったと思いますが、少々お高い感じがします。
大人料金を比較すると、海遊館が2300円、ニフレルが2000円、京都水族館が2050円ですので、神戸須磨シーワールドの3100円は思い切った値段です。
南紀白浜アドベンチャーワールドの4500円の例もありますのでありえない数字ではないのですが。
総水量は、海遊館をしのぐものの名古屋港水族館(大人2030円)には劣るようですので、やはりもう少し安くしてほしいところです。
「気軽に行ける市営施設」ではなく、「リゾート施設の一環」というイメージチェンジも兼ねているのかもしれません。
須磨シーワールドの3100円のモデルになる水族館は、鴨川シーワールド(同じ運営会社且つ同じようにシャチのショーをする) その鴨川シーワールドはすでに3000円で成功しているので理屈では決して無理な料金ではないと思います。
それ以上の施設ができそうなので大いに期待しています。
須磨の水族園がリニューアルすると思うと高いですが、全く新しいテーマパークができると思えば3100円も納得です。
アクセスの心配ですが、湾岸線西伸部の計画図を見ると、丁度テーマパークの海側を通っているように見えるので、東から車で来る方には従来の阪神高速プラス湾岸線を予定しているのかもしれません。西から来る車は須磨塩屋間の狭い2号線はとても通れないので やはり湾岸線(走るのは山間部かも)予定なのかも。須磨塩屋垂水は街中の南北の交通が不便なので今のままではダメでしょう。
電車は、須磨海浜公園にまで快速を止めてしまうと、ますます新長田に止まらなくなりそうで個人的には嬉しくは無いですが、快速停車しか無いと思います。
このテーマパークから明石海峡大橋まで繋がる観光地にして欲しいです。
須磨海岸、須磨寺、須磨浦公園、須磨離宮公園、奥須磨公園、須磨と平磯の海釣り公園、平磯スポーツガーデン、マリンピア神戸、アジュール舞子、明石海峡大橋、大蔵海岸に、須磨シーワールドと明石漁港の再開発、そして明石公園を候補地としたアリーナ構想が実現したら、西部の湾岸一帯は国内有数の観光・レジャー・スポーツ・ショッピングの拠点へと成長できそうで楽しみですね。
これだけ豊富な資源を抱えているのに現状は活用できていないですから。例えば須磨海釣り公園は外向きを通常の釣台とし、内側は海上釣り堀として別料金で楽しめるようにすると集客は増えるだろうし、山上遊園も工夫すると集客施設として成長させることはできるだろう、例えば須磨カーレーターをジェットコースターにして逆落とし体験とか…怒られるかな(笑)。
いろいろアイデア浮かんで面白いけどなぁ。今の状況勿体ないので是非各施設と上手くリンクさせて欲しいと思います。
わたしは以前に神戸市のパブコメで新港地区にスマスイとは違ったイルカやアシカなどの水族動物ショー中心のエンタメ施設を提案したことがあります。それが新港地区の水族施設と、今回のスマスイ建て替えのアイデアにつながったなら嬉しいと思います。
けっこう、みなと総局などは前向きにパブコメ意見に取り組んでいると思うんですよね。問題なのはこういったエンターテイメント事業に前向きに取り組めない市議会と支持者に媚びる市長の存在と思えます。
わたしはインバウンド含め観光面で神戸の長所は中長期滞在型リゾートとしての魅力と思っています。以前に激論が交わされた神戸観光議論で言われていた神戸に決定的に足りないもの、和の風味こそ欠けますが、山と海、港と空港、新幹線、北神戸の農村風景、そして近隣淡路島のリゾートとして価値は素晴らしく商業プロデューサーに任せれば京都、大阪を凌ぐ観光都市に成長できるはずです。
今、神戸新聞が煽っているスマスイ値下げに関しては、今後王子動物園がリニューアルになる際に(そう遠くない将来になると思います)、市が経営する動物と水族の総合エンターテイメント施設になればいいと思っています。
kkbbさま
> 神戸新聞が煽っているスマスイ値下げ
なるほど、神戸新聞が神戸須磨シーワールドの入場料が高いと煽っていたんですね。
神戸新聞を見ていなかったのでわかりませんでした。
「なんでコメント欄でこんなに入場料3100円のことをタブー視してるの?」って不思議に思っていました。
ただやはり3100円だと、うちの家計的に訪れることはないかもしれません(TT)
それでも上でコメントしたように、須磨から舞子、さらには淡路島や明石一帯は観光資源となる非常に美しい景色が広がっています。
ぜひとも活用して、神戸の観光・再開発の目玉になってほしいです。
完成が楽しみですね。
唯一の心配は組体操市長が全く乗り気ではない事です。
お得意の規制発動で新港町の円形水族館のようにスケールダウンした二の舞にならない事を祈ります。
まあこれだけの企業連合が具体的な計画したんですから
組み体操市長も手が出せないでしょ
というか、なぜかこの水族館に関しては
珍しく肯定的な発言してたように思います
ついにシーパル須磨の解体が始まり仮囲いが設置されましたね。水族園の解体も近く始まるでしょう。須磨シーワールド構想が一気に近づいてきましたね。