兵庫県下最大の売場面積を有する大型店となる新たなユニクロ神戸三宮店。3月29日(金)のオープンに向けて内装工事が急ピッチで進行しています。
神戸マルイに隣接し、スタイルプラザと旧三和グランプリビル跡地に建設された新たなビルをドッキングして増床したビルの1-5階の5フロアに1,800平方メートルの売場面積を設けます。
ユニクロとしては、再開発の進む三宮駅により近いロケーションにより大きな店舗をする事で効率良く集客ができるよう配置する事で、売上を伸ばす戦略を採用したと思われます。
新築部分の内装工事の様子です。工期は残り約1.5ヶ月。
三宮センター街の入口付近の大型出店という事で神戸マルイと共に相乗効果を期待できるという事も考えられるでしょう。
しかし今回のユニクロ出店劇は近い将来に予想される駅前シフトの動きの一環という側面も考えられるものと思われます。
今回のスタイルプラザへの出店に伴い、ユニクロは同じく三宮センター街内にある既存のユニクロ神戸三宮店と元町店を閉店の上、新店に集約するという選択をしました。
三宮センター街は現在も有力テナントが最も多く集う最大のショッピングエリアですが、今後、JR三ノ宮駅ビルや雲井通のバスターミナルビル、新市役所2号館が完成すると、多くの有力テナントがこれらの駅前大型商業施設内に移転する可能性があります。
三宮センター街では、かねてより三宮サン・センタープラザや防災ビル等の大型再開発ビルの老朽化が懸念されており、建て替えに関する検討が行われてきましたが、コロナ禍も挟んだ事で、議論は進んでいないようです。
その間もビル内には上階や内部を中心に空テナントが増えており、三宮自体の集客力低下も手伝って県下最大の繁華街・三宮センター街の神通力も盤石ではない事が浮き彫りになり始めています。
神戸阪急のリニューアルによって、三宮センター街内にあったロクシタンは同百貨店に移転。無印良品も大型店を同百貨店内にオープン。三宮駅前エリアへのシフトが徐々に進み始めています。
サン・センタープラザ内には多くの地権者が存在し、建て替えへの合意形成は至難の業と言われて久しいですが、駅前シフトによる空洞化が本格化すると、現在の三宮センター街の優位性は著しく後退する恐れがあります。
しかし大きな変化は結局は外圧によってのみ起こされる事を我々は知っています。例えは大きいですが、黒船来航によって明治維新が起き、神戸港の発展に繋がりました。
三宮センター街も駅前シフトが現実化してくる事で、ようやく本格的で抜本的な対応策を検討せざるを得なくなるのではないかと思われます。エリア内に複数の物件や土地を保有する安田不動産にはそうした際に意見を集約し、包括的な再開発を進めるリーダーシップが求められ、またこれだけの広大なエリアのマネジメントには他デベロッパーの協力も不可欠かと思うので、調整役としての役割も重要になってくるでしょう。