三宮再整備

神戸市が都心・三宮再整備の全体事業費および経済効果報告書を公式発表



先週、神戸市長が市会にて明らかにした都心・三宮再整備に関する投資額とその経済効果について神戸市は報告書を公式発表しました。その内容は基本的に市長の発表であった官民合わせて2050年までに7,440億円の投資を見込み、その経済効果は1兆1,000億円の試算となっています。



報告書には上記の全体事業の内訳表が掲載されています。雲井通5丁目再開発のバスターミナルビルI期の総事業費1,000億は市の負担分も合わせてその総額が民間事業費として組み込まれいたりと、いまいち民間事業と公共事業の棲み分け定義がはっきりしない感があります。民間事業費の総額6,360億円の内、880億円は市の負担分のようです。よって純粋な民間投資の試算額は5,480億円となります。



上記は2030年度頃までの主な公共事業・民間事業の位置図です。殆どの事業は既知の計画ばかりですが、一点、民間開発事業として三宮センター街付近を示す開発計画を記載している点は気になります。指し示している位置は関電不動産開発の三宮町1丁目プロジェクトの計画地ですが、この計画のみをピックアップする意図は何でしょうか。



報告書は経済効果についても詳細を示しています。三宮再整備によって新たなオフィスやホテル、商業施設、公共施設の誕生により、76,000人の雇用も生み出し、市税に関しても年間60億円の税収が創出されると試算されています。

再整備によって来街者は増加します。何もしなければ拠点性や求心力を失い、来訪者は減少する事を示しています。特に出張、観光による来訪者は再整備によって飛躍的に増加するとしています。



従業者数についても同じ傾向です。



三宮再整備が実現していくと、現在、三宮は1日75万人が利用するターミナルですが、100万人突破も視野に入ってくるでしょう。神戸空港や大阪湾岸道路西伸による波及効果も加わると、更に拠点力は高まります。三宮への集積は元町や神戸での対抗投資も引き出し、都心全体の競争力向上と底上げにも寄与し、ひいては都市間競争における優位性へと結びつきます。寧ろこの段階において何もしていない都市は皆無です。何かをする事ではマイナスをゼロにするのみで、それ以上やらないとプラスにはなりません。しかし今回の試算はあくまでも市の構想なので、この通りに民間から投資を引き出せるよう施策による対応を行わなければ、絵に描いた餅にしかなりません。
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POSTED COMMENT

  1. sirokuma より:

    本来なら期待で沸き立つような発表なのでしょうが、皆さんスルーですね(笑)。
    そりゃそうですね、10年後なら解りますが30年先の予測ですから絵に描いた餅でしょう。
    この資料をざざっと読みましたが、コロナの影響は置くとしても???が頭いっぱいに広がります。
    上文で引用されている経済効果は、これらの整備に支出される建設資金投資に伴う経済効果で、三宮再整備後(2050年)の予測は、以下のようです。
    ●来訪者数・従業員の増加
    観光・出張…約98万人/年
    日常の買い物等…約329万人/年
    従業者…約35,000人
    ●ここから生み出される経済波及効果
    観光・出張…1250億円/年
    日常の買い物等…400億円/年
    従業者による効果…950億円/年
    ●整備後の波及効果
    経済波及効果…毎年2,600億円
    雇用効果…毎年16,400人
    市の税収効果…毎年90億円

    この資料の中で神戸市の推定人口は30年後には30万人減の124万人とされています。神戸市は都心部の居住者を抑制し、同時に辺境部への居住も抑制し、郊外の複数拠点周辺へ居住者を誘導するコンパクトシティを目指していると思うのですが、そんなことをやっていて現状の雇用を守り、人口が減少する中で更に35,000人の雇用を産めるのでしょうか?この数値が達成できるのか疑問ですし、大阪・阪神間・政令指定都市を目指す姫路市等との都市間競争も考慮するとどうなるか解らないですね。
    また、老朽化した都心部のビル建替が促進されると期待していますが、今、ビル建替に関し、神戸市は逆行し続けています。こべるんさんがご指摘の通り政策の伴わない発表では期待は産まれないのです。
    今、コロナ禍により景気後退はリーマンショックを超え史上最悪になるとも囁かれています。まさに一寸先は闇でこの予測も最悪のタイミングで出されることになりました。しかし、コロナ以前にすでに景気後退を囁く声はありました。神戸市は、すべてが遅すぎます。読書好きで国立音楽大学教授でピアニストの奥様を持つ市長が唯一決断とスピードを発揮したのは市内各地の市区庁舎建替えと周辺整備に図書館と音楽・多目的ホール建設を盛り込んだことでしょう。図書館の内容は全く不明ですが、AI時代に向けた仕組み工夫はあるのでしょうか?折角の投資も従来の延長線上では時代に対応できず陳腐化するばかりだと思います。
    今、神戸市が必要とするリーダーは、徹底した行政改革と民間活力を最大限に呼び込む政策立案能力と実行力を持った人だと改めて思いました。

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