特集・シリーズ

神戸市が令和5年度の予算案を発表 Part1 三宮駅周辺における重点投資項目



今年も2月10日(金)に久元市長が会見を開き、令和5年度の神戸市予算案について発表を行いました。脱コロナが進み始め、経済情勢も正常化に向かいつつあり、訪日客によるインバウンド消費も回復途上にある中、新年度予算案も「海と⼭が育むグローバル貢献都市の実現」の基本コンセプトを継続して掲げ、前年度とほぼ同額の1.88兆円の予算編成を計上を予定しました。かなりの予算案が今年度に既に着手済みの項目を継続しており、都心三宮・ウォーターフロント地区の再整備やリノベーション・神戸の拠点駅周辺再整備、王子公園や須磨海浜公園周辺の再整備に加え、いよいよ神戸空港国際化に向けた施設や交通アクセスについても本格的に取り組む内容になっています。それではまず最初は我々が最も高い関心を払っている三宮駅周辺の再整備からその詳細を確認していきましょう。


三宮駅周辺エリアへの投資

バスターミナルビル関連



新バスターミナル整備に向けた事業化の推進 30.42億円
  • 雲井通5丁地区I期再開発事業への⽀援(新築工事着手)
  • 雲井通6丁目地区Ⅱ期事業の検討
新・神⼾⽂化ホールの整備 38.36億円
  • 多目的スペース等を備えた大ホール(1,800席)の整備
  • 舞台芸術・運営企画の専門人材を活用した管理運営計画の検討
新三宮図書館の整備 0.3億円
  • 内装・書架等の設計
再開発地区内の既存建物の解体が進行中の雲井通5丁目再開発によるバスターミナルI期ビル。いよいよ7月より新築建物の建設工事に着手し、27年度の完成を目指します。

I期ビル内に整備される新・神戸文化大ホールに対して昨年と同額の40億円近い予算が充てられてましたが、恐らく昨年からの繰越かと思われます。またII期の事業化についても本格検討及び事業協力者の選定も進めなければなりません。II期地区は、I期地区の完成と同時の27年に着工予定です。

神戸空港国際化はII期地区の開発内容にも大きく影響を与える事になりそうです。

三宮駅前周辺再整備関連



三宮クロススクエア(第1段階)の実現に向けた事業の推進 4.17億円
  • 三宮北交差点、春日野交差点、市道梅香浜辺通脇浜線の改良
  • 三宮クロススクエア(第1段階)の設計
三宮クロススクエアの実現に向けた準備工事として、三宮北交差点、春日野交差点、市道梅香浜辺通脇浜線の改良が進められますが、更にはいよいよ三宮クロススクエア(第1段階)の設計作業に着手します。

JR新駅ビル建設に伴う周辺の再整備 1.75億円
  • JR新駅ビル工事に伴う駅前周辺関連工事
三宮クロススクエアの第1段階はJR新駅ビルの建設と歩調を合わせて進められますが、周辺道路の再整備もこれに含まれます。道路整備には地中に埋まる老朽化したインフラの更新や移設等も実施する必要があり、これらを準備工事として先行する模様です。

三宮駅周辺歩行者デッキの整備 6.78億円


  • 新バスターミナル周辺デッキの整備(23年度工事着手)
  • JR新駅ビル周辺デッキの整備(設計)
バスターミナルビルと新駅ビルを結ぶ東西方向の歩行者デッキが計画されていますが、いよいよバスターミナルビルの周辺からデッキの整備工事に着手するようです。また駅ビル周辺のデッキについても設計作業を開始します。

今年は夏から新駅ビルやバスターミナルビルの建設工事がいよいよ開始されます。三宮駅周辺の二大ランドマークタワーの出現に向けた本格的な開発がスタートするに伴い、周辺再整備も含めて、駅南側が大きな変革期に入っていきます。

三宮の地下空間の再整備 17.19億円


  • さんちかの再整備(24年度工事完了予定)
  • 三宮駅西線(西神・山手線三宮駅~さんちか1番街)の再整備(23年度設計)
  • 地下鉄三宮駅東コンコースのリニューアル(24年度中完了予定)
閉館したさんちか1・2番街ですが、2番街についてはリニューアル工事が遂に本格化しました。来年度には完成を予定しています。また1番街と地下鉄三宮駅方面への動線改良工事については設計を開始します。また連絡する地下鉄三宮駅東コンコースのリニューアルも着工し、24年度の完成を目指します。

三宮駅周辺のその他再整備 1.31億円


  • サンセンタープラザ等の再整備検討支援

  • エリアマネジメントの推進
  • 葺合南37号線(神戸阪急本館南側道路)のにぎわい創出
  • 自然を感じる風景を創出するための草花植栽の試行実施
サンセンタープラザの再整備については検討支援を継続しています。毎年、数千万円単位で予算が計上されていますが、具体的にどのような再整備検討が行われたのか明らかにして欲しいと思います。

この他、新規で計上された項目に葺合南37号線のにぎわい創出があります。神戸阪急本館と別館を隔てる道路ですが、てっきり阪急が保有する私道かと思っていましたが、市道だったようです。神戸阪急新館が通りに面してブルーボトルコーヒーを誘致したり、路面店を開設した為、殺風景なこの通りの再整備の必要性が生じていました。

三宮再開発の本丸を担うプロジェクトが始動する2023年度。都心エリアの玄関口としてますます重要性を増す為、積極的な攻めの投資が継続的に必要とされます。
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2022年の神戸はこうなる!三宮再整備主要事業や民間開発プロジェクトの完成相次ぐ 複数の大規模開発も満を持して始動

2022年1月3日
こべるん ~変化していく神戸~
新たな年の幕が開けました。2022年も昨年に引き続いて、大きな変革の年となりそうです。進行形の複数プロジェクトが完成を迎える他、大型再開 …

POSTED COMMENT

  1. COCO より:

    ウォーターフロントやJR駅周りの整備が終わったら次のフェーズとしてぜひセンタープラザ、阪急建て替えも期待したいですね。
    山側では、旧ハンター住宅の北野町への移築の具体的検討に予算が充てられているのに驚きました。
    北野町にかつてあった異人館を再移築して集約するのはよい試みかと期待してます。ポーアイに移築したのも一緒に検討して欲しいところです。

  2. kobekko より:

    市のホームページに上がっている資料も見てみました。
    https://www.city.kobe.lg.jp/documents/60529/20230210.pdf

    記事のPart2で解説されるのかもしれませんが、57ページ
    >・新交通三宮駅のホーム拡張
       2023年度 設計
       2024年度 工事
       2027年度 供用開始

    神戸空港へのアクセス強化の話も(地下鉄の検討はポーズとしてするけど)
    結論はポートライナーの8両化で済ませることになるのでしょうかね?
    だとしたら残念です。


    それと記事に貼り付けられた「新たな姿が現れつつある都心・三宮」の図の左端に
    電車のイラストで“神戸駅へ延伸”と書かれていますが、
    資料のほうで拡大して見るとこれ、連節バスなんですね。
    一瞬ですが、神鉄を(新開地から)神戸駅まで延伸か!とバカなことを想像してしまいましたw

  3. kobekko より:

    もう1点、資料の48ページ
    >・新たな産業団地の調査、設計(西神戸ゴルフ場)

    知りませんでしたが、西神戸ゴルフ場は廃止する話があるのですね。
    https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202105/0014322453.shtml


    この話に絡めてむりやり鉄道の話に持って行きますが、
    産業団地などの造成に活躍した須磨ベルトコンベア跡地の地下トンネル
    https://www.kobe-np.co.jp/news/monthly/news/suma/201909/img/a_12708395.jpg
    を鉄道用に拡張整備して神鉄の木津駅から西神山手線の総合運動公園まで地下鉄を作る
    https://i.imgur.com/yulL6WB.jpg
    というような計画を神戸市は立案しませんかね?

    そう遠くない将来に神鉄が粟生線(西鈴蘭台より西の部分)の
    運営をあきらめる可能性は否定できない状態なので、その時に
    沿線地域の維持のために神戸市や兵庫県が路線を引き取って
    継続させるというシナリオはあり得るかと。
    路線形としては、神鉄有馬線に対する北神急行線の粟生線バージョンですね。

    シンプルにやるなら神鉄と同じ狭軌で直通延伸し、
    総合運動公園で西神山手線乗り換えが良いでしょう。
    ゴルフ場跡地の産業団地にももちろん駅を設けます。

    よりアグレッシブに行くなら、
    小回りが利いて急勾配にも強い海岸線仕様(リニアメトロ)で、
    木津から総合運動公園のさらに南へ県道488に沿って垂水駅まで。
    ここまでくると、完全に妄想ですけどね(笑)

  4. KRT より:

    >>kobekkoさん
    >>神戸空港へのアクセス強化の話も(地下鉄の検討はポーズとしてするけど)
    結論はポートライナーの8両化で済ませることになるのでしょうかね?
    だとしたら残念です。

    三宮駅の拡張は分岐器側に向けてわずかなスペースを拡張するだけですので、そのままでは8両編成は入れません。(こべるんさんにもこの件の記事あります)
    ホームを伸ばすにはJR新駅ビル側に拡張する必要がありますが、その分のスペースを空けてもらえるかは不透明な上にデカいキャリーを持った2人分のスペースを持つ空港利用客を2両増結で捌ききれるとは思えません。
    (関空などに行くと分かりますが、旅行客が持っているキャリーケースは大人が入れるくらい大きいです)
    ターミナルビルをたった2年で作るというスピード感ですので、早ければ今年中に調査結果が出るのではないかと思います。
    私としても地下鉄空港線ができるといいなと思っていますが…反対派の議員に潰されないことを祈るのみです。

    それはそれとして、空港のイメージ図を見るとさらに平面駐車場を拡張するみたいですね…。
    なんとももったいない使い方だなぁと思います。立駐にして空きスペースにホテル建てた方が絶対に良いと思うんですけどね。。

    • kobekko より:

      KRTさん、ありがとうございます。
      自分でも気づいて自分自身の発言へコメントしたあとで、
      KRTさんのご返信が反映されて、読ませて貰ったところです。

      私も莫大な建設費に対して市の財政負担を考えると相当難しいだろうなあ、
      と頭の隅で思いつつも、地下鉄空港線が実現することを期待している一人です。

  5. KRT より:

    kobekkoさん
    入れ違いでのコメント、大変失礼いたしました。

    空港線について少しポジティブな意見を述べておくと、神戸市は過去に中央線を計画していた時期があり、完全にゼロからの検討になるわけではありません。
    もちろんその時代から街や情勢は変化しているため、すべてを再利用することが出来ませんがある程度の調査記録は残っていると思われます。
    また、最近は建設技術も高度なものになっており、これから建設が始まる東京の地下鉄や、福岡の七隈線延伸の記録から見ても2023年度中に事業化を決めるのであれば早くて2030年代前半には完成すると思います。

    私鉄乗り入れについても、阪急は地下化しないといけないので莫大な工事が必要ですが、阪神ですともともと地下ですし、なんば線を除いて6両ですので地下鉄と規格も合わせやすそうですね。空港から直接梅田・難波・奈良に行けるのは伊丹にはない強みだと思います。

    神戸市がどのような決断を下すのかは分かりませんが、以前の株式会社神戸市のごとく勢いづいてくれると市民としてはうれしいですね。

    • kobekko より:

      KRTさん、ありがとうございます。
      コメント行き違いはお互いさまです、こちらこそ失礼しました。

      もし地下鉄空港線を作るとした場合の他社直通乗り入れについて
      思うところを書いてみます。


      JR阪急阪神のいずれも巨額の工事費をかけ
      90度ターンによる南向きの支線を作り
      神戸空港への直通乗り入れを行って採算がとれる(投資に見合う)
      とは露ほども思っていないでしょう。

      ですので、国際化で増えた空港客を
      方法は何でもいいので神戸市がとにかく三宮まで運んできてくれればそれでいい
      という「果報は寝て待て」作戦が3社にとっては正解です。

      ※3社の三宮での現状シェアを見るに、大金を投じて直通化し
      囲い込みをかけても独り勝ちは難しい。
      (三宮-空港の直通は、他社を追い落としての客の囲い込みです)

      何とかして神戸空港へ直通乗り入れしようという気を起こさせるには
      国が介入して
      「関西3空港問題は国家プロジェクト認定し、神戸空港を最優先とする」
      くらいのことを言わないと無理でしょう。

      でも国がそんなこと言うはずが無いし、
      万が一言ったら言ったで、関西広域連合自治体が猛反発して
      逆に神戸市が孤立するだけのオチになりそうです。

      結局、空港線は神戸市が独力で作るしかない。
      となると費用的に見て神戸市には海岸線を延伸させて作る手しかない。

      ただ花時計前駅では海岸線の負けフラグが立ったままなのでリセットするためにも
      ターミナルは西神山手線三宮駅の地下4階に設け
      現行の海岸線にも経路変更をかけて引き込む(ここだけちょっと我儘言ってみました)

      そして神戸空港は地下鉄10分三宮で鉄道3社と乗り換えも便利だ
      との評価を地道に積み上げて建設費をコツコツと償還していくしかない。

      私はそう考えます。

      • kobekko より:

        図を書いてみました。
        https://i.imgur.com/0iLDKSU.jpg

        最初に赤線部分をつくり、海岸線の経路変更を済ませます。
        他社線と乗り換えし易い場所へ駅を移動させた段階で
        海岸線利用客数に増加傾向が見られたら幸先良いのですが・・・。
        (増加を見込んで三宮駅ホームも大きめに書いておきました)
        その後、青線部分の空港線を繋げます。

        この配線で、
        ・新長田-神戸空港の直通運転(※三宮でスイッチバック運転)
        ・三宮駅折り返しによる海岸線/空港線を系統分離した運転
        のどちらも可能です。

        なお空港線車両が海岸線に入れるということで御崎の車両基地が使えます。
        空港島に新たに作る必要はありません。

        あと、実現の見込みは薄いですが、
        新神戸への直通延伸も緑線部分で書き加えておきました。
        新神戸以遠は市バス2系統の経路で神戸大の近く六甲登山口交差点辺りまで延ばして
        三宮六甲線、略称:三六線(さんろくせん→山麓線)と命名するのが良いでしょう。

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