王子公園再整備

王子公園再整備基本計画(素案)が公開される 市民からの意見を公募 2030年までに第1フェーズ完成



神戸市はこれまで検討を重ねてきた王子公園の再整備計画について、基本計画案(素案)がまとまった為、これを公表し、市民からの意見公募を開始すると発表しました。

基本計画で示された園内のレイアウトはこれまでの検討案に沿って、東側の現在のスタジアムを中心としたスポーツゾーンに大学を誘致。既に関西学院大学が優先交渉権者として決定しています。スポーツゾーンは代わりに王子動物園の北側に再配置。現在の桜の通り抜けをシンボルプロムナードとして再整備し、南側の平面駐車場付近には「緑の広場」を整備。代わりに大学の北側に立体駐車場を建設して、駐車スペースを確保。動物園については、同じ場所でエリア毎に順次、リニューアルを進めていく形を採る計画です。

 

エントランスゾーン「緑の広場」



阪急王子公園駅からアクセスする場合のエントランスエリアとなる「緑の広場」。動物園へのゲートへと誘うプロムナードの役割も果たします。



その中心となる芝生広場にはシンボルツリーや子供が夏場に遊べる親水空間が設けられ、動物園、スポーツゾーン、大学ゾーンへの連絡エリアが緑豊かな賑わいゾーンとして整備される事になります。このエントランスエリアは約1ヘクタールの大きさを誇ります。



キッチンカーや遊具等の導入も図り、常に賑わいを感じられ、駅、大学、動物園につながる公園と一体的で高質な空間とにぎわいの創出を図ります。

 

シンボルプロムナードと川沿い園地・緑豊かな南北動線



両サイドに桜並木を抱えるシンボルプロムナード。動物園・スポーツゾーンと大学ゾーンを隔てる中心ストリートとして南北動線を司ります。現在の桜の通り抜けに、更に新たな桜の木を植樹して、通り抜けルートの拡大を図る計画となっています。



また東側の青谷川沿いは「川沿い園地」を整備。見通しを改善し、休憩施設や歩きやすい園路を設置する他、夜間も安全・安心して歩けるよう照明設備も充実させた憩いの動線とします。

 

500台の収容を想定した立体駐車場棟



現在の王子公園の平面駐車場のキャパシティは390台ですが、新たに建設される立体駐車場棟では500台の収容キャパシティーを想定しているようです。建物意匠は緑豊かな園地内の建物としての融合を掲げ、壁面緑化等を導入します。



建物は2棟構成で、北棟と南棟に分かれ、南棟の屋上にはテニスコートも整備します。駐車場へのアプローチは大学の北側に整備し、駐車場から大学、動物園、スポーツゾーンへのアクセスも容易になるよう設計されます。

 

新スタジアムを中心としたスポーツゾーン



スポーツゾーンのシンボルは新たに建設されるスタジアム。これに加えて「みんなの広場」や多目的広場をスタジアム周辺に配置する他、登山研修所等、王子公園ならではの施設の整備も検討されます。



みんなの広場には、大型遊具やバスケットボールコート等を整備し、近隣や広域からも訪れたくなるような空間となるよう検討が行われます。

 

分かりやすいゾーニングを導入した動物園リニューアル



王子動物園のリニューアルにあたっては、動物が生息する地域と気候風土との関連を理解しやすいよう地域ごとに動物を集約したゾーンや、動物種の分類に着目したゾーンを設定し、ストーリー性のある観覧ルートが検討されています。

また園内には遊びの広場、賑わいの広場、憩いの広場、学びの広場、エントランス広場を整備し、来園者の休憩場所や遊び場も確保します。既存の動物化学資料館もリニューアルを予定。



昨今の動物園の人気の優越を左右するのは、動物の展示方法です。そのユニークさと斬新さで一躍人気を博した北海道・旭川市の旭山動物園がその最たる例です。後発となる王子動物園はこれら人気動物園の展示方法をよく研究・参考にして、話題となる動物園へのリニューアルが図られるべきです。具体的な方法は検討が行われていると思われますが、是非とも注目を集める展示を目指して欲しいですね。



一点気になるのは、一度は廃止とされながらも継続営業に転換された遊園地について、今回の基本計画上は一切触れられていない事です。前述の動物園内のゾーン配置図上では、現在の遊園地エリアは、世界の霊長類ゾーンになっています。

 

再整備スケジュール



再整備のスケジュール案です。動物園のリニューアルは2期に分けて進められる計画です。第1フェーズでは、サバンナ・爬虫類ゾーン等の西側から開始され、その後、エントランスゾーン、アジアゾーンと半時計周りに整備を進めていき、2030年までにこのフェーズを完成させます。それ以外のスペースは2031~2045年に掛けて、長期に渡っての整備を行っていくかなりの長期プランとなっています。遊園地については当面は継続するが、将来的には廃止という事になるのでしょうか。

スポーツゾーン、公園施設、大学等の動物園以外のエリアは概ね2030年までの完成を想定しています。



王子公園の再整備は全体で330億円の事業費を想定していますが、第1フェーズを終える2030年までに投じられる事業費は260億円。現在の園地東側3ヘクタールは関西学院大学に100億円で譲渡される為、実際には160億円の投入となります。



今回の基本計画内にはこれまであったレストランや飲食店等の集客施設の導入有無についての記述もありませんでした。これらの施設については、PFI方式の導入等によって整備を検討して欲しいと思います。

ただ動物園のリニューアル完成目標設定が2045年と、22年も先である点は意見が分かれる事になりそうです。王子動物園の来園者数は年間120~130万人で国内では4位を誇っていますが、300万人を超える上野動物園や旭山動物園とは大きな差が開いています。須磨海浜水族園は100万人台の来園者を、再整備によって200万人台への倍増を目指しており、王子動物園についても再整備後の具体的な来園者数の想定を示すべきかと思います。

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POSTED COMMENT

  1. トライ より:

    存続するはずの遊園地がしらっと消えています。ファミリー層を呼び込むにあの緩い遊園地は今となっては貴重で形を変えたとしても取り入れるべきと思います。
    来月神戸市とうとう150万人を割ります!色々と急ぐべきです。

  2. ABC より:

    王子動物園編を見ると、遊園地はレクリエーション機能として分散配置されるようですね。回遊しつつ休憩しながら子供を遊ばせる・飽きさせないという点でもありがたいですし、時代に合った形でいいかと思います。動物園ならではのレクリエーションだとうれしいです。(今の遊園地はなつかしさはあるけれど動物園らしさはあまり・・・)

    トライさんの仰る通りいろいろ急ぐべきだと思うのですが、王子公園は進みが遅いですね…前にも市民意見募集した気がしてたのですが、3回目なのですね。かなり慎重で丁寧すぎる気がしますね・・・。
    これでも何が何でも反対するプロ集団と一部地元市民の意見ばかりでなく、神戸市全体のことを考えて市にはスピード感を持っていただきたいですね。この事業だけでなくやたら抵抗する勢力に時間をかけすぎです。市役所としては仕方ないのでしょうけど、なんとかなりませんかね。

  3. こまったちゃん より:

    観覧車のみを残して今の遊園地はなくす計画になりました。

    https://www.city.kobe.lg.jp/documents/49587/kihonnkeikaku_doubutuennhenn.pdf

    遊園地エリアの整備はフェーズ2なので、2030年までは今のまま遊園地が残る、と考えることもできます。

    ただ、「観覧車のみ当面残す」からは、老朽化を理由に観覧車も含め、早期に全部なくしてしまいたい意向があるような感じもします。

    再整備計画、まじめによく考えた計画ですが、とびぬけた魅力に欠ける感じがします。旭山が大成功したのは「行動展示」という、今までになかった新しいコンセプトを導入したからですが、そういう唯一の魅力に欠けます。

    従って、施設は良くなりますが、全国からお客を集めるほどにはならない気がします(良い計画ではあるが、他の動物園リニューアルと方向性が大きくは変わらないため)。

    レトロ遊園地の方がやり方によっては全国唯一の魅力になりうるわけですが、そういう検討はなされていないと思います。今のままでなくても、例えばミニトレインとかを飼育エリアと組み合わせてサファリ的に回れるとか、遊園地全体に桜植えるとか、「残そうと思えば」いろいろできると思うんですけどね。

    なお、ハンター邸は北野に帰っていくようです。

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