西神中央駅近く・西区糀台5丁目の市有地に民間事業者による賃貸共同住宅建設を進め、駅前周辺への人口集積を図るプロジェクトが進行しています。商社の双日による特別目的会社「西神中央レジ開発」が地上14階建て・204戸の店舗付き住宅を岡工務店の施工で建設中です。
敷地内には重機が投入され、基礎工事が本格的に行われています。
ラフテレーンクレーン及び掘削機が稼働していました。
鉄筋カゴが並べられています。場所打ちコンクリート杭の建て込みが進められています。
平面駐車場の東側半分のみのアスファルトが剥がされて作業が進められています。建築面積は敷地面積の半分程度に抑えられているようです。
この建設地の北側には土地活用の検討が行われている⻄神車庫用地が広がっています。民間事業者がこの広大な土地を住宅や商業施設の開発用地として検討したいと考えているのかどうか。
竣工済の分譲マンション「クレヴィアシティ西神中央」はまだ全戸完売には至っていません。
304戸の内、まだ結構な戸数が残っているように見受けられます。駅前立地で条件は良い筈ですが、設定価格が高いのか、西神中央という街のブランド力が価格と釣り合っていないのか。
ただこれまで同じく駅前エリアでは、野村不動産のプラウドシティ西神中央やジオ西神中央等のブランドマンションが供給され、それぞれ売り切っています。
西神中央駅周辺の利便性や環境、そして魅力はこれまで進められてきたリノベーション神戸のプロジェクトによって、間違いなく向上している筈です。
西神リノベーションの総仕上げと位置付けられる商業施設プレンティのリニューアルが今秋に完了し、今まで以上に魅力的な施設へと生まれ変われば、マンションの売行きにもこれまで以上に追い風が吹いてくるでしょうか。
なでしこ芸術文化センター前の交流広場では、シェード付きのオープンテラス席が設置されました。
マンションの売行きは、西神中央駅前で進められているリノベーションプロジェクトの成否を推し量るパラメーターの一つとして考えられます。売行きが良くなければ、新たなマンションプロジェクトも進まず、人口集積も高まりません。市の人口自然減の勢いが増す中、社会増は外国人の転入頼みで、日本人は流出が続きます。都心活性化と企業進出による雇用拡大を図ると共に、リノベーションプロジェクトの方向性や進め方についても再検討が必要なのかもしれません。
リノベーション神戸・西神中央レジ開発が進める賃貸共同住宅の基礎工事本格化 近隣分譲マンションの売行きはリノベーション成否のバロメーター?
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西神中央のリノベーション神戸プロジェクトでは駅近のマンションを供給することで人口増を狙ったものですが、駅近のマンションであればモデルとなる住民は高齢世帯か三宮への通勤を前提とした世帯でしょう。高齢世帯の場合、世帯の構成人数が高齢夫婦と独立していない子どもがいるかいないかの2、3人ですのでマンションでも十分ですし、高齢で免許を返納したり運転に自信のない高齢者には公共交通機関が充実している駅前が好まれます。三宮への通勤世帯に関しても、三宮への通勤のための鉄道アクセスが必要になります。実は私はこの「三宮への鉄道が必要な世代が住んでくれるよね」というターゲティング自体が誤りだったのではないかと考えております。
以前、こべっこランドの記事でもコメント差し上げましたが、西神中央の隣の西神南の公園では休みの日に公園で遊ぶたくさんの子どもを見たことがあり、井吹東小学校は2013年度の推定児童数が1600人に上るマンモス校とのことです[1]。この大勢の子どもたちの親はどこで働いているのか。てっきりみんな三宮への通勤しているのではと以前は考えていたのですが、神戸電鉄粟生線と神姫バスの高速バスに関する動画を見てから、考えが大きく変わりました[2]。一般に、神戸電鉄粟生線の赤字は、並行して走る神姫バスによって乗客を奪われたからというのが定説ですが、[2]の動画では神姫バスもそんなに乗客を獲得できておらず競合しているようにはとても見えないという結論になっていました。この動画を見てピンと来たのは「地方都市や大都市郊外の車社会化」です。郊外は人口が分散しているので公共交通機関では居住範囲全体を賄うことができず、また無理に賄おうとするとバス路線が複雑に遠回りしてしまい、乗客を失います。その結果、自家用車での移動がメインになります。この車社会化は地方都市でよくみられる光景で、大都市でも郊外はこのような感じです。そして、車通勤が電車通勤と最も大きな違いが通勤距離で、車通勤の方が通勤距離が短いです。つまり、西神南の子どもたちの親や、西区北部や動画内で取り上げられていた三木市などの住民は車で近距離を通勤している可能性が高いということです。ということは、神戸市が常日頃から標榜している「三宮には住ませない、郊外に住んでもらう。西神中央に住んで三宮に通勤しなさい」という政策自体に無理があるということです。そう考えるとつじつまが合います。西神中央が不人気なのに名谷が人気なのも、三宮(梅田かもしれません)への通勤範囲としては名谷辺りが限界で、西神中央からでは(不可能ではないが)苦しいということなのでしょう。
それでは、神戸市でも最も大きな人口を抱える西区を維持・振興するにはどうすればよいのでしょうか。私のご提案としては、現在も西神戸ゴルフ場の敷地に拡張を続ける神戸西ICの神戸テクノ・ロジスティックパークへの企業の誘致や神戸西バイパスの西伸によって自動車交通の利便性が高まる平野から石ヶ谷JCT(仮称)[3]辺りなどに工場を誘致し、西区の人口を養えるだけの仕事を用意します。車通勤が前提なので住宅としては今供給している西神中央の駅前マンションよりも、駅から離れていても安くて広い一戸建ての方が好まれるでしょうね(ということは、今回の記事のクレヴィアシティ西神中央や進行中の賃貸共同住宅は好まれないということになります)。これにより、神戸市からは半独立というか8割方独立を目指します。同時に神戸市市街地に企業を誘致して、地下鉄沿線の住民が三宮通勤で生活できる糧を供給します。やはり仕事があるところに人は移ります。コロナ禍の鎮静化によるテレワークの廃止・削減する企業も増えていますので、郊外の生き残り策としては郊外に雇用創成を見出すのが確実かと考えた次第です。
上記に関連して、神戸評論さまが神戸市中央区、東灘区、芦屋市及び西宮市の地価の最高価格地点の変遷について興味深いデータをお示しなさってです[4]。2001年までは中央区>芦屋市>東灘区>西宮市の順でしたが、2002年に中央区は東灘区よりも地価が低くなり、2012年には東灘区>芦屋市>西宮市>中央区の順になっています。このことは神戸が著しく衰退し、阪神間のプレゼンスが大阪と神戸の2極体制から大阪のみの1極体制に移行したことを示唆しています。神戸市は市街地の再開発を急ぐとともに、市街地・郊外への企業の誘致を推進しなければ、その復権は成し得ないでしょう。「市街地のマンション規制すれば郊外に住んでくれるだろう」は単なる願望でしかなく、実際には神戸(それも一番大阪から遠い西区)からの人口流出を助長したに過ぎません。市街地の企業に通勤する市民の職住近接を否定することに帰結するとなぜ気づかなかったのか。なぜこんな簡単なことに気づかない人達が神戸の舵取りをしているのか。マンション規制も、せめて土地の細分化を伴わない賃貸マンションや定期借地権付きマンションを例外としていればここまでの衰退には至らなかったかもしれません。ましてや兵庫県私学会館のように、土地を細分化して会館とマンションに分割すれば分譲マンションが建てられるような抜け道のあるザル規制では土地が細分化していくだけです。
[1]神戸市立井吹東小学校 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/神戸市立井吹東小学校
[2] 【実地検証】粟生線と神姫バスに乗車。神姫バスは競合ではない。問題は別のところにある(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=I9fGcE2QJcI
[3]E94一般国道2号 神戸西バイパス(第二神明道路) NEXCO西日本
https://corp.w-nexco.co.jp/activity/open_info/progress/individual/42/
[4]兵庫県内 住宅地 最高価格地点の変遷 神戸評論
https://firemountain.hatenablog.jp/entry/2021/09/25/225403