神戸三宮阪急ビル

「阪急神戸三宮駅周辺地区」が 令和5年度 都市景観大賞「都市空間部門」の特別賞を受賞

阪急電鉄、阪急阪神不動産、神戸市の三者は共同で、2021年に完成した神戸三宮阪急ビルとその後に整備が完了したビル周辺のさんきた広場やサンキタ通りを含めた一帯「「阪急神戸三宮駅周辺地区」が、国土交通省が後援し、「都市景観の日」実行委員会が主催する 令和5年度都市景観大賞の「都市空間部門」において、特別賞を受賞したと発表しました。



神戸三宮阪急ビル、さんきた広場、サンキタ通りは昨年、グッドデザイン賞も受賞しており、この再開発が極めて優れたデザインや内容である事が示されたと言えます。



評価されたポイントですが、鉄道事業者、自治体、民間事業者が一体となって、大変質の高い空間をトータルにプロデュースした事、対象地区の非常に高いレベルの整備と、昭和の感覚がにじむ隣接する街区との対比が景観に深みを与えている事等が挙げられています。



この再開発には通常の再開発の枠を超えた取り組みが複数存在した事が大きいと言えます。一つはサンキタ通りの整備にあたり、この道路を原則的に歩行者優先とした石畳プロムナードに変えた事です。

これによって神戸三宮阪急ビルの西側は常時、オープンテラス・カフェが連続する賑わい空間へと生まれ変わらせる事が可能になりました。

またサンキタ通りとさんきた広場を一体化し、駅ビル内の交通広場と連続した広い滞留空間が整備された事も街の賑わい創出に非常に有効であると言えるでしょう。



夜間景観の向上もこの再開発の大きな特徴です。国土交通省が推進する「ウォーカブルシティ」のコンセプトにも合致し、整備前からこの通りのプランに同省が関わっていたようです。



また高架下の北と南で表情を大きく変えている点も特徴です。石畳によって欧風な北側に対し、南側は紫のライン照明によって、妖艶さを演出し、混沌としたアジアの都市がテーマとなり、この対比も街としての面白さに繋がっています。



そして駅ビルは旧神戸阪急ビルのデザイン継承した基壇部と、それに組み合わせた高層部を用途に分けて外装を変えながらも統一感を図り、ホテルに対して課されている神戸市の消防条例による二方向避難の制約を守りながらもまとめ上げたトータルデザインは見事です。



ビルの内外に渡って阪急らしさが漲っており、妥協のない照明演出によって夜間景観においても新しいランドマークとしての自覚が十分に感じられます。

既に完成から2年が経過しましたが、今回の受賞は改めてこの再開発の優れた点にスポットが当たる良い機会かと思います。これから進む他の再開発プロジェクトも同様に受賞できる内容を期待したいですね。
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  1. 神戸太郎 より:

    今回の受賞は、阪急三宮駅ビルがようやく建て替えられたことを、全国的に知ってもらう良い機会になったと思います。

    震災から20数年が経ち、街は綺麗になって、震災のことを忘れてしまい、阪急三宮のビルが長いこと低い仮設の建物だったということを知らない人が多いように感じていました。改めて、全国的に神戸がカムバックしつつあること、複数の再開発が進められていることをもっと知ってほしいと思いました。

    それから、デザイン性の優れたものがいかに大切かということ。手間は掛かりますが、国際設計コンペなどを行って、「あの人の設計だから見に行きたい」と思うようなものを建ててほしいです。神戸空港の国際ターミナルは、是非国際設計コンペをやって頂けないでしょうか…。

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