海岸通りにある近代建築・神戸メリケンビル(旧神戸郵船ビル)の西側パーキングの敷地を和田興産が取得して開発を進めてきた(仮称)ワコーレ中央区海岸通1丁目新築工事。都心エリアでは最後のタワー型分譲マンションとして囁かれる当プロジェクトは話題性の高い物件でした。
建物は完全に完成しました。内装工事はまだ進行しているかもしれません。
これまでワコーレは都心エリアに20階までの大型マンションを複数、分譲してきましたが、デザイン面ではこの物件が最も優れている建物かと思います。
19階建ての建物を1-3階の低層部、4-9階の中層部、10-19階の高層部にファサードのデザインを分け、隣接する近代建築との連続性と、高層部のランドマーク性を巧みに融合ささました。タワーマンションとしての規模は大きくありませんが、シンボル性は高いと言えます。
敷地東側に造られた公開空地。シンボルツリーと壁面にベンチが造り付けられています。
メインエントランス。重厚感に溢れています。
自動ドアやその周りの装飾も格式と高級感が非常に高い仕上がりです。
物件名のロゴは石壁の上に浮き出ているように取り付けられています。
中央部にシャッター付きパーキングエントランスが備わります。この奥にタワー式機械パーキングがあります。
建物西側の側面低層部周りの様子です。
電気自動車用の充電エリアでしょうか。
北側は通りと隔てる壁が構築されました。
海岸通り沿いに連なる近代建築群と調和の取れた連続性が生まれました。
高層部南側の両サイドのコーナーを、神戸の消防条例ではタワー型マンションに採用が難しいとされる、バルコニーを設けないダイレクトビューウィンドーを採用している点のポイントが高いです。
鯉川筋以西の海岸通りには神戸駅周辺まで高層建築は皆無だったので、新たなランドマークとして、風格のある景観創出に貢献しています。まだ夜間の様子は確認していませんが、照明演出は開始されているでしょうか。入居開始後には夜景も取材したいと思います。
さて、この物件の完成で、新港町のツインタワーを除き、もう本当にタワーマンションは神戸の都心には建たないのでしょうか。全国の大都市では引き続き、新規供給と新しいプロジェクトが次々と始動しています。
ザ・神戸旧居留地レジデンスタワー
事業者 和田興産
所在地 神戸市中央区海岸通1-1-2
敷地面積 1,317.89平方メートル
建築面積 1,006.99平方メートル
延床面積 12,651.95平方メートル
高さ 59.8メートル
構造 鉄筋コンクリート造
階数 地上19階 地下1階
用途 共同住宅 128戸
設計 大土呂巧建築設計事務所
施工 東レ建設
竣工予定 2022年9月
神戸、正確に言えば三宮最後のタワマン。コベルンさんも心配されていますね。
神戸市当局は大局を見失っている。タワマンが投資目的に購入・転売されている実態は看過できませんが、だから全面的に規制するというのは極端すぎませんか。逆にこの規制による弊害の方が大きいと考えます。ミニ開発、ペンシルビルの乱造で逆に都市景観が損なわれてしまう。また、高さ規制も相まって住宅建設以外でも民間投資の意欲がそがれていく。神戸市当局には「来ていただく」いう意識がなく、上から目線で民間とのやり取りをしているとしか思えない。だから駅ビル計画は遅れる、外資系ホテルは来ない。
明石市との対比で神戸市の人口減少が話題になって久しい。また他の政令指定都市の中でもこれだけ人口が減少しているのは神戸市ぐらい。郊外の拠点整備を行うことには反対しないが、そのことで人口減少には歯止めはかからない。「職住近接」が大きな流れ(コロナ禍のリモート化はあるが)。したがって都心、すなわち三宮を含む中央区に定住人口を呼び込むかが大きな鍵となる。したがってタワマン規制は、現状認識を完全に見誤っている。人々は、緑多き郊外よりも便利な都心を望む。ファミリー層、そして超高齢化社会の到来で急増する高齢者を都心に呼び込む住宅政策こそ人口減少対策として必要不可欠なことであろう。
私も上の方のように、ミニ開発やペンシルビルが増えることを危惧します。超高層を規制するなら、せめて、少なくとも10階建て以上にするとかの「低さ規制」はできないのでしょうか。2階建てや3階建てでは、どうにもならないように思います。下は店舗、上は住宅などにすると、都心居住も進むのではないか。
あるいは、隣の兵庫区辺りは、どんどんタワマンを認めるとか。神戸駅辺りはあってもよいのではないでしょうか。