神戸市が再開発の方針を打ち出した新港突堤西地区(第一突堤基部)。8月には事業者の公募を実施し、9月上旬には優先交渉権者を決定、下旬に事業計画実施を決定、来年3月に土地の引き渡しが行われる予定でした。10月上旬を過ぎて、中旬に入りかけの現在、神戸市からは未だ何も発表がありません。
最悪のケースとして、応募事業者が無ければそれはそれで公表されるはずです。奈良市がJR奈良駅西口の市有地や奈良 ドリームランド跡地を売却しようと公募したケースも応募者ゼロという結果に終わりました。神戸市でも京コンピューター前駅に完成したKCMI神戸医療イノベーションセンターも当初は民間資金を活用した整備として事業者を公募しましたが、こちらも応募ゼロでした。いずれも応募がゼロであった事は公表されています。
神戸新聞等は第2のハーバーランドとしてこの再開発計画を報じましたが、この地区の将来性はあるものの、ハーバーランド以上の交通アクセスの悪さや周囲が未だ雑然とした倉庫街である事等、マイナス要素が多分にある中、果たして応募事業者があるのかどうかという不安も付きまとっていたのは確かです。
不動産デベロッパーの参入障壁を下げる為、文化・集客・業務・商業そして高質な住機能等を導入した複合的な土地利用を図ることを前提とし、高質な住機能以外の施設の建築面積が全建築面積の合計の過半以上とする事を条件としています。早期の資金回収が可能な分譲住宅を盛り込む事で、デベロッパーは投資リスクを下げる事が可能です。
頂いた情報によると、結論としては3グループから応募があったという事です。ただ選考委員の都合によって、決定が遅延しているようです。神戸市は土地の引き渡し予定時期である2018年3月から遅延しないようなスケジュールで公表を行いたいとしています。応募ゼロという最悪のケースは免れましたが、一体どんな事業者からどんな提案があったのか非常に気になるところです。
北側約1ヘクタールのA街区敷地内にある既存建物の解体状況はまだあまり進んでいません。メリケンパーク近くの波止場町にサニーピアを建設して、移転した神戸みなとクリニックのみが唯一、解体・更地化済です。
中央港湾労働者福祉センターは第三突堤基部に神戸ポートオアシスが完成した為、そちらに集約されて移転。現在はすでに閉館しており、いつでも解体が可能な状態です。
A街区東端から中央部までを占めている最大の地権者は日本包装運輸です。同社の神戸本社屋及び本社倉庫がこの場所にあり、2001年竣工の比較的新しい建物でした。しかしすでに7月中に神戸本社屋は旧居留地のベイ・ウイング神戸ビルに移転、本社倉庫も摩耶埠頭に移りました。
日本包装運輸の敷地でも解体工事が開始されています。「新港第1突堤基部建物とりこわし工事その2」で4階建ての既存建物が解体されています。
今後、敷地内に残る既存建物の解体工事が一斉に開始されるものと思われます。
南側のB街区はすでに数年前に更地化されています。
周辺では三菱倉庫や住友倉庫等、大手物流会社が古くから倉庫ビルを構えています。今後、エリア内の倉庫群と連携した再開発を考えた場合、これらの物流会社が今回の新港突堤基部西地区に触手を伸ばす事は十分に考えられます。ハーバーランドでも地権者である三菱倉庫がダイヤニッセイビル(ウミエの入るビル)、モザイク、パークハウス神戸ハーバーランドタワー等の開発に大きな役割を果たしました。
東西に長い北側の大きなA街区、埠頭に面した海側のB街区にどのような役割を与えるプロポーザルが提出されたのでしょうか。順当に考えればA街区の東側に高層住宅を配置し、西側とB街区に低層の商業施設でしょうか。立地的にはB街区の高層部にホテルの機能を入れる事も考えられます。商業施設はモザイクのように物販店は控えめにし、飲食店がメインの施設が妥当でしょう。文化施設の整備も必須ですが、ジャンルは広く、美術館、博物館、ホール等、複数の可能性があります。この場所に適した施設とは何でしょうね。いっそ、建て替えを予定している「スマスイ」の代わりのここに新しい水族館を建てる事は出来ないでしょうか。集客力は抜群ですので、新港地区の活性化に対する強力な起爆剤となり得ます。起こり得る周辺地区の渋滞や駐車場の問題、現水族館の跡地利用等、解決の必要な課題は多いですが、検討する価値は十分にあるかと思います。
新港突堤基部西地区再開発
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