明石

地域探訪: 明石・JR西日本と明石市が仕掛けるJR西明石駅周辺の再開発・まちづくり構想 大きなポテンシャルを秘めたフロンティア



JR西日本は二期連続の巨額赤字決算を計上し、コロナによる深い傷を負っています。地方の赤字路線の行く末についても大きな議論が巻き起こっていますが、昨年行った公募増資2500億円はこうした厳しい環境においても成長分野への投資は継続し、この苦境を乗り切って将来の収益安定化へと導く為の大きな強化戦略です。

運輸収入は今後ますます減少し、大手企業の在宅勤務が定着した事によって、もうコロナ前の水準に戻る事はないと予想されており、非鉄道事業への中軸シフトは待ったなしの状況です。

不動産事業は非鉄道事業における主要部門です。この分野の投資を加速する事はJR西日本にとっては既定路線であり、急務事項です。持てる資産を有効活用して収益を上げる方法は加速しています。JR三ノ宮駅の新駅ビルをこのタイミングで進めるのは、寧ろ必要に迫られたからこそです。



今回、JR西日本が目を付けたのは明石市のJR西明石駅周辺です。同社と明石市はJR社宅住宅や「明石市立勤労福祉会館」、「サンライフ明石」等の市営複合施設を含む一帯の再開発の構想に乗り出そうとしています。



明石市とJR西日本は2020年に再開発に向けた協定書を結び、まちづくりに関する協議を続けており、駅周辺の再整備の始動に向けて、具体化を進めるようです。



JR西日本は社宅跡地に分譲マンション800戸の供給を計画しています。同社の子会社であるJR西日本不動産開発は「ジェイグラン」ブランドの分譲マンションを供給しています。この規模の開発を同社単独で進めるのか、それとも摩耶駅周辺の開発のように大手デベロッパーと組むのか。三井不動産レジデンシャルと組めば、ブランド力は倍増します。

明石市も「サンライフ明石」を地区内で建て替える予定です。

JR西日本は既に同社宅地区の南側の一部の再開発を完了しており、商業施設「ビエラタウン西明石」を開業させています。



この他、JR西日本は西明石駅前南側に位置する六甲バター工場跡地の再開発も計画しています。昨年、六甲バターからJR西日本が取得していました。



一旦、JR西日本が取得した後、その一部を明石市が再購入します。JR西は同社保有敷地に新たな駅ビルを建設する他、西明石駅の新改札口を開設。明石市は駅前広場と駐輪場を整備します。



新駅ビルの規模は地上3階建てで、2階部分に改札が開設される計画です。駅ビルの完成は2025年を予定しているとの事です。またこの新しい駅前広場にはコミュニティバス「たこバス」の停留所が設けられる予定です。



駅前広場と前述の社宅跡地及び明姫幹線を結ぶ都市計画道路は幅16メートルを予定し、西明石駅の新しい玄関口としての役割を果たします。



西明石駅は山陽新幹線と在来線が交わるターミナル駅です。その複雑な交差駅の形状から、改札口は東西に位置を変えて、西口と東口の二ヶ所に跨線橋を設けています。既存の東口の南側駅前広場は円型の小さなロータリーが整備されていますが、その周辺は老朽化した商業施設や雑居ビルの間を細い道路が入り組み、ターミナル駅前の様相を呈しているとは言えません。



同駅前広場の東側には旧国鉄清算事業団の保有用地があります。この大きな未利用地も今後の開発に沿って活用される予定で、大きなポテンシャルを秘めていると言えます。



JR西明石駅周辺の開発・整備計画をまとめた図です。明石市とJR西日本が協定書に盛り込んだ再整備内容がまとめられています。



JR西日本不動産開発は野村不動産と共同で尼崎市のJR塚口駅前の約8.4ヘクタールを一体的に再開発し、駅前広場の整備、駅ビルの建設や商業開発、公園の整備、そして1,200戸の分譲マンションと71戸の戸建て住宅を含む大規模タウン「ZUTTOCITY」を手掛けた実績があります。



西口の南側には最も大きな駅前広場が整備されています。新幹線の改札口でもある為、表玄関的な位置づけにある広場となります。



2018年には駅前広場に面して、新築のビジネスホテル「ホテルプラフォート西明石」がオープンしました。111室の客室を備えており、新幹線の停車駅でありながら、あまり宿泊施設の充実していなかった西明石に待望の新築ホテルが完成しました。



そして同ホテルを運営する株式会社ホテルプラフォートは、ホテルに隣接する立体駐車場跡地でも新たな開発計画を進めています。



工事名称は「(仮称)西明石駅前クリニックビル新築工事」。ビルの規模は地上6階 延床面積1,241.50平方メートル。用途はクリニックや事務所を予定しています。



この開発は前述のJR西と明石市の駅周辺開発による活性化を念頭に置いた先行投資かと思われます。こうした駅周辺の民間事業者による開発も今後、活発になってくる可能性があります。



西口改札には高架駅舎を活用した駅ビル「PLiCO西明石」が営業しています。



14のテナント区画に飲食店、書店、雑貨、アパレル、ドラッグストアが出店しており、エキナカの賑わいを創出しています。



JR西と明石市は既存の駅舎内における利便性・魅力の向上を図る事も検討しています。この西口と跨線橋で結ばれていながら、南側に改札が無かったことで駅周辺が分断されており、利便性も劣っていましたが、新駅ビルと新改札の設置により、西明石の抱えていた課題が一挙に解決に向かいます。



JR西明石駅の一日の乗降客数は約6.4万人。垂水駅や六甲道駅よりも多く、新快速停車駅ともあって、駅周辺が抱えるポテンシャルは非常に大きいと言えます。しかしこれまではこれを上手く活用する事が出来ていませんでした。JR明石駅前の再開発がひと段落した明石市。今後はこの西明石駅周辺と市役所周辺・明石港が注力エリアとなりそうです。西明石駅周辺の開発は同市の人口増加施策における新たな原動力です。

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POSTED COMMENT

  1. なた より:

    明石市長みたいな人が神戸市長や兵庫県知事になってほしい。
    斉藤知事は井戸さん以下

    • しん@こべるん より:

      斉藤知事の評価はまだ難しいですが、緊縮財政で蛇口を絞るのは誰にでも出来る事ですね。

  2. みみ より:

    西明石JR官舎跡の分譲マンション計画ですが いつ完成か いつ入居予定か どんなマンションか 情報がありません 何か情報ありませんか 引っ越し希望しています

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