昨年9月末以来、9ヶ月ぶりの関西3空港懇談会が先週末に開催されました。前回、神戸空港の機能拡張に向けて、2025年の発着枠120便/日への拡大・国際チャーター便の就航、2030年の国際定期便就航が合意されましたが、今回の懇談会で最も注目されたトピックは、これらの便数拡大を実現させる為の具体策でした。
国土交通省が示した案は、現在、神戸空港を離着陸する便は全て明石海峡の上空を通過する航路を飛んでいる「単線運用」となっていますが、これに淡路島北部を通るルートを追加するというものです。
淡路島上空通過航路については、既に淡路島中央部を通るルートが関西空港向けに使用されており、関空の便数拡大にはこれに加えて島南部と北部のルートを加える案も提示されました。
単線運用が改善されると、確実に神戸空港の発着数の拡大を進める事が出来るようになると思われます。しかしながら新経路の実現には新たな騒音問題が浮上する事も否めず、これをしっかりと解決しながら新ルートの運用決定へのプロセスを進めていく必要がある事は関連する自治体首長も理解していると思われます。
新ルートの運用開始についての目標はやはり万博開催の25年でしょうか。今後2年で関西の航空需要は飛躍的に高まっていく可能性があります。この需要にしっかりと対応する為、今後の懇談会は開催頻度を増やして、各種事項の確認をする必要性に迫られるのではないかと思います。
関西3空港懇談会にて神戸空港就航便数拡大に新飛行ルート案が示される 国交省が淡路島北部上空経路を提示
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・こんばんは。妥当な判断だと思います。神戸空港新国際線ターミナル(仮称)の規模や関西空港被災の代替等を考慮するとだいたいこの様な案になると思います。
・運用開始時期は未定ですね。一応はこの案は現在の技術かつ最小限の変更とのこと(注1)ですが、淡路島のうちとりわけ中部及び南部での環境アセスメント等を行うこととなるかと。何か市民団体みたいなのが難色を示しているとか(注2)。
・大阪万博は令和7年のうちの6ヶ月間だけですが、他にも統合型リゾートや、記事にもある様に航空需要増大はこの間だけではないのは間違いありません。今後の技術進歩も含め行く末を見守りたいです。
出典
注1:https://www.mlit.go.jp/koku/content/001616274.pdf
関西空域における飛行経路技術検討委員会 中間とりまとめ(国土交通省。ファイルの容量は極めて大きいのでご注意を)
注2:https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20230627-OYO1T50002/
淡路島上空の新飛行ルート、地元自治体は慎重…市民団体「生活環境を破壊」(読売新聞。令和5年6月27日)
騒音の低下等に伴う、陸上に入る高度の引き下げは妥当です。神戸離陸機の淡路横断の3000FT以上も低いといえば低いですが、羽田離陸機の荒川ルート等で実績があるので、住民感情なり政治なりで大きく揉めない限りは大丈夫でしょう。
一方、このとりまとめは抜本的な改良には程遠いです。なぜなら、
1)伊丹空港のルートに全く手をつけなかった。
2)陸上ルートの拡大が淡路島側ばかりで、大阪府側の拡大が全くなかった(高度引き下げのみ)。
語弊のある言い方をすれば、伊丹のルートをいじらずに、関空の拡大のために淡路の上空で大規模に陸上ルートを増やし、そのうち1本を神戸のルート拡大に使った。って感じでしょうか。
大阪側は人口が多いのでルート設定に慎重なのはわかるが、少し不公平感が高いと感じました。
羽田の場合、滑走路にまっすぐ入るために渋谷や新宿の上空を通るルートが設定されました(もちろん反対はあります)。同じように、関空に北側から着陸するルートは本来ならば大阪市内から直進で入る方が素直ですが、そこを避けて大阪湾を淡路側から回りこむ構造は維持されました。これが見直されなかったのは残念です。
微妙に腹が立つのは、報道によると斎藤知事が「県も汗をかいて淡路島の住民の理解を得ていく」と述べている点です。
せめてこの発言の前に「淡路島側ばかりルートが拡大されて、伊丹機ルートの再検討や、大阪湾東側でのルート拡大が検討されなかったのは残念ではあるが」ぐらいの日本語を付けてほしかったところです。
前知事ならなんか言ってた気がします。根拠はありませんが。
ともかく、今後住民交渉などが発生しますが、主には兵庫県側ががんばらなければなりません。それはそれで必要なことですが、それによる受益のほとんどは関空ですから、そういう構造であることを、最初から釘指しておいた方がいい気はしました。